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【感想】トランス・ワールド

2011年公開 アメリカ
監督 ジャック・ヘラー
出演 キャサリン・ウォーターストーン
   スコット・イーストウッド
   ショーン・サイポス

あらすじ

それぞれの事情で森に迷い込んだ3人の男女。脱出を試みるが、どれだけ歩いても最初の小屋に戻ってきてしまう。奇妙な土地に混乱する彼らだったが、どうやらおかしいのは場所だけではなく…。出会うはずのなかった彼らの、数奇な運命を描いたサスペンスミステリー。

感想

「配られたカードで勝負するしかないのさ。それがどう言う意味であれ」

漫画「ピーナッツ」より

かの有名なスヌーピー御大の名言である。なぜ引用したかと言うと、別に人生に対して熱く語りたいわけではなく、この言葉が低予算映画(もしくはB級)にも当てはまると思ったからだ。

本作は見るからに低予算だ。映像も荒いし、特殊効果も古臭い。ロケ地もずっと同じ場所。これが下手なB級映画であれば、意味不明な急展開や奇抜な設定を入れて無理矢理味を出そうとした結果、Z級などと揶揄される作品が出来上がる(稀にとんでもない化学反応が起きることもあるが)。その点、本作はしっかりと王道的な面白さを追求して作られていると感じた。

特筆すべきは、ストーリーの謎が明かされていくスピード感が絶妙なところ。早過ぎず遅過ぎずで、しっかり観客の理解する早さに合わせてストーリーが進行するので、飽きることなく映画と並走できる感覚だった。真相はそこまで斬新ではないものの、そこに至るまでのプロセスが懇切丁寧に作り上げられていて、脚本の完成度の高さが伺える。

あとはほどよく複雑なのも良いポイントだと思う。現代人はわがままだから、「サスペンス」と銘打たれている作品だったらある程度こんがらがった話でないと満足しないし、かといって解説しているブログに飛ばないと理解できないような映画だと「自己満足! オ◯ニー!」とぶーたれる。安心してくれ。本作はそこんとこ良い塩梅だから。

個人的スコスコポイントは何と言っても伏線の貼り方だった。私は伏線大好きっ子なので、最初から最後までほぼ伏線まみれの本作は非常に満足できた。一番感心したのは「パックマン」のところ。物語の真相にも関係しているし、ラストシーンでの行動にも繋がってるしでもう最高。

とまあベタ褒めしているわけだが、あくまでこれは低予算映画として見た上での評価であって、誰が見ても楽しい映画表現になっているかと言うとそうでもなくて。クリント・イーストウッドの息子はめちゃイケメンだけど、演技はお世辞にも上手いとはいえないし。全体的に2011年とは思えない安っぽさは拭えないしで。だってハリポタの死の秘宝とかやってた時期ですよ奥さん。

まとめると、ある程度の映画好きが、「ほーん、いいじゃん…」ってまったり悦に浸るための作品って感じです。そこんとこ注意して鑑賞しましょう。

そして最後になりますが、実は冒頭に書いたスヌーピーさんの名言、映画の内容と非常にリンクしていたりする。どう関係するかは実際に見て確かめてみろ、てな感じで。

お疲れ様でした。

視聴:アマプラ


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