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アンテナにかかったのはモーツァルトのト短調

 40年近く前に,モーツァルトの全集を買った。レコード166枚。ちゃんと聴いたのはそのうちの十数枚のまま,「いつかは」と思うだけで何年も放置されていた。

 2014年の12月,あけてみると少しカビが生えているものがあった。そこで,ジャケット用の紙を買い,すべてを入れ替えるとともに,ディジタル化した。毎日1,2枚ずつ,プレーヤーにかけて,Macに取り込む。
 4ヶ月と数日をかけて,全曲をディジタル化したものの,ではそれを聴くかというと,これまたそのままになっていた。
 レコードの1面(A/B)が1つのファイルになっている。すると,中には2曲入っていたりするので,ファイル名をタイトルにしにくい。すべて番号になっている。もちろん,そのリストは作ってあるが,「あの曲を」というときに探すのが面倒だ。曲名がわかっていれば Youtubeで探せばよい。

 外付けSSDに埋もれたままのファイルが発掘されるきっかけになったのは,Appleのbluethoothイヤホン AirPods だ。
 便利に使ってはいるが,しばらく耳に刺していると,耳がかゆくなったりするし,どうしても圧迫感がある。その前は,耳掛型のイヤホンを使っていたのだが,無線の便利さになれてしまうと,有線のイヤホンには戻れない。
 そこで,音質が犠牲になるのは承知の上で,ネックスピーカーを買った。音楽に集中して聴くというより,BGMとして聴くためだ。
 思えば,中高校生から大学生にかけて,カセットレコーダーに録音したものを一日中BGMとして流していた。「ながら族」である。
 ネックスピーカーにしてみると,これがすごぶるいい。重さ83gで首にかけているのも忘れるほど。「ながら族」の復活である。
 そこで思い出したのがモーツァルトの全集。
 1枚目からかけた。ファイルアイコンに出るプレイボタンをクリックするだけだ。1枚終わると次へ。
 K.1 からほぼ順に並んでいる。ほぼ,というのはジャンルの関係で前後しているものがあるからだ。聞き覚えのあるものとそうでないものが,つぎつぎに流れてくる。
 そんな中で,はやくも? アンテナにひっかかったものがある。
 ファイルの番号 12-A からリストを見てみると,カッサシオン変ロ長調 K.99 である。その中の Andante ト短調 だった。
 調べてみると,13歳の夏に作曲した3曲のカッサシオンのうちの一つ。
楽譜を見ると,シンプルでたいしたことがないように見えるが,実際に音にすると,なんと叙情的であることか。これが13歳の作品かと驚かされる。
YouTube にいくつかあるが,次のものは楽譜つき。

Andante は10分10秒あたりから。

 モーツァルトのト短調といえば,2つの交響曲25番と40番の他,弦楽五重奏曲,ピアノ四重奏曲などがある。
これについては,「モーツァルトの短調」「2つのト短調」で書いた。

 それにしても,BGMとして流していた曲で,ふとアンテナにひっかかった曲がト短調とは。