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ソラナちゃんのいちにち-3

「えーー、似合っていたのになぁー」

「流石にあれは、恥ずかしすぎた」
Junoが冷静に振り返る。

「それにだ。私の体が見たければ、いつでも。その。見れるだろ」
小さな声で呟くようにいう

「えっ!何々?聞こえないよー」
「もっと、大きな声で宣言してくれないかな〜」

「オズモ、勘弁してくれ」

「お姉さま方、何を夫婦漫才しているのかしら」
「仲が良すぎて、わたくし、焼いてしまいますわ」
決して、その一言が間違いではないかのように手にはっきりとわかる暴威を纏っていくソラナ
お姉さま方に出し抜かれ、イチャつかれてもう、完全にキレている。
手にまとったプラズマは、水球の様な形をとり、放電と吸熱を繰り返していた。
彼女の周りの水分も凍り始める。

「おぉい!ソラナ。それは、いけない」
いつもの様な威厳のある超えではなく、どこか間の抜けたJunoの声が響く
オズモにより、辱めを受けた精神的なダメージがそこはかとなく効いていた。
いや、この場合は、一種のプレイなのかもしれないが。

「いいえ、わたくしは、やめませんわ!」
「お姉さまが誠心誠意謝って、『今日は、ソラナと過ごすわ』と決断しない限り、わたくしの怒りは収まりませんわ」

「ソラナちゃん、いい加減にしなさい!周りのお客さんにも迷惑でしょ!」

「迷惑?何を言っているのかしら、お姉さま。周りを見てください。冷静さを欠いているのではなくて?」

「なっ!?」
ソラナとオズモ達以外は、まるで何事も無い様に過ごしていた。
プラズマの放電に当たりそうになった他の客を放電は、すり抜けていった。

「次元をずらしたの!?」

「そうですよ。その位の配慮はしていますわ。一般のお客様に迷惑をかけるなど、するわけがないでしょう」
「そんなことより」
「今更!そんな、正論を持ち出して良く言えましたね」
ソラナが生み出したプラズマの球体は、より大きく巨大なものになっていった。

「御免」
イーサが滑走し、ソラナの鳩尾に鋭い一撃を叩きこんだ。
神速の突進と、体捌き。
あたりに溢れる放電を全て躱した上での掌底だった。

「ぐぅぅ」
吹き飛ばされりソラナと、その場に取り残されたプラズマ
コントロールするものがいなくなった球体は、内部のエネルギー統率が取れなくなり、辺りに拡散を始めた。

「すぅぅぅー、はっ!」
イーサは、呼吸を整え地面を深く踏み締め、プラズマの球体に向かって両腕を突っ込んだ。
そして、プラズマをそのまま自分の体に伝え地面へと放出させた。

「イーサさん、ありがとう!」
歓声を上げながら、彼女を褒め称えるオズモをイーサは、きりっと睨む。

「オズモさん」

「はっ、はい!」

「緊急だったので、手を出させて頂きましたが、今回の件は、そもそもの原因はオズモさんにあります」
「だから、ソラナにきちんと謝って下さい」

「えっ、でも、私悪くな」

ドスン!
軽く震脚を放ち、威圧するイーサ

「返事は?」

「はい!」

「よろしい」

「ソラナちゃん、ごめんなさい」
素直に謝るオズモ、それは、一切言い訳のない謝罪だった。
ソラナも、それを受け止めて許すことを決意する。

「お姉さまがそんな、いえ、こちらこそ取り乱してしまい。申し訳ありません」
「お姉さまの妹として、恥ずかしいですわ」
手を取り合い、和解するソラナとオズモ
その姿は、どこぞの女子高の先輩と後輩を思わせる姿だった。

「イーサ、その。ありがとう」
「わたくし、つい、頭に血が昇ってしまって」
「あの様な真似をしてしまうだなんて」

「いいよ。ソラナ」
「そういうときだってあるもの」
「それに、少し、すっきりしたでしょ?」
「思いをしたぶつける事が出来て」

「ええ、すっきりとしましたわ」

「よかった」

「でも、もやもやは、まだありますわよ」
「ですから、勝負をする事にしました!」

「!?」

「お姉さま方、わたくし達と勝負してください」

「勝負!?」

「はい。わたくし、まだ不完全燃焼ですので」
「お付き合いしてもらいますわ」

「ちょっと、勝負って!」

「勿論、先程のような危ないものでは、ありませんわ」

「きちんとしたスポーツで決着を着けさせてもらいます」
そういうと、ソラナは、横を向き奥のスタジアムを指差した。
そこには、プールというには余りに異質なもの。
宙に浮く水の塊が存在していた。
近年、コスモスで登場した超流動性ステーキングを用いたプールだった。
水の中では、コントラクトにより呼吸が可能な特殊なプールだ。
主に水中競技で使われていた。

「あれを使います」
そういって、ボールをトランザクションで出現させる。
「水中バレーですわ!」


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