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新社会人に覚えておいて欲しい、社会と仕事とお金の話

これは「えばらアドベントカレンダー2020春」の4日目の記事です。
投稿者:倉田宏昌

新社会人の皆様入社おめでとうございます。倉田です。
昔書いたblogを少しリライトしました。

勝手な私見が入ってたりしてますが、仕事を嫌々するのではなくその意義を理解し、胸をはって働ける人が一人でも増えると幸いです。

◆『社会』の成り立ち

唐突ですが、1人で1万年前のジャングルにタイムスリップしたと想像してみてください。あなたが普通の現代人なら生命を継続することも困難でしょう。勿論、現在身の回りにある便利なモノやサービスなど望むべくもありません。しかし、これが1人ではなく100人だったとしたら生存確率が飛躍的に上がると予想されます。何故かというと『助け合う』事ができるからです。

①狩りをするのが上手な人が狩りをする。
②魚を釣るのが上手な人が魚を釣る。
③力が強い人が木を切る。
④器用な人が様々な道具を作る。
etc…

この様に分担して価値創造を行い、得られた価値をそれぞれ交換する事によって、1人で生きるよりも豊かに生きる事ができると考えられるのです。

アダム・スミスが国富論の中で次の様な事を言ってます。「富とは生産からくるもので、それを改善する最大の要因は分業である。」

ピン製造の話が有名です。①針を作る。②頭部を作る。③針と頭部を接着する。これらの工程を1人で全てやるよりも、①の針を作る専門の人が針を作りつづけ、②の頭部を作る人が頭部をつくりつづけ、③の接着する人が接着に集中する方が、遥かに生産性が高いのです。

実は皆さんが生きてる現代社会もこの1万年前の分業の延長線上にあります。1万年前の様に単純ではなく、現代社会の分業は細分化され複雑怪奇に発達しているので、一見すると分業しているように見えないかもしれません。ですが、皆さんが社会人経験を積み、社会全体を多少なりとも俯瞰して見れる様になれば、私達は『助け合って生きている』という事を実感できるはずです。

現代社会も、それぞれが得意な事に特化して価値を創造し、それを交換し合う活動を通して社会は成り立っています。だから本当は、仕事というのは『誰かの役に立つ事』なのです。

◆『価値』とはなにか?

さて、分業の説明の中に『価値』という単語がでてきました。
価値とは何でしょうか?この価値についての理解も社会人には必要です。

あえて2つに分ける必要もないんですが、のちの説明の為に分けました。
人間社会における『価値』とは次の2つで構成されています。

①生きる為に不可欠なもの
 ex.) 水、食料、衣服、住居、エネルギー、命、etc…(大体みんな同じ)

②より良く生きる為に必要なもの
 ex.) 幸せ、楽しみ、愛情、健康、美、自由な時間、etc…(人による)

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少なくとも人間にとって価値があるコトとは、生きる為に不可欠なもの、もしくはより良く生きる為に必要なものであると言えるはずです。

価値の大小はとてもシンプルに、重要性の大きさ ≒ 価値の大きさ、と考えて問題ありません。しかし価値と価格は別物です。価格は価値の大小だけでは決まりません。価値が大きくても供給が大量にあるモノの価格は低くなります。皆さんよくご存じのマーシャルの需要供給曲線ですね。

価格と価値は別物だと話しましたが、価値そのものも時間や時代と共に変化をしたりします。

例えば、釣った魚。釣り上げた時点では食料としての価値がありますが、何もせず1週間も放置すると腐って価値を失います。例えば、最新の流行のデザイン。あんなにカッコいいと思ったものも、数年たって見返してみればダサくて話にならないかもしれません。

社会人として大切なのは価値の大小を見極めると共に、その変化の大きな流れを見極めるコトです。食料やエネルギーなどの“生きる為に不可欠なもの”の価値はある程度安定している傾向にあり、娯楽などの“より良く生きる為に必要なもの”の価値は比較的遷ろい易いです。しかしいずれも様々な外的要因によって驚くほど価値が変わります。

◆『お金』とはなにか?

とてもシンプルなのですが、大人でも理解していない人もいます。

結論から先に話しましょう。お金とは『価値をコントロールする道具』です。
それ以上でも以下でもありません。

お金そのものに価値はありません。せいぜいケツを拭く紙になる程度です。お金は信用をベースに価値を代替します。ここ話が長くなるので割愛します。詳細を知りたい人は竹中さんの本でも読んでみてください。

お金には価値をコントロールする3つの機能があります

①価値の尺度
お金はモノの価値を客観的に表す尺度となる事ができます。金額によってその価値の大きさと希少性を表すという事ですね。ここでいう価値は、希少性も含めて価値と呼んでいるので、先ほど話した希少性を排した絶対的な価値とは異なり、ちょっとややこしいですが、まぁ、余り気にしないでください。

②価値の交換手段
お金は価値交換のより柔軟な手段になります。説明不要ですね。物々交換では互いに欲しい物を持っている必要があるなど様々な不都合がありますが、お金がある事でより柔軟な価値の交換が可能になるワケです。

③価値の蓄蔵
先ほど価値は変化すると説明しましたが、お金はその価値を保存する事ができます。これ強力です。例えば、食用として釣った魚は1週間後には腐って価値がなくなってしまいますが、その魚を早い段階でお金に変えておけば、1週間後どころか1ヵ月後でも、その時の魚の価値を自分が保持する事が出来るワケです。

で、ここから重要。お金は価値をコントロールする道具だと言いました。このお金ってスゴイ発明なんですが、でも価値の全てを扱うには全くもって不完全なんです。お金が先ほどの3つの機能をもとに力を発揮できる範囲は下の図のような範囲です。

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“生きる為に不可欠なもの”はある程度お金でなんとかなる事が多いですが、例えば命は買えません。死ぬ間際になっていくらお金払っても、多少余命は伸びるかもしれませんが、それでもやっぱり死にます。水とか酸素だって場所によっては買えません。

“より良く生きる為に必要なもの”はさらにお金で扱えない範囲が大きいです。ある程度までは娯楽も美も健康もお金で入手できますが、信用や愛情や達成感など、人生の中で大切なものの多くはお金では手に入れるコトが出来なかったりします。

どこかのカード会社の宣伝じゃないですが、お金で買えない価値はいたるところにあります。勿論お金は大事です。でも、価値を代替するのが役割のくせに、全ての価値を扱う事が出来ない中途半端な野郎なんです。

だから覚えておいてください。本当に大切なのは『価値』であって『お金』ではないのです。綺麗ごとを言っているのではありません。勿論お金は大切です。でも、それは何故かというと価値を代替してるからです。

社会人になる皆さんは、お金ではなく価値に注目しましょう。価値に対するセンスを磨く事です。お金の世界はそれはそれで難しいですが、価値創造の方がきっと未来があります。価値があればお金はだいたい勝手についてきますし、時代はそういう方向に流れています。

◆『ビジネス』とはなにか?

多くの新社会人が、ビジネスとはお金稼ぎだと思っていると思いますが、それは間違いです。お金を稼ぐだけなら詐欺の方が儲かるかもしれません。非合法だからダメというなら、ギャンブルだっていいでしょう。パチプロではそんなに稼げないかもしれませんが、ポーカープロは何億円も稼いだりします。世界のヨコサワ君とかたまに見てます。Make sense!!

ビジネスとは単なるお金稼ぎではなく、『価値』と『お金』の交換なのです。価値を提供してお金と交換するのがビジネス。勿論、言葉なので違う意味で使っている人もいるかもしれません。でも少なくとも当社にとってのビジネスの定義はこれです。

僕はビジネスほど志の高い活動はないと思っています。ビジネスは相手あっての活動です。それぞれの損得でマトリクスにしてみるとその志の高さがわかると思います。

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ほら!ビジネスってすごいでしょ!

お互いが得する活動こそがビジネスです。だから僕はビジネスをとても誇りに思っています。価値とお金の交換だけじゃなくて、価値と価値の交換もまたビジネス(取引)たりえるでしょう。でも、誠意を持って「結婚もビジネス(取引)だ!」とかいうと、女性からドン引きされたりします…

ボランティアもとても素晴らしい活動ですが、ちょっと語弊がありますがビジネスよりも簡単です。勿論簡単な事ではありませんが、一方的に与えれば良いので。ビジネスではお互いが得しなければいけません。お互いが得する活動は、いつも意識していないと簡単には見つかりません。

もう一つ若い皆さんに覚えておいて欲しいのは、図の右上。相手の損を自分の得に変える行為をやってはいけないという事です。それは「奪う」という単語で表される行為です。合法であれ非合法であれ「奪う」という行為は最も恥ずべき行為だと思います。ビジネスという単語を、この奪う行為と勘違いしている人がたまに居ますが絶対に違います!ビジネスは不必要なものを売りつけて搾取する行為ではありません。

信じられないかもしれませんが、世の中には価値を提供せずに(もしくは見合わない)お金を取る様な会社は意外なほど多く存在します。だからいつも、自分が創り出す価値について考えてほしい。あなたは誰の何の役にたっているのか?!相手から奪っていないか!?

ビジネスは相手から奪う行為ではありませんが、ビジネスの中で唯一相手の損を考えなくていい相手がいます。それはコンペティション(競争)における、コンペティター(競争相手)です。

コンペティターとの戦いは勝負の世界です。勝負の世界とは、誰かの損が誰かの得になる(要するに勝者と敗者がいる)というルールを全員が理解した上で競争する世界です。プロスポーツやギャンブルなどがまさにそれにあたりますよね。厳しい世界です。

コンペティターとの戦いはビジネスをよりスリリングで楽しいゲームにしてくれます。大人なんでいがみ合ったりとかないんですよ。コンペティターは同じ世界を夢見る仲間でもあるのです。チームは違うけど、甲子園優勝を目指す球児同士!って感じかな。当たり前のことですが、どの会社の提案が採用されるか?!というシーンで競合他社の損を考える必要はまったくありません!一番良い提案を行い仕事を勝ち取りましょう!


・・・という事で、リライトしてもちっとも短くなりませんでした。すいません。
若い皆様が社会に立派に適応し、素晴らしい人生を送られますように!

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