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マーラーの「復活」は教会で聴きたい

マーラーの交響曲第2番「復活」
第3楽章までは,少し長めのロマン派の交響曲の範疇だと思うが,続けて演奏される第4楽章(短い)には歌が入っているし,さらに続けて(attaca)演奏される第5楽章になると「通常の」を完全に越えてしまう。
楽器編成も通常の2倍以上だし,そのスケール感もただものではない。
楽器編成については,何が何本と書くより,スコアを示す方がいいだろう。

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この編成で,強奏から始まり,次第におさまって,テーマが示され,さらにおさまると,遠くからホルンの音が聞こえる。

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2つ目は echo と書いてあるが,ドイツ語でも「弱く」となっており,そのあと「再び強く」となっている。
バーンスタイン・ロンドンS.Oのビデオでは,ここで,なんと教会の天井が映し出される。

1分50秒ほどのところだ。
この映像を見たとき,なるほど,と思った。
それまでは,広大な野に遠くから聞こえるホルン,というイメージだったが,「広大な野」は「天上」なのだ。
 そのあとは,すぐに地上に戻って演奏が続けられる。
Youtubeでは,第5楽章が分割されているのだが, 2/4 の8分あたりところで,再び天上からホルンが聞こえてくる。
分割されていないものでは,1時間12分のあたりから。
ホルンのあとはトランペットがやはり遠くから聞こえ,地上では鳥が鳴く(フルートパートに「鳥の声のように」と書かれている)
バーンスタイン・ロンドンS.Oのビデオもふたたび教会の天井の映像になる。
天上のトランペットといえば,やはり天使だろう。天使たちが吹くトランペットと地上の鳥が鳴き交わす。

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続いてコーラスになる。

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アバド・ルツェルンの演奏では1時間5分のあたりから。

これはコンサートホールなので,天井は映らない。
しかし,ホルンとトランペットがどこで吹いているのか,本当に遠くから聞こえる。フルートは名手のパユ。これも聴きもの(見もの)だ。

 フィナーレはオルガン。金管の旋律とコーラスが対峙する中に,オルガンが響き渡る。
 教会での演奏は,バーンスタイン・ロンドンS.Oだけではない。1995年に長崎でおこなわれた,小沢征爾 平和への「復活」コンサートは,浦上天主堂だ。
YoutubeにあるのはビデオからPCへのコピーで画質が悪いのが残念。私は録画したものを持っているのだが。
 Youtubeには,他にも教会で演奏したものがある。
これはやはり教会のオルガンで聴きたいが,オルガンの配置などでむずかしいかもしれない。

 もちろん,コンサートホールにオルガンはあるからそれでもいい。
アバド・ルツェルンの演奏ではオルガンが映し出される。よく聴くとオルガンの響きが聞こえる。
 ではオルガンがない場合にどうするか。アマチュアのコンサートではオルガンのないホールのこともあるだろう。浜松だと,アクトシティホールの中ホールにはオルガンがあるが大ホールにはない。
 あるとき,静岡のアマオケが市民会館で演奏したのを聴きに行ったことがある。オルガンはないので,電子オルガンをPA(スピーカー)で鳴らすしかないだろうと思っていたのだが,はたしてその通り。しかし,それが大音量で,演奏をぶちこわしてしまった。リハーサルはやったはずだが,あまりのひどさにのけぞってしまった。

 さて,いろいろ書いてきたが,Youtubeにはいくつもの演奏があり(動画でないものも)興味があれば聴き比べるといいだろう。どれかひとつ,良い音質と映像で聴くなら,アバド・ルツェルンを勧めておきたい。