見出し画像

Cinderellaで描くカオス:エノン写像

「カオスCGコレクション:川上博著,サイエンス社(以下「この本」)」の第3章「カオスとなっているアトラクタ」のはじめに登場するのがエノン写像です。

エノン写像の式は

  $${x_{n+1}=y_n-a x_n^2+1}$$
  $${y_{n+1}=b x_n}$$

です。2つの係数 $${a,b}$$ の値を変えながら,次の実験をするようになっています。この本の77ページです。

実験1 
 エノンアトラクタとして知られているカオスは,$${a=1.4,b=0.3}$$ で見られる。これを確かめよう。初期値は$${(0,0)}$$
実験2
 実験1でカオスを描いた後,初期値を変えて点列の落ち着き先を見てみよう。カオスに収束する場合と発散する場合が見られる。
実験3
 実験1でカオスを描いた後,$${a}$$ の値を徐々に小さくしてみよう。$${a}$$ を0まで変えると,カオスは最後に安定固定点になってしまう。
実験4
 実験1でカオスを描いた後,$${a}$$ の値を徐々に大きくしてみよう。$${a=1.43}$$ 付近で突然発散してしまう。
実験5
 パラメータを $${a=2.1,b=-0.3}$$ とし,初期値を$${(0.6,-0.1}$$ とする。この場合に別のカオスが得られる。これについて,実験2〜4の性質を確かめよう。

上のリンク先を開くと,「実験1」を初期状態としてエノン写像を表示します。回数を増やしてくと,図がくっきりしてくるでしょう。パラメータがこの値のときは,発散せず,アトラクタ(ストレンジアトラクタ)となるのです。

画像1

ここからスタートして,実験2〜5をやってみましょう。次の図は,実験5で初期値を$${(0.6,-0.1}$$から少しずらした状態です。

画像2

初期値をさらに外側にずらすと突然発散してしまいます。

この本にない実験もしてみましょう。$${a=1.4,b=0.3}$$ 初期値 $${0,0}$$,  $${a=2.1,b=-0.3}$$ 初期値 $${0.6,-0.1}$$ 以外にはアトラクタは現れないのでしょうか。この本に掲載されているBASICのプログラムでは,インタラクティブに値を変えていくことはできず,なかなか探すのが大変ですが,Cinderellaを使ったこのツールなら,探すことができそうです。やってみましょう。


←前節:Hop-a-Long 写像

→次節:神話の翼

目次に戻る