あなたの創作をブーストする、超実践的トークイベント! プロ作家が考える「キャラクターの生み出し方・動かし方」――日向夏さん×馬場翁さん×丸戸史明さん
人気作家の日向夏さん、馬場翁さん、丸戸史明さんの三名をお招きしたトークセッションが、8月26日(土)にnote placeで行われました。
満員札止めとなる中で開催された本イベントのテーマは、「キャラクターの生み出し方・動かし方」。聞き手はnoteディレクターで編集者の萩原猛です。
日向夏(作家・漫画原作者)
2012年に、WEB連載していた『薬屋のひとりごと』が書籍化されて小説家デビュー。同作はシリーズ累計発行部数2400万部を突破する大人気作となり、2023年10月からはTVアニメも放送予定となっている。その他、『聖女に嘘は通じない』、『トネリコの王』、『緋凰仙華』、『路地裏の精霊姫』、『繰り巫女あやかし夜噺』、など、数々の作品を執筆してきた。
馬場翁(作家)
2015年5月より、『蜘蛛ですが、なにか?』のWEB連載を開始。同年12月にはカドカワBOOKSから書籍化して、全16冊を誇るヒットタイトルとなった。2021年1月にはアニメ化もされており、他の代表作に『エスケープ・シープ・ランド』があり、『テイルズ オブ ルミナリア』のメインシナリオにも参画している。
丸戸史明(シナリオライター・作家)
2002年にゲームシナリオライターとしてデビュー。『パルフェ 〜ショコラ second brew〜』『この青空に約束を―』『WHITE ALBUM2』など数々のヒット作を手がけたのち、2012年に『冴えない彼女の育てかた』で小説家デビュー。全13冊+短編集7冊刊行されるヒットタイトルとして、2回のTVアニメを経て、劇場版アニメにもなった。2022年にはオリジナルTVアニメーション『Engage Kiss』のシリーズ構成と脚本も手がけている。
キャラクター / ストーリー / 設定、どこから考えていくか
――今回は皆さんが一番悩むところであり、大事なところでもある、キャラクターにフォーカスしていきたいと思います。最初のテーマは「企画を考えるときに、どこから手を付けるか」ですが、日向夏さんの場合はどこから考えますか?
日向夏さん(以下、日向夏) キャラクターから考える場合もがあれば、世界設定から考える場合もあります。『薬屋のひとりごと』の場合、まずキャラクター設定から手を付けましたが、最初に考えた猫猫 は炭鉱の街に住む、3人の子持ちの、元娼婦の下女という人物だったんです。
あまりにも一般的ではないキャラクターだったので、かわいくするために年齢を若くして、子持ちはやめてと、キャラクターを少し膨らませてから、世界観と設定まで作っていきました。舞台も地味な鉱山から、煌びやかな後宮に変えましたが、後宮なら毒があってもおかしくはないですしね。
――キャラクターから設定を考えたということですね。できあがった設定に合わせて、またキャラクターを作り直したとのことですが、このときの性格設定はどうされたんですか?
日向夏 元娼婦のスレた感じは、そのまま残っているのかなと思います。普通に書いているつもりでも毒舌毒舌と言われるので、元のキャラクターが滲み出ていたのかもしれません。
最初に作ったところからまるっと変えたのではなく、設定に合わせてキャラクターをずらしていった感じですね。
――ストーリーについてはいかがですか?
日向夏 たとえば最初に作った段階でも、毒で赤子が亡くなるエピソードは入っていました。それを鉱毒ではなく、鉛の毒に変えています。大奥でもよくあった鉛白の毒に変えた方が、話として妥当ですし、分かりやすいだろうなとも思ったので。
――馬場さんの場合はキャラクター、ストーリー、設定のどこから手を付けますか?
馬場翁さん(以下、馬場) 私の場合はまず、最初から最後までのストーリーを考えてから、そのストーリーに合うキャラクターを配置していきました。
――その作り方では、キャラクターがストーリ−や設定の駒になってしまうリスクもあります。『蜘蛛ですが、なにか?』の蜘蛛子は決して駒にならず、ストーリーを引っ張っていく存在になりましたが、何故このような性格になったのでしょうか?
馬場 生き延びるには根性が必要な状況だったので、あんな感じになりましたね。まずは舞台設定から入り、舞台に耐えられるキャラクターを考えました。
――細かいエピソードや障害まで、最初から考えていましたか?
馬場 そこまでは考えていませんでした。ストーリーの大きな分岐点や、チェックポイントをいくつか考えて、合間合間のエピソードを即興で書いていきました。
――『蜘蛛ですが、なにか?』は壮大な話になりましたが、あの物語を書こうとしたきっかけは何ですか?
馬場 最初は「小説家になろう」のテンプレを書こうと思っていたんです。物語のラストがどこに辿り着くのかを考えて調整して、魔改造を繰り返すうちに、流行りやテンプレからは外れていきましたけど。
――丸戸さんの場合はキャラクター、ストーリー、設定のどこから手を付けますか?
丸戸史明さん(以下、丸戸) 僕は一作を当てて、「これだけで食っていけるぜ!」という人間ではないので、お題が一番先にきますね。そういう意味では作品の舞台から考えています。
元々やっていた美少女ゲーム作品の場合は、舞台の次にヒロインを。そうでない作品の場合は、舞台の次に主人公を考えます。主要キャラクターから紐づけて、キャラクターの関係性によるネットワークができてから、どんなストーリーを作るのかを考えます。
――ライトノベルは1冊256ページから、多くても320ページくらいの厚さにまとめる必要があります。ゲームとは違い連続で刊行されるものでもありますし、媒体の違いで戸惑うこともあったのでは?
丸戸 難しさは特に感じませんでしたね。ライトノベルの良いところは、200ページを過ぎた辺りで体力が切れそうになって、そこで話を終わらせにいくと、ちょうどいい文量になるところです(笑)。
――ゲームのストーリーはライトノベルよりも長いですが、シナリオは最初から全部考えていますか? それともキャラクターが動いた結果として、シナリオができあがるのでしょうか?
丸戸 話のゴールは先に決めておきます。エンディングとキャラクターを用意してから、途中にある「なんやかんや」の部分を、どう埋めていくかが頑張りどころですね。キャラクターに任せていたのは、プロットの段階でぼんやりと決めてあった部分です。
キャラクターを生み出すための、取っ掛かりは?
丸戸 僕は流行りのキャラクターを参考にしています。あとは自分の中に眠っている、「こういうキャラクターを書きたい」、「こういう仕草を書きたい」という衝動ですよね。これを上手く組み合わせると、結構売れますよ(笑)。
凄い性癖のものを書くと、大ヒットするか、まったく売れないかのどちらかになると思います。僕はそこそこの人たちに届くものを書いていますが、皆さんには是非、大ヒットするものを書いてほしいと思いますね。
――流行りもあると思いますが、直近で見た作品に影響されますか?
丸戸 滅茶苦茶されます。しかし参考にしたキャラクターがいても、作る過程で自分の性癖に染め上げてしまえば、まったく違うキャラクターができあがりますよ。
馬場 私はストーリーが先にあるので、「ストーリー通りに動くキャラクターはどういうキャラクターか」を逆算して考えています。これまた丸戸さんとは違うアプローチですね。
――キャラクターが駒になると、魅力がなくなることが多いと思います。馬場さんはこの関門をどう突破していますか?
馬場 キャラクターが「作品の世界で生きている」ことを念頭に置いています。ストーリーのための駒というよりは、キャラクターが考えて行動した結果、ストーリー通りに動いてくれるという大前提があるんです。
人間って生きているうちは、意見がころころ変わると思うんですよ。これはキャラクターがブレたというよりは、その時々の状況で意見が変わっただけなんです。どうして変わったのかが分かるイベントを作中に設けて、成長や心の変化として描写していくと、駒の印象は薄まるのではないでしょうか。
――日向夏さんは、どこからキャラクターを発想しますか?
日向夏 私の場合は3ルートありますが、まず1つ目のルートでは、ハマりそうな漫画を何十冊も読みます。頭が痛くなるまで読んだら、絶対に読んだ作品を元にしたキャラクターが夢に出てきます。翌朝まで覚えているキャラクターは印象に残ったということなので、それを主役にすればしばらくはネタに困りません。
2つ目は脇役によく使うやり方で、主人公がやらない行動を、代わりにやるキャラクターを考えます。砂糖系の甘いキャラクターばかりだったら塩系のキャラクターを入れるみたいに、役割を補うキャラクターを作ります。
3つ目は少年漫画の表紙とかを見て、見た目が気に入ったキャラクターの設定と、人物像を作ってみます。他の情報を一切入れずに、見た目だけで設定を考えてみるんです。原作を読んでみたらまった全く違う人がいるはずなので、絶対にパクリにはなりません。
キャラクターがうまく動かない! そんなときはどうしますか?
馬場 作中の人物が生きていることを念頭に置いているので、困ることはないです。生きている人が止まることはないですから、動かないことがないですね(笑)。
丸戸 進めたい方向に動かないとかはない?
馬場 キャラクターが動くままに書いた方が、生きた文章になると思うんですよ。止まってしまうのは、ストーリーの齟齬や設定を気にしすぎているからだと思いますが、最終的に話の辻褄が合っていれば、それでいいと思います。
――キャラクターがうまく動かないとき、丸戸さんならどうしますか?
丸戸 キャラクターが動かないときは、「俺は今、このキャラクターを本当に好きか?」と自問します。抱きしめたいとか、泣かせたいとか、そういう衝動がなければ、もっと大好きか大嫌いになれるようにアプローチをしていきます。
――日向夏さんの場合はいかがでしょうか?
日向夏 うまくいかない時は、補佐をするキャラクターを新しく出します。あとは「なろう思考」になって、「毎日2000文字を絶対に書かなければならない」と決めておくと、面白いかどうかはさて置き、とりあえずは書けます。それが面白くなければ、あとで直せばいいですから。
丸戸 日向夏さんのやり方では、工数が増えますね。
日向夏 だから『薬屋のひとりごと』の出版は、本当は年1冊にしたいんですよ(笑)。
あなたが考える、いいキャラクターの条件とは?
丸戸 自分がポジティブ・ネガティブの衝動を持てるキャラクターですね。ポジティブ6:ネガティブ4くらいのバランスで作ると、いいキャラクターができる気がします。これは主人公に限りません。
――キャラクターは、作者の想いを込めて動かしますか?
丸戸 バランスですよね。ストーリーがあって、ストーリーにハマるキャラがいて、作者の性癖があって。この3つが渾然一体としていると、最終的にはいい感じになります。
馬場 自分の好き嫌いをどこまで詰め込むかですね。でも私の場合は、そのキャラクターにどんなシーンをやってほしいのかが先にきます。このシーンは滅茶苦茶エモい、このシーンは滅茶苦茶カッコいいというのがあって、それを務め上げられるキャラクターを作ります。
――まず作中のシーンがあって、そこを一番上手く演じてくれる役者を、捕まえてくる感じですね。実例はありますか?
馬場 たとえば『蜘蛛ですが、なにか?』で言うと、勇者の兄貴がそのパターンです。あれは自分が思う「カッコいい」を詰め込んだキャラクターですから。でも大体のキャラクターには見せ場や演じてほしいシーンがあるので、好き嫌いがないと、魅力的なキャラクターにはならないと思っています。
――丸戸さんに戻りますが、キャラクターを作っている段階で、シーンのことはどれくらい意識しますか?
丸戸 思いついたものは先に企画書に書いておきます。でも「このキャラクターが育ったらこういう行為をする」とか、「俺はこういう行為が見たい」というのは、書いているうちに出てくるものですからね。
結果がエモいシーンになると信じてキャラクターを作りますが、いいシーンにならなかった場合は、自分がそこまでキャラクターを好きになれなかったのかなと思います。
――日向夏さんが考える、いいキャラクターの条件は何だと思いますか?
日向夏 マイナス要素をたくさん入れてもウザくなければ、それだけでいいキャラクターだと思います。いいキャラが出るまでガチャを回すしかないので、脇役で試してみたりもしますね。
――魅力的な脇役を、他の作品で活かすことは考えますか? たとえば外伝で主人公にするですとか。
日向夏 『薬屋のひとりごと』で外伝を出さないかと聞かれたんですが、「ヤブ医者が主役だったらやります」と言ったら、何故かそれ以来音沙汰がありません(笑)。
――医者としての能力は無いし、真面目なわけでもない。いいところはせいぜい人たらし。日向夏さんは、そんなヤブ医者のどこに魅力を感じましたか?
日向夏 かわいいじゃないですか。マイナスを突き詰めてウザかったら終わりなんですが、かわいくなったら勝ちです。そのキャラクターを見ていて、私が続きを書きたくなったら成功だと思っています。
質疑応答
事前に募集していた中から、作家の誰かが回答をするコーナーです。
Q.自分が描きたいキャラクターと、いわゆる「ウケるキャラクター」の違いに悩んでいます。作家、読者、編集者それぞれの視点で、「魅力」について教えていただると嬉しいです。また、キャラクター創作で気をつけていることがあれば教えてください。
丸戸 僕は自分の趣味4:トレンド6でやります。あとは先ほども言った通り、衝動が大事ですね。
馬場 世間に受けるかどうかは、やってみないとわからないところがあるので、私は「好き」を詰め込むのが一番だと思います。
萩原 編集者目線でゴーサインを出せるのは、打ち合わせの中でキャラクターについての雑談ができたときですね。「こいつは絶対ラーメンはみそ派だよね」とか、何かしら具体的なエピソードが浮かんでくると、好きになりかけている状態だと思います。
打ち合わせの中で、作家と編集が「キャラクターのことを語りたがっている空気」が感じられたら、魅力的なキャラクターになりそうだなという感覚はあります。
Q.「このキャラクターが魅力的だな」と思う瞬間はありますか?
馬場 死に様ですね。滅茶苦茶カッコいい死に方をしていったキャラクターは、好きになります。そこら辺にインスピレーションがあるのかもしれない。
Q.キャラクター造形が苦手でストーリーから話を作っていますが、キャラがストーリーに都合がいいだけの存在になってしまいがちです。キャラがブレなくなるために、気を付けることがあれば教えていただきたいです。
馬場 キャラクターがズレたりブレたりするときはありますし、どうしてもブレたくないときに、リカバリーする方法はたくさんあります。
キャラクターがストーリーの駒になっている場合は、設定にこだわりすぎているところがあると思うので、「そのキャラクターが生きていること」を念頭に置いて書いてもらうのがいいと思います。
Q.キャラクターが話を進めたい方向からズレるとき、どう折り合いを付けますか?
丸戸 「ガン!」と大きく合わせるよりも、ストーリーとキャラクターを小刻みに合わせていくのがいいと思います。小さくチューニングをしましょう。
すぐに思う方向には進まないかもしれませんが、その先にまた事件や日常があるので、思う方向に進んでいくような感想を読者に抱かせて、キャラクターがそちらに進んでいくものを丁寧に描いていけば、駒にはならないと思います。
日向夏 私は小道具を使って元に戻すことが多いですね。主人公と接点のあるアイテムから本編に繋げていきます。たとえば西の特産物をワインにしておけば、主人公に鉛の毒を解決した経験があるから、鉛とワインで西の話に繋げやすくなるとか。
本筋の大きな木の幹に、枝葉が生えてもいいと思います。枝葉が幹より大きくならなければいいので、「ここで終わり」という、剪定の作業を忘れなければ問題ないはずです。
――枝葉だと思ったものが、「あとで使えるな」となりますか?
日向夏 道具を散らかしておけば、拾ったときに読者が伏線だと思ってくれます。10個ばら撒いたうちから、使えるものが1つ2つ出てくればいいので、とりあえず書いておきます。
西の話になったときに使えそうだから、ワインの話を入れておこうとか、砂漠の話を入れておこうかとか。関係がありそうな単語を前の章までに書いておくと、話が繋がりやすくなります。
――ミステリーあるあるですね。でもそれが足を引っ張ることはないですか? たとえば隣の国に行くときに、砂漠越えが必要になってしまうとか。
日向夏 そこは作家が調整できます。礫砂漠でも砂漠は砂漠ですから。
Q.私の場合、キャラクターの構想を練る際は、友人の特徴をトレースすることが多いのですが、自分で出会ったことのないタイプ、かつリアルなキャラクターを作り上げるためには、どういう考え方・手順が必要になるでしょうか?
――ということですが、自分の中に引き出しがないキャラクターを出すときの、コツはありますか?
日向夏 引き出しにないキャラクターを作りたいなら、犬か猫をモデルにするのがいいですね。擬人化すればそれだけでキャラクターになりますから。
身近な人からだと、私も働いていたときの上司の方が面白かったので、それを出したことはあります。本人にバレないように要素だけを抜き出しましたが。
丸戸 僕は基本的に、創作物からインスパイアされていいと思っています。自分の「好き」を詰め込んでいく過程で、オリジナリティが出てくると思うので。
引き出しで悩まれている方は結構いるんですが、関連付けの話ではないでしょうか? 毎日いろいろなものを見て触れているはずなので、情報を無造作に貯め込まずに、タグ付けをしておくとアイデアとして引き出しやすくなります。
まあ、物語が純粋に楽しめなくなるという、闇を抱えることにはなりますが、いい作品でも悪い作品でも、タグ付けをしておけばモノが出しやすくなります。
全然面白くない作品を見た時に抱く、「俺ならこうするのに!」という想いも、かなり強い衝動になります。特に映画館の予告だけを参考にして選ぶと、よく外すのでオススメですよ(笑)。
馬場 引き出しに困っている人は、引き出しの中に何も入っていないと、思い込んでいるだけだと思います。身近な人だけではなく芸能人を見てみたり、創作物を参考にしてみたりすると、新しい人物像が思い浮かぶのではないでしょうか。
Q.キャラが練れていれば、そのキャラ独自のセリフが浮かぶはずだと言われますが、そうなるようにキャラクター造形の段階から取り組んでいることはありますか? それとも本文を少し書いているうちに、掴めるものでしょうか?
丸戸 僕は本文を書いているうちに掴めるタイプですが、僕の中で『銀河英雄伝説』は、最高に優秀なキャラエピソードの宝庫ですね。
日向夏 私はキャラクターが読みそうな本を買ったり借りたりして、全部読みます。
――それはキャラクターの読書傾向を分析してですか?
日向夏 そうです。キャラクターが読みそうな本を何冊か読んでみると、キャラクターの視点になれますから。
Q.人外のキャラクターを作るときの、注意点などはありますか?
馬場 人外キャラクターにはいくつかの分岐点があります。まずは喋るか、喋らないかですが、これは途中から変えない方がいいですね。途中で姿を変えるか、変えないかについても、最初に決めておくのがいいと思います。
『蜘蛛ですが、なにか?』の主人公・蜘蛛子の姿が変わるのは、ストーリー上で決めていたことなんですが、変わらないでほしい派は絶対にいると思うので、批判は覚悟していました。
――どれくらいリアルな蜘蛛なのかは、書いているときに考えましたか?
馬場 考えていませんでした。文字畑の人間は、考えない人が多いんじゃないかな? 蜘蛛子のイラストは50枚以上書いてもらいましたが、リアルに寄せた絵からデフォルメに寄せた絵までずらっと並べて、みんなから一番愛されそうなものを選びました。
――人外主人公を描くときに、造形はそこまで気にしなくてもよさそうですか?
馬場 種族の見た目は人の好き好きなので、読者の想像に委ねます。書籍化をすると挿絵が付くので、どうしても固定されるんですけど。
――いいキャラクターを作るのがゴールではなく、いい作品を作るのがゴールです。しかしいい作品には、絶対にいいキャラクターが必要なので、その手順を頭に入れてキャラクターを作ってもらえるといいのかなと思います。本日はありがとうございました。