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日記 : 忘れ物

「何もすることがない。」
久しぶりにそう思った。
別に自分は多忙な人間では全くない。
"何もしなくてもいい日"というのは他の人と比べて随分とある。その中で、本を読みたいとか、美術館に行きたいとか、そんなが欲望が何もない、作れないのが今日だった。

であれば。
「街へ出てみよう。」
そう思うが早いか、数分後には鉄道に乗り、降りた事のない駅で降りた。
喫茶店で昼食をとり、散歩をする。
道すがら、"鉄道忘れ物市"なるものに遭遇した。
名前の通り、落とし主が現れないままの鉄道での忘れ物が売られていて、そのどれもがかなりの格安で売られていた。

商品としてはやはり偏りが強く、傘やベルト、ネクタイ、時計などがかなり多かった。
傘は言わずもがな、ベルトやネクタイ等は酔っ払った人間が脱いだものなんだろうなと想像できる。
おもしろかったのが鳥籠やベビーカーで、
忘れた経緯を想像しているだけで随分と暇がつぶせた。

偶にはこんな日があってもいい。

また、「書を捨てよ、街へ出よう」の元となった
アンドレ・ジッドの"地の糧"が40年振りに復刊となるらしい。
読みたかった作品なので嬉しい。
地の糧を読み終わった頃にまた、街へ出よう。

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