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【感想】バトル・インフェルノ

2019年 アメリカ 95分
監督 ダミアン・レベック
出演 シリット・ブラッドリー
   ダン・クリフトン

あらすじ

主人公のマックスはインチキエクソシスト。親友のドリューとともに、除霊番組(ヤラセ)で日々荒稼ぎしては女を取っ替え引っ替えして大騒ぎする毎日だ。
今日も一発同時接続を稼ごうと準備するが、手配していたはずの取り憑かれる役の人がなかなか来ない。仕方なくドリューの婚約者であるレーンを代役にして番組をスタートさせたが、何やら様子がおかしいことに気づく。なんと彼女は本物の悪魔に取り憑かれていたのだ!
地獄の王vs偽物神父! 勝利の女神は果たしてどちらに微笑むのか!?

感想

あらすじを見る限りではギャグ寄りのホラーっぽい印象を受けるかもしれないが、驚くことに本編にはコメディ要素は一切なし。伝統芸能とも言えるエクソシスト映画に、現代ならではのエッセンスを上手く融合させた、まじめなホラー映画になっています。

いや、面白いことは面白かったんだけど、なんかもっとユーモアたっぷりに悪魔と戦うもんだと思ってたので、だいぶ肩透かしを食らった感じ。煽りではいかにも対決します!って感じだけど実際はやられっぱなしだし。パッケージに対して中身の弾け方が足りない。B級ホラーはいかにぶっ飛んでいるかが肝なのに……。

とまあ、個人的なB級映画評はさておき、本編ですが、とても堅実に作られていたと感じました。スタジオ内という閉鎖された空間と、配信時間というタイムリミットのおかげで、ストーリーを通してずっと緊張感がある作りになっており、すごくドキドキさせられた。肝心のホラー描写もジャンプスケアに頼りすぎているわけでもなく、しっかりとシチュエーションで怖がらせてくれる。

話の流れもある意味お手本通りというか、きっちりとエンタメを意識したものになっていて良かったです。最初は悪魔にやられっぱなしだった主人公たちが、なんとか解決策を見出してバトルが盛り上がり、最後はホラーらしくどんでん返しが起こって幕を閉じる。きっちりとした起承転結で話にも入りやすかった。

最初にも書いたけど、エクソシスト+ネット配信という描き方も斬新で面白かったです。エクソシスト映画として王道なホラー展開がある中、ネット特有のいやらしい人の怖さというかジメジメした醜さも描かれていて、うまいこと一つの作品に落とし込めているなと感じました。

悪魔が「バズってるな」なんて言うシーンも、この映画ならではのユニークな表現でとても面白かった。

ただ、最後までずっと楽しく見れたかというとそうでもなくて、途中から始まる主人公たちの懺悔祭りはちょっと尺が長すぎて飽き飽きしてしまった印象です。俺はインチキ神父なんだ!って視聴者の前で告白させるシーンがメインで撮りたかったというのはわかるんですが、金を多めに貰ってただの、親友の彼女と寝てただのは蛇足だったかも。

あとは終わらせ方も嫌いではないんですが、これまでの職人っぽい丁寧に作り上げられたストーリーラインからすると、割と雑に放り投げた感があって、あぁ結局B級映画かと少し冷めてしまいました。悪魔の目的が分かりやすく、どんでん返しと言ってもラストシーンにあまり新鮮な驚きがなかったのも要因だったのかもしれません。

そんな個人的にちょっと「うーん…」となる部分はあるものの、これまで見たことのないハイブリッドな映画で、総合的には中々楽しませてくれるじゃない、って感じの感想です。

はい、まとめです。エクソシストという使い古された題材に一石を投じた意欲作。フォロー作品が出てきてもおかしくない完成度の高さです。最近不調なサメ映画とゾンビ映画にも是非メスを入れてほしいと感じました。

あと、関係ないけどアメリカのYouTuberって露骨にグッズ販売や宣伝をするけど、日本じゃあんまり見かけないのは国民性の違いなのかな、と思いました。マジで関係ない話だな。

以上、今年もあと少しです。お疲れ様でした。

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