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小学校算数ドリル はじめに

小学生が算数を学んで理解するのに,大切なことは何か。
いろいろあるでしょうが,「問題の意味がわかること」と「計算ができるようになること」で,特に初学年においては「計算ができること」がとても大きな要素です。
計算練習をするのに,問題プリントで練習するより,パソコン・タブレット端末で練習をする方が,次の点でメリットがあります。

(1) 短い時間で多くの量をこなすことができる。
(2)「数字を書く」という,手指の運動能力の発達度合いにあまり左右されない。
(3) 誤答に対するフィードバックがその場で行える。

(1) については,説明するまでもないでしょうが,いままでの実践の経験から,このことは意外に大きな要素であることがわかっています。
 かなり以前になりますが,学習指導要領の改訂にあたって,「たし算の筆算は2けたまでやれば,あとは同じだから3桁以上はやらなくてよい」といったことが言われました。「ゆとり」の頃です。これは大間違いで,計算力というのは,「理屈がわかればつく」というものではないのです。運動と同じで,同じような基本運動を何度もやるから力がつくのです。多くの量をこなせば,計算力がつきます。計算力がつくと,自信につながり,学習意欲につながる・・・ことはわかるでしょうが,これが,生活態度にまで関わる,といったら信じられるでしょうか。私たちはこのことを実践の中で実感しています。
「私たち」と書いたのは,プログラムを書いた「私」と,現場で実践をおこなった友人の2名で,これらのソフトウェア =今風にいうならアプリ= を開発してきたからです。その様子は「すべての子どもに計算力を」として Apple Books から出版しています。(無料) 

(2) についてもわかるでしょう。しかし,小学校1年生にとって,このことは大変大きな要素である,といったらうなずかれるでしょうか。SNS上には「ひどい採点」として,漢字テストの理不尽な採点がよくさらされています。字はあっているのに,線の長短,角度などで×になっているものです。算数でもそうです。おとながいう「きれいな字」「ただしい字」を書くことと「理解する」ことは別なのに,「きれいでない」ために,理解していても×にされてしまいます。パソコン・タブレットによるドリルでは,解答をタップでおこなうために,このようなことはいっさい起こりません。わかったかどうかがすべてなのです。

(3) はどうでしょう。
プリント演習では,たとえば10問あれば,10問やったのちに「採点」となるでしょう。そのときに,正誤はわかっても「なぜ」違うのかまではわかりません。「なぜ」を示すのを,CAI(Computer Aided Instruction)では KR(Knowledge of Result )といいます。結果に対する知識の付与です。算数の計算ドリルといっても,どこが違うのか,をその場で示すのが有効な場面もあります。それにより,効率的な学習ができるのです。

「繰り返し練習」というと,「百マス計算」が頭に浮かぶ人もいることでしょう。百マス計算の是非についてはいろいろと議論があるところですが,ここでやる算数ドリルは「百マス計算」とは似て非なるものです。とはいえ,百マス計算にも,正しい使い方と誤った使い方があるように,パソコン・タブレットによる計算ドリルも,正しく使わなければ効果がないどころか,場合によっては害にもなりかねません。正しく使ってもらうために,それぞれのソフトの「設計思想」について記述しました。何のために,何を狙って作ったものなのかを理解して利用すれば・・・そう,使うのは児童ですが,使わせるのは保護者や教師です・・・効果があがることでしょう。

それぞれのソフトは,パソコンまたはiPadなどのタブレット端末での利用を想定しています。キーボードは不要で,マウスまたはペンでのタップで使うようになっています。スマホでは使いにくいと思われますが,いまのところスマホに対応する予定はありません。

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