見出し画像

追憶、買います。

他人との交流は楽でいい。他人の話にメトロノームのように相槌、肯定を繰り返すだけで大抵上手くいく。
酷いと思うかな。だけど、それで相手が勝手に自信をもってその先を上手くやっていく、大正解じゃあないですか。

他人を肯定するように、自分自身を肯定できるなら、どれだけ楽だろうかと毎晩のように考えている。
自分の肯定できる部分を探して、考える。
見つからない。それならば、と創作を試みる。偶然誰かを助けた過去の記憶に縋るように、当時の自分に良心を創作して、その記憶を俯瞰して眺めてみる。少しだけ気持ちが楽になる。
これなら眠りにつける。


つまるところ、自分自身を肯定できるだけの記憶が欲しい。『追憶売ります。』のように記憶を買いたい。事実でなくていい、精巧な創作物でいい。
元々ある記憶との乖離で、その記憶が偽物だと分かってしまうかもしれない。偽物かもしれない、だけど自分自身を肯定するに値するその優しい記憶に縋りながらも生きていく。
そんな人生なら素晴らしいものじゃあないですか。

この記事が参加している募集

#眠れない夜に

69,841件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?