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絵本『えんとつ町のプペル』で英語をやりなおし #01

キングコング西野さんの絵本『えんとつ町のプぺル』を1ページずつ、英訳の英文法解説をします。

【STEP 1】まずは日本語で読んでみよう!


「信じぬくんだ。たとえひとりになっても」

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4000メートルの崖にかこまれ、そとの世界を知らない町がありました。

町はえんとつだらけ。

そこかしこから煙があがり、あたまのうえはモックモク。

朝から晩までモックモク。

えんとつの町に住むひとは、くろい煙にとじこめられて、

あおい空を知りません。

かがやく星を知りません。


【STEP 2】次は英語をチェック!

“Believe. Even if you’re the only one.”

There was a town isolated from the outside world, surrounded by a 4,000 meter tall cliff.

The town was full of chimneys.

Smoke rose from everywhere, clouding the sky above.

Smoke, smoke, from morning till night.

The people living in the chimney town were encaged in black smoke,

and did not know about the blue sky.

They did not know about the shining stars.


【STEP 3】英文法解説をします!

“Believe. Even if you’re the only one.”
「信じぬくんだ。たとえひとりになっても」

◆ポイント1:命令文
英語は原則として、主語(S)と動詞(V)が必要です。Believe. のような「主語がなく動詞から始まる英文」は命令文と呼ばれ、「~しなさい」「~してね」などのように解釈します。
Believe.(信じぬくんだ)

◆ポイント2:even if
even if は「even if S V~」のカタチで「たとえSがVしても」と解釈します。基本的には、事実に反することや可能性の低いことについて話すときに使います。この even if~ は直前の Believe.(信じぬくんだ)を引き立てる役割を担っています。
Even if you’re the only one.(たとえひとりになっても)

◆Words & Phrases
believe(信じる)、even if(たとえ~でも)、the only(唯一の、たったひとつの)、one(人、物)


There was a town isolated from the outside world, surrounded by a 4,000 meter tall cliff.
4000メートルの崖にかこまれ、そとの世界を知らない町がありました。

◆ポイント1:存在を伝える There is ~
There is ~ は「~があります」と、存在を伝えるときに使います。There was ~(~がありました)は、その過去形で、物語の冒頭によく用いられます。
There was a town(町がありました)

◆ポイント2:冠詞 a と the
冠詞とは、「名詞の前に付くことば」のことで、英語には a と the の2つがあります。冠詞 the は「聞き手[読み手]にとって特定できる(聞き手と共通認識を持っている)もの」に使われます。つまり、the outside world(そとの世界)は、読んでいる人が想像する一般的に認識されている世界を指しています。一方、冠詞 a は「聞き手が特定できない(初耳の)もの」に使われます。ここでの a town(町)は読んでいる人にとっては初めて聞く情報です。
There was a town([とある]町がありました)
the outside world([一般的に認識されている]そとの世界)

◆ポイント3:形容詞に変わる動詞
動詞を、現在分詞や過去分詞というカタチに変えると、いろいろなものを「詳しく説明する」ことができるようになります。ここでは、動詞 isolate(~を分離する)を過去分詞 isolated に変えて a town の説明をしています(名詞を詳しく説明するものを「形容詞」といいます)。過去分詞の場合、「~れる、~られる」という受け身のニュアンスがプラスされます(時間的な過去を表すのではないことに注意)。また、日本語では「そとの世界を知らない+町」と、名詞の説明は前に置かれますが、英語では「町+そとの世界を知らない」と、後ろに置かれます。「説明は後ろ」、これが英語の特徴です。
a town isolated from the outside world(外部世界から分離された町⇒そとの世界を知らない町)

◆ポイント4:副詞に変わる動詞
動詞を、現在分詞や過去分詞というカタチに変えると、副詞(=名詞以外を詳しく説明するもの)としても使うことができます。これを「分詞構文」と呼びます。分詞構文は多くの場合、文末「 . 」で終わるところを、", 分詞~" のカタチで繋げます。ここでは、動詞 surround(~を取り囲む)を受け身ニュアンスの過去分詞 surrounded に変えることで、前の文 There was a town isolated from the outside world の補足説明をしています。
, surrounded by a 4,000 meter tall cliff(4000メートルの崖にかこまれ)

◆ポイント5:前置詞
ここで登場する from や by といった単語は「前置詞」といいます(他にも in, on, at などがあります)。前置詞は多くの場合、他の単語との「相性」によって組み合わせが決まります。isolated は from とセットで isolated from ~(~から分離される)、surrounded は by とセットで surrounded by ~(~で取り囲まれる) のようなカタチです。

◆Words & Phrases
There is ~(~がある)、town(町)、isolate(~を分離する)、outside world(外部世界)、surround(~を取り囲む)、~ meter tall(~メートルの高さの)、cliff(崖)


The town was full of chimneys.
町はえんとつだらけ。

◆ポイント1:冠詞 the
冠詞 the は「聞き手[読み手]にとって特定できる(聞き手と共通認識を持っている)もの」に使われます。ここでの「町」は1文前の「町」と同じ町なので、The town となっています。

◆ポイント2:be動詞の役割
be動詞(is/am/are)は「イコール記号」を表します(特定の日本語訳はありません)。今回の was は is の過去形で、The town = full of chimneys(町=えんとつでいっぱいの状態)を表します。

◆ポイント3:単数形と複数形
日本語の名詞では意識しませんが、英語には単数形と複数形という区別があります。chimneys(えんとつ)の s は複数を表しています。ちなみに、「1本のえんとつ」であれば a chimney と、冠詞の a を付けて表します。

◆Words & Phrases
full of ~(~でいっぱいである)、chimney(煙突)


Smoke rose from everywhere, clouding the sky above.
そこかしこから煙があがり、あたまのうえはモックモク。

◆ポイント1:副詞に変わる動詞
ここでも分詞構文が登場しています(clouding の前にカンマがあるのがポイント)。ここでは、動詞 cloud(~を雲が覆う)を現在分詞 clouding に変えて、前の文 Smoke rose from everywhere の補足説明をしています。分詞構文は「動作や状況の同時性を伝える」「動作や状況を重ね合わせる」効果があり、「そこかしこから煙があがっている状況」と「あたまのうえはモックモクになっている状況」が重なっている映像が頭に浮かびます。
clouding the sky above(そこかしこから煙があがり)

◆Words & Phrases
smoke(煙)、rose(rise[上がる、昇る]の過去形)、from everywhere(至る所から)cloud(~を雲が覆う)、the sky above(上空)


Smoke, smoke, from morning till night.
朝から晩までモックモク。

◆ポイント1:オノマトペ
「オノマトペ」とは、「ドンドン」「ザーザー」「キラキラ」など、身の回りのさまざまな動作や状態などを音で表したものですが、英語は日本語に比べるとオノマトペの数は多くはありません。ここでの「モックモク」もそうで、代わりに smoke を2つ重ねて、その様子を表現しています。

◆Words & Phrases
from A till B(AからBまで)、morning(朝)、night(夜)


The people living in the chimney town were encaged in black smoke, and did not know about the blue sky.
えんとつの町に住むひとは、くろい煙にとじこめられて、あおい空を知りません。

◆ポイント1:形容詞に変わる動詞
動詞を現在分詞(Ving)に変えると、形容詞(=名詞を詳しく説明するもの)として使うことができます。ここでは、動詞 live(住む)を現在分詞 living に変えて The people の説明をしています。
The people living in the chimney town(えんとつの町に住むひと)

◆ポイント2:受け身
動詞を「be動詞+過去分詞」のカタチにすることで、「~れる、~られる」という受け身の文を作ることができます。ここでは、動詞 encage(~を閉じ込める)を were encaged(閉じ込められた)のカタチにしています。
The people living in the chimney town were encaged(えんとつの町に住むひとは、とじこめられていました)

◆ポイント3:否定文
一般動詞(be動詞以外のすべての動詞)は、前に do not を付けることで否定文にすることができます(会話では基本的に短縮形の don't にします)。ここでは過去形の did not になっています。
and did not know about the blue sky(あおい空を知りません)

◆Words & Phrases
people(人々)、live(住む)、encage(~を閉じ込める)、black smoke(黒煙)、know about(~について知っている)、blue sky(青空)


They did not know about the shining stars.
かがやく星を知りません。

◆ポイント1:形容詞に変わる動詞
ここでも動詞を現在分詞に変えて、形容詞として使っています。ここでは、動詞 shine(輝く、光る)を現在分詞 shining に変えて stars の説明をしています。the shining stars(かがやく星)のように分詞1語で説明をする場合は、分詞を前に置き、先ほどの The people living in the chimney town(えんとつの町に住むひと)のように2語以上のカタマリで説明をする場合は、後ろに置きます。日本語では「えんとつの町に住むひと」のように、長い説明を前に置いても平気ですが、英語はそれができず、長い説明は必ず後ろに置かれます。
the shining stars(かがやく星)

◆ポイント2:繰り返しを避ける代名詞
この文の主語は The people living in the chimney town ですが、1文前と重複してクドイので、代名詞の They(彼ら)に置き換えられています。日本語では「かがやく星を知りません」と、「誰が、何が」にあたる主語を省略してもちゃんと理解できる言葉ですが、英語は基本的にそれができません。

◆Words & Phrases
shine(輝く、光る)、star(星)


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