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【感想】オフライン・ワールドへようこそ

2022年 チリ
監督 ディエゴ・ロウギエル
出演 ハビエラ・コンタドール
   ヘス・ハラン
   ディエゴ・ロハス

あらすじ

ヴィクトリアは典型的なSNS中毒の中年女性。別れた夫から息子と娘を預かるが、ネットに夢中でほったらかし。彼女の関心ごとは、憧れのソーシャルネットワーク会社で働くことと、『いいね』だけ。
そんなある日、なんと太陽フレアの影響で全世界のインターネットが止まってしまう。生き甲斐だったネットを失った世界に失望する中、彼女は徐々に家族と向き合っていく……。
チリ発のファミリーコメディ映画。

感想

『〇〇へようこそ』6作目はおそらく人生初のチリ映画。チリワインはコスパが良くていつも楽しませてくれてはいるが、果たして映画はいかほどか。

ストーリーについて言えば、良くも悪くも普通の家族ものって感じでした。新鮮味はないものの、わかりやすい展開で最後は家族仲良くハッピーエンド。細部の作り込みが甘く、感情の変化がいささか急すぎるとは思いましたが、常にアップテンポな映画なのでそこまで気にはならなかったです。

家庭内+ご近所さんという狭い範囲での話なので、登場人物も少なめ。場面があちこちに飛ぶこともない。とても簡単な内容なので、ぼんやり見るのに最適です。

問題点というか賛否両論なポイントは主人公のキャラクター。唯我独尊な大阪のおばちゃんって感じで、苦手な人はとことんダメかも。やけに軽犯罪に走りまくっているのでわれわれ真面目(?)な日本人から見れば嫌悪感があるかもしれないってところも注意点です。自分的にはコメディの範疇と文化の違いって考えれば、そこまで拒否反応はなかったですが。

そんなわがままなヴィクトリアさんなんですが、その分ラストで子供達に愛情を伝えるシーンでは、これまでとのギャップが大きく、凄く感動させられるシーンとなっていました。おそらくノリと勢いだけで感動させられているんだと分かってはいましたが、それでもグッと心を掴まれる。あのラストだけで、この映画を見てよかったなと思いました。

次に、期待していた『チリっぽさ』はあったのかというところですが、それが果たして本当にお国柄なのかは分かりませんが、独特な部分はいくつかありまして。

まず、舞台となるチリの風景なんですけど、テーマが思いっきり今風だったためか、現代的でアメリカの街並みと大差ありません。ただ、小物とか服装とかがやたら原色的でカラフルなんです。割とどぎつい色使いなんですけど、生活と調和しているからか不快感はなく、映画全体に明るく元気な雰囲気を与えていました。

あとはやっぱりリズム。何気ない会話とか身振り手振りでも、とてもリズミカルに表現していて、こっちまでノっちゃう感じ。スペイン語の語感がいいってのもあるかもしれません。特に主人公がテンション上がった時なんかもう手がつけられないほどノリノリで、目でも耳でも楽しい。

これがラテン系全体のノリなのか、それとも地理特有のものなのか。今後もいろんな国の映画を鑑賞して知見を広めていきたいなと思わせる一作でした。

まとめます。ありきたりなストーリーながらも、チリ特有(?)の個性が溢れていてハイテンションで楽しめる映画、でした。主人公の癖が強すぎるのでそこは注意!

以上、次でよろしくシリーズは終了します。お疲れ様でした。

視聴:アマプラ

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