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「コンプレッサーは-3dBくらいがちょうどいい」←ホント?

 こんにちは。イーヴィルな斉藤(@evilsaitoh)です。

 世のDTMの記事では「-3dBくらいリダクションされるようにコンプをかけるのがちょうどいい」とされることが多いようです。
 でも、「なぜちょうどいいのか?」を説明している人を見かけたことがありません。たぶん説明できないと思いますし。

 では、少しだけ考えてみましょう。

1 自分ではよくわからないけど先人がそう言ってたから

皮肉

 前例踏襲にもほどがあるだろ。役人か?
 その使わない耳を芳一にでもあげなよ。

2 機材のスイートスポットだから

スイートスポットすぎるだろ

 気のせいです。
 その機材のあらゆる圧縮比を試してみてから言いましょう。

3 -3dBは約0.7倍の音圧になるから

 一応それっぽい理由を持ってきました。

 計算上、音圧レベル(dB)を-3dBにすると約0.7倍の音圧になるようです。
(以下のサイトさんを参考にさせていただきました)

 よく言われているのは「一番音の大きいところでリダクションが-3dBに振れる程度に設定するとよい」などとよくもまぁヌケヌケと言われているので、

  • 音が小さい箇所→ 1倍の音圧(コンプかかってない)

  • 音が大きいところ→ 0.7倍の音圧(コンプがフルにかかってる)

 になるのを狙っているわけです。
 つまり「0.7~1倍の音圧の間に収めれば音量が安定していて、なおかつダイナミックレンジもそこそこある音になる」というわけですね!

 ……。

 ホントに?
 じゃあ具体的にそうなってる曲を教えて?
 ヒップホップもロックもバラードも-3dBだと思う?
「一般的なポップスの場合は-3dB」って言うなら、一般的なポップスってどの曲?

主張:耳で聞いて心地よいところを探せ

“凝”は基本中の基本

 仮に-3dBのリダクションになってたとしても「-3dBだから」という理由じゃなく「耳で聞いてちょうどいいから」たまたまその曲の場合は-3dBに収まったんですね。
 因果が逆転してるわけです。

 また、一口に-3dBと言っても「レシオ1:2で深めにかけた場合」と「レシオ20で浅くかけた場合」などで音が変わるので論ずる意味がなかったりします。 

 ミキシングは明確な針路がなく、安易な「○○はこうかけるべきだ!」という言葉に頼ってしまいがちですが、実際は自分の耳で聞くしかないんですよね。
 くれぐれも“凝”を怠るなよ。

4 終わりに

「じゃあ斉藤はどう設定してるんだ!」と思われるかもしれませんが、私の場合はこうしてます(ボーカルの場合)。


①アタックを中速に設定
②ボーカルの一番小さい音がコンプにかからないようにスレッショルドを設定
③ボーカルの一番大きい音が強めにリダクションされるようにアタックを設定(速いと大きくリダクションされ、遅いと小さくなる)
④リリースで「ボーカルが前に出てくる感じ」を調節(リリースが遅ければ前に出てきて、速ければ後ろに位置する)

 と、もっともらしいことを語りましたが、私もまだ道半ばの半端者。
 これが合っている保証はできませんし、そもそもプロのミキサーでさえ「コンプは-○dBだぜ!」と保証することはないでしょう。
 つまり、そんなことを言える人は熟達してない人たちってことよ。

 また、ハードウェアのコンプを掛け録りする人はボーカルの音量感とかでエイヤッと割り切ってかける必要があるので、そういう方にとって「-3dBリダクションなら失敗しない」というお守り的な意味はあるのかもしれません。

 最後に、海外のミキシングエンジニア・Colt Capperruneさんの言葉で締めます。
「いつも同じ設定じゃなく、常にコンプレッサーで遊ぶのを忘れないで」

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