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【感想】オクジャ

2017年 韓国、アメリカ 118分
監督 ポン・ジュノ
出演 アン・ソヒョン
   リリー・コリンズ
   ジェイク・ギレンホール

あらすじ

スーパーピッグ。それはチリで偶然生まれた超巨大豚。アメリカの大企業であるミランドコーポレーションは、その巨大豚の子供達を世界各国の農場に渡し、どれだけ見事に育て上げられるかのコンペを行うことにした。
10年後……。韓国のとある農場で少女ミジャは、スーパーピッグのオクジャと仲睦まじく暮らしていた。そんな中、急に現れたミランド社の面々が、オクジャがベストスーパーピッグに選ばれたと言って彼女を連れ去ってしまう。
憤怒に燃えるミジャは、単身でオクジャを取り戻す旅に出ることを決心する。社会派アクション豚映画。

感想

突如連れ去られた動物を取り戻す映画って、ジャンルとしてたまに見かけるものだったりします。超有名どころでいうと『101匹わんちゃん』、個人的おすすめで言うと象を助ける『トム・ヤム・クン!』とか。(アクション2億点・ストーリー2点というぶっちぎり映画です)

今作はそこに、『スーパーピッグ』というSFじみた要素と、大量消費に対する批判をトッピングした感じ。昨日見た『見えざる手のある風景』と細部は違えど、非現実的な比喩を使って行き過ぎた資本主義社会を批判すると言う意味では同じ部類の映画だと思います。

ただ、決定的に本作が違ったのはきちんとエンターテイメントたっぷりの作品に仕上がっていると言う点でした。先が気になってハラハラするストーリーと、少女と豚の愛くるしい交流。アクションシーンも金がかかっていて大迫力です。流石に有名監督は違うなと感じました。念の為に「あんまり韓国映画分かんない」って人のために説明すると、超話題になった『パラサイト 半地下の家族』の監督です。

伝えたい主義主張はしっかりと伝わる上で映画としても楽しめる。社会派映画というのはまさにこのことって作品でした。

映画本編の内容について少し触れておくと、主人公のミジャがとても魅力的で映画を大いに牽引してくれていたと思います。小さな女の子とは思えないパワフルなアクションと、「動物愛護?知るか、私はオクジャを救いたいだけだ!」というブレない芯の強さ。ミランド社の社長がサイコパスだなんて言われてたけど、よっぽど主人公の方がサイコってます。

ALF(動物解放戦線)の連中も個性豊かで、映画のサイドストーリーとしてしっかり飽きさせない活躍をしていました。超人的な主人公と比較して、こちらは人間の弱さを見せる役回りだったのかな。コメディリリーフとしてもシュールな感じでとても良かったです。

あとはなんといってもオクジャかわええですよ。でかいくせに愛くるしい仕草をするものに、みんな弱いんですよね。薄汚れててちょっと怖い見た目なはずなのに、映画を見終わる頃にはその可愛さにやられていると思います。

ストーリー展開ですが、これは最初にも話した通り退屈だと感じる時間がなく、各陣営の思惑や行動が目まぐるしく変わっていくのが、あぁ、エンタメ成分を補給しているなと満足できました。ラストに関しても、実に韓国映画らしいハッピーエンドなんだけどめっちゃビターというか。ちょっと深めの傷跡を視聴者の心に残す終わり方でした。

欠点という欠点はあまりないんですが、やっぱ主張が強い映画にはなるので、合わない人には本当に合わないタイプの映画だと思います。私みたいに面白ければなんでもよし! な感じの視聴者だと楽しめるでしょう。

まとめです。効率的な畜産に対する批判を前面に出しながらも、展開の面白さで押し通す。監督の手腕が光る映画でした。豚可愛いです。

以上、今年も残すところあと数時間です。お疲れ様でした。

視聴:ネトフリ

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