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絵本『えんとつ町のプペル』で英語をやりなおし #02

キングコング西野さんの絵本『えんとつ町のプぺル』を1ページずつ、英訳の英文法解説をします。(#01はコチラ

【STEP 1】まずは日本語で読んでみよう!


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町はいま、ハロウィンまつりのまっただなか。

魔よけの煙もくわわって、いつもいじょうにモックモク。

あるとき、

夜空をかける配達屋さんが、煙をすってせきこんで、

配達中の心臓を、うっかりおとしてしまいました。

さすがに視界はこのわるさ、どこにおちたかわかりません。

配達屋さんはさっさとあきらめ、夜のむこうへスタコラサッサ。

ドクドクドクドクドックドク。

えんとつの町のかたすみで、あの心臓が鳴っています。


【STEP 2】次は英語をチェック!

The town was in the midst of the Halloween festival.

Joined by the smoke for warding off evil spirits, the town was even smokier than usual.

One day,

A deliveryman dashing across the night sky choked on the smoke

and carelessly dropped a heart he was delivering.

With such terrible visibility, there was no way to know where it fell.

The deliveryman quickly gave up and ran off into the night. 

Thump thump, thump thump, thumpity thump thump.

The heart was beating in one corner of the chimney town.


【STEP 3】英文法解説をします!

The town was in the midst of the Halloween festival.
町はいま、ハロウィンまつりのまっただなか。

◆ポイント1:カタマリでおさえる
in the midst of は、このカタマリで「~の真っただ中」という意味です。学習者の中には、単語を1つ1つ分解して解釈しようとする方がいますが、あまり効果的ではありません。カタマリでおさえることで1単語ずつ詰まることがなくなるので、「読む・聞く・書く・話す」がスムーズにできるようになります。
in the midst of the Halloween festival(ハロウィンまつりのまっただなか)

◆Words & Phrases
in the midst of(~の真っただ中)、festival(祝祭)
*新出単語・熟語のみ掲載しています。


Joined by the smoke for warding off evil spirits, the town was even smokier than usual.
魔よけの煙もくわわって、いつもいじょうにモックモク。

◆ポイント1:副詞に変わる動詞
副詞の働きをする「分詞構文」がここでも登場です(#01でも出てきたよ)。ここでは、動詞 join(加わる)を過去分詞 joined に変えることで、後ろの文 the town was even smokier than usual の補足説明をしています。受け身ニュアンスの過去分詞(Vpp)は「Vpp by A」のカタチで、「Aによって~されて=Aが~して」という解釈になります。Joined by the smoke = 煙によって加えられて⇒煙が加わって。このように、分詞構文は「動作や状況の同時性を伝える」「動作や状況を重ね合わせる」効果があります。
Joined by the smoke(煙もくわわって)

◆ポイント2:動名詞
動名詞とは、その名の通り「動詞を名詞にしたもの」です。動詞を「ing形」にすることで、「~すること」という名詞の働きに変化します。ここでは、動詞 ward(~を避ける)を 動名詞 warding にすることで前置詞 for の後ろに置いています(前置詞の後ろは必ず名詞)。「for Ving」のカタチで「~するための」という目的を表します。
the smoke for warding off evil spirits(悪霊を避けるための煙⇒魔よけの煙)

◆ポイント3:比較級
2つのものを比較するとき、英語では比較級というカタチを使います。ここでは形容詞 smoky(けむたい)を比較級 smokier にしています。また、than ~(~よりも)で比較対象を表します。
the town was even smokier than usual([町は]いつもいじょうにモックモク)

◆Words & Phrases
join(~に加わる)、ward off(~を避ける、回避する)、evil spirit(悪霊)、smoky(煙が充満した)、than usual(いつもより)


One day,
あるとき、
A deliveryman dashing across the night sky choked on the smoke
夜空をかける配達屋さんが、煙をすってせきこんで、

◆ポイント1:形容詞に変わる動詞
動詞を現在分詞(Ving)に変えると、形容詞(=名詞を詳しく説明するもの)として使うことができます。ここでは、動詞 dash(ダッシュする)を現在分詞 dashing に変えて A deliveryman の説明をしています。A deliveryman dashing across the night sky が大きな主語のカタマリになっています。
A deliveryman dashing across the night sky(夜空をかける配達屋さん)

◆Words & Phrases
one day(ある日)、deliveryman(配達員)、dash across(~を駆け抜ける)、night sky(夜空)、choke on(~で喉を詰まらせる、~にむせる)


and carelessly dropped a heart he was delivering.
配達中の心臓を、うっかりおとしてしまいました。

◆ポイント1:副詞
多くの場合、形容詞に ly を付け足すと副詞に変わります。ここでは、形容詞 careless(不注意な)の副詞 carelessly(不注意に)が、動詞 dropped を修飾(=詳しく説明)しています。
carelessly dropped(うっかりおとしてしまいました)

◆ポイント2:接触節
もともと He was delivering a heart.(彼は心臓を配達していた)という英文の目的語 a heart を頭に移動させると、a heart he was delivering(彼が配達していた心臓)という1つの名詞のカタマリにすることができます。日本語では「彼が配達していた+心臓」と、名詞の説明は全て前に置かれますが、英語では「心臓+彼が配達していた」と、後ろに置かれます。「説明は後ろ」、これが英語の特徴です。
a heart he was delivering(配達中の心臓)

*ここでの he was delivering を「接触節(せっしょくせつ)」といいます。関係代名詞 which[that] の省略と考えることもできますが、接触節として考えるほうがシンプルで分かりやすいです。

◆Words & Phrases
carelessly(うっかりして、不注意に)、drop(~を落とす)、heart(心臓)、deliver(~を配達する)


With such terrible visibility, there was no way to know where it fell.
さすがに視界はこのわるさ、どこにおちたかわかりません。

◆ポイント1:前置詞 with
前置詞 with は「つながり」のイメージがあります。ここでは「視界の悪さ」という原因と「どこに落ちたか分からない」という結果のつながりを with で示しています。

◆ポイント2:不定詞
「to+動詞の原形」のカタチを不定詞といいます。動詞に to を付けることで、名詞・形容詞・副詞の働きをもつようになります。ここでの不定詞 to know は、名詞 way の後ろに置かれ、その名詞を修飾する形容詞の働きをしています。*"There was ~" については#01をチェック!
way to know(知る方法)
there was no way to know(知る方法がない⇒わからない)

◆ポイント3:間接疑問文
「疑問詞を使った疑問文を動詞の後ろに放り込んだ英文」を間接疑問文といいます。必ずしも動詞の後ろというわけではありませんが、間接疑問は大きな名詞のカタマリとして働くため、動詞の後ろに置かれることが多いです。ここでは「where S V(どこでSがVするか)」のカタチ where it fell(どこにそれ[=心臓]が落ちたか)が動詞 know の後ろに置かれています。
there was no way to know where it fell(どこにそれが落ちたのか知るための方法がない⇒どこにおちたかわかりません)

◆Words & Phrases
such(とても~な)、terrible(ひどい)、visibility(視界、見通し)、way to V(~する方法)、fell(fall[落ちる]の過去形)


The deliveryman quickly gave up and ran off into the night.
配達屋さんはさっさとあきらめ、夜のむこうへスタコラサッサ。

◆ポイント1:句動詞
ここでの give up(諦める)や run off(走り去る、逃げる)のような、動詞を含む熟語を句動詞といいます。句動詞は数が多いので、意味を全て”暗記”しようとすると大変です。それぞれの語の持つコアニュアンスをおさえることがポイントです。give up は「ギブアップ」でもおなじみですが、「上に(up)~を放つ(give)」=「~を放り出す」イメージから「諦める」という意味になります。また、run off は「走って(run)離れる(off)」イメージから「走り去る、逃げる」という意味になります。
quickly gave up and ran off(さっさと諦め、走り去りました)

◆Words & Phrases
quickly(すぐに)、give up(諦める、断念する)、run off into(~の中に逃げ込む)


Thump thump, thump thump, thumpity thump thump.
ドクドクドクドクドックドク。
The heart was beating in one corner of the chimney town.
えんとつの町のかたすみで、あの心臓が鳴っています。

◆ポイント1:冠詞 the
冠詞 the は「聞き手[読み手]にとって特定できる(聞き手と共通認識を持っている)もの」に使われます。ここでの「心臓」は先ほど出てきた「配達屋さんが落とした心臓」なので、The heart となっています。冠詞 the がなければ、「配達屋さんが落とした心臓とは異なる、別の心臓」を意味することになってしまいます。

◆ポイント2:過去進行形
「be動詞+Ving」のカタチ(進行形)で、進行中の動作や状況を表します。ここでは be動詞を過去形にした過去進行形になっています。日本語では過去の文脈でも「あの心臓が鳴って"います"」と表現できますが、英語では一貫して過去形にします。
The heart was beating(あの心臓が鳴っています)

◆Words & Phrases
thumpity thump(ドキドキという心臓が鼓動する擬音語)、beat([心臓が]鼓動する)、in one corner(片隅で)


◇ディクテーションやシャドウイングの練習に使える音声はコチラ



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