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マーラーの3番 (1)

 マーラーを知って,始めの頃よく聴いていたのがこの3番。1時間50分前後という,長い曲だけど,そもそも,どんな曲もBGMだったし。何もしないで正面向いて聴くというのは,マーラーに限らずあまりなかった。ただし,途中で手を止めて聴き入ることはしばしば。

 というわけで,3番については3回に分けて書くことにする。

 まず,第1楽章。勇壮なホルンのファンファーレで始まる。ホルンは8本のユニゾン。途中から4本ずつに分かれる。(タイトルの楽譜から,次に進む)

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 メロディーは非常に分かりやすいので,最初から引き込まれる。
1番,2番でもホルンは活躍したけど,3番の第1楽章では大活躍。ホルンだけでなく,トランペットもトロンボーンも活躍するのが第1楽章。
 トロンボーンには長いソロがある。次の楽譜はその一部。

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トランペットには主役はあまり与えられていないようで,次の3連符の合いの手のようなものなのだが,実はこれが大事。ミュートをつけてフォルテシモ。つまり,ミュートは弱音器ではなく音色を変えるために使っているのだ。

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他の楽器にもこの3連符のパターンは出てくるが,その音色ではやはりトランペットが突出している。
 合いの手と書いたが,大事なテーマでもある。これが第5番の冒頭のトランペットとつながっているかどうかは不明だが,分散和音でなく,同じ音の繰り返しの3連符なら,まさに第5番の冒頭だ。これについては,4番のところでもう一度触れることになる。

 ところで,第1楽章にはひとつだけ面白いというか,奇妙なことがあって,再現部の前のドラムマーチが,まるでブラスバンドのドラムマーチみたいなのだ。

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スネアドラムなのだが,スネア(小太鼓につけられている金属の網のようなもの。これでシャシャッという音になる)の響きをどうするかで印象が変わる。いろいろなオケのものを聴き比べて見るといいだろう。時間は,テンポの取り方によって違うが,24分付近になる。