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【感想】パレードへようこそ

2014年 イギリス
監督 マシュー・ウォーチャス
出演 ベン・シュネッツァー
   ジョージ・マッケイ
   ドミニク・ウェスト
   ビル・ナイ

あらすじ

ゲイの活動家マークは、ある時、政府による炭鉱夫への締め付けを偶然テレビで目にし、自分たち同性愛者と同じ目にあっている彼らを救うべく、『炭坑夫支援同性愛者の会』(LGSM)を結成する。マークたちはある程度の募金を集め、労働組合へと寄付の電話をかけるが、彼らがゲイだという理由で断り続けられる。
やっとの事で取り合ってもらえたのは、ウェールズにある小さな炭鉱町、オンルウィン。街の住民は初めこそ冷たい態度だったものの、彼らの真剣さと明るさに次第に打ち解けていき……。
1980年代イギリスでの実話を元にした、ゲイとレズと炭鉱夫のヒューマンドラマ。

感想

〇〇へようこそシリーズ、7作目のラストを飾るのはようこそ界の大御所、『パレードへようこそ』。知名度はおそらくナンバーワンだが、粒揃いのようこそシリーズにおいて、存在感を発揮できるのか。

できるに決まってるだろ。スケールがちげえわ。

実話ベースの映画って、私はストーリーにあんまり期待してないんです。有名になるくらいの話だから、始まりと終わりの展開は凄くドラマチックなのは分かってます。難しいのはその始点と終点をいかに繋ぐかでして、これが大概面白くないことが多いというのが個人的な意見。あまり逸脱しすぎると事実から外れてしまうので、決まったレールの上でストーリーを展開するほかなく、脚本の自由度が少ないっていうのが理由だと思います。

それでは今作はというと、始まりから終わりまで、ずっと面白い展開がてんこ盛りなのが凄かった。コメディとしてというより、この後どうなるのかハラハラする感じの面白さ。ストライキ全体から個人同士のやり取りまで、全て続きが気になる緊張感がある。かと思えば、ホッと和むような展開になり、気を抜いたところにまたハラハラ。緩急の付け方が非常に上手く、観客の目をずっと引き付けていたいというのを感じました。

LGSMと炭鉱町とで、それぞれ別に話が展開したりくっ付いたりと目まぐるしく舞台が変わるんですが、そういう場面転換が多いのに散らかっている印象はなく、物語としてきちんとまとまっているのも映画として見やすかった。それは、全編一貫して『連帯』つまり人と人とのつながりをメインテーマに置いてぶれていないのが大きいんじゃないかなって思います。しっかり芯が通ってる。

キャラクターでいうと、炭鉱町の肝っ玉母さんへフィーナがお気に入り。演じているのはイメルダ・スタウントン。ハリーポッターのアンブリッジ先生役と言えば多分みんな分かるはず。厳しい口調なのだが、懐の広さも感じられて本当にいいおばちゃんって感じ。

他のキャラクターたちもみんな熱演されていて、特に同性愛者を演じている人たちは素晴らしかった。普通の男っぽい格好をしてるのにちゃんとゲイっぽいというか。身振り手振りなど細かいところまで演技指導されてるんだと思う。

寂れたイギリスを描いた作品として『フル・モンティ』とか『リトルダンサー』とかあるんだけど、それらとは違い、あんまり退廃感というのはなかったと思います。フレッシュな人間の力強さをしっかりと描いていて、暗さよりも明るさが目立つ作品でした。

まとめです。同性愛者と炭鉱夫の、奇妙で温かい『連帯』を描いた作品。ラストのパレードシーンは涙腺崩壊間違いなし! な映画でした。

明日はよろしくシリーズをまとめようと思います。お疲れ様でした。

視聴:アマプラ

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