見出し画像

イベント業界アカデミー 第2回<制作会社って?>

■制作会社ってどんなことするの?

第2回のイベント業界アカデミーは「制作会社」について簡単ですが、ご紹介しょうと思います。
その前に「制作」という意味を調べてみます。
同じ読み方で「製作」というのもあります。
イベントの制作会社は、「○制作」で、「✕製作」ではありません。

制作・・・美術や芸術などの創造物を作り上げるもの
製作・・・棚や機器類などの物品を作り上げるもの

詳しくは「制作と制作の違い」をご覧ください。

イベントは何もないところに創造していくものです。
もちろん、最終的にはステージやテントなどの製作物も作ります。
その前段階で、準備を進めていくのが「制作」会社です。

制作会社の仕事の多くは、クライアントや代理店から依頼され仕事が始まります。
「こんな展示会やりたいんだよね〜」
「こんな表彰式やりたいんだ!」という、基本となる構想部分はほぼ決まった状態で
制作会社に話が来ます。

「なんかやりたいんだよ。なーんにもアイデアないけどさ」と言われることも、なくはないのですが、0からのスタートはまずありません。
「この新商品をPRしたいんだ。なーんにもアイデアがないけどさ」というのはよくあります。
それも結局は「この新商品をPRしたい」という基本構想があるんです。

なので、制作会社は「こんなことやりたい」を「こんな方法でやってみませんか?」という
1を10にしていく仕事です。

では、1を10にするにはどんなことをすれば出来るのでしょうか。
「表彰式がやりたい」という例で考えてみましょう。

みなさんは、「表彰式をやって」と言われた時に、どんなことをすればいいか、
頭に浮かびますか?

制作会社も全てを考えるわけではありません。
「誰を表彰したいのか」「なぜ表彰したいのか」という部分はクライアントや代理店さんに決めてもらいます。
表彰式をやりたいと言っている時点で、「誰がなぜ表彰されるのか」は見えているはずですから。

それでは、下記にやるべきことを大きなくくりで出してみますが、
みなさんの想像と合っているか確認してください。
どうぞ、30秒間、考えてみてください。

考えてみたら、下にスクロールしてみましょう。

・会場探し(登壇者数、来場者数の確認)
・ステージデザイン
・映像コンテンツの制作(タイトル、ロゴ、オープニングムービー等)
・司会者の選定
・トロフィー、表彰状の製作
・招待状の作成、発送、出欠確認
・音楽選曲(BGM,表彰時の音等)
・照明プランの検討(明るさ、色、演出等)
・各スタッフの業務検討(受付、誘導、控室、アテンド等)
・施工物図面作成(ステージ、客席、受付、看板、誘導案内サイン等)
・プレゼンターの手配
・運営マニュアルの作成
・進行台本の作成
・上記すべてのスケジュール作成
・上記すべての予算調整

などなどです。実はまだ細かく書けばいくらでもありますが、
まずは、大きなくくりで書いてみました。
読んでみると「あ〜…そっか」というものもあったと思います。
もし、今の段階で全部が想像できたら、すぐに1人前のイベント屋になれます。
そんな方はすぐご連絡ください。どこの会社もすぐ採用してくれます。(笑)

「こんなにいっぱいやることあるの?!」と思った方もいるかもしれませんが、
制作会社は上記をまとめるのが仕事です。
音楽は音響さんに依頼しますし、施工図面は施工屋さんに依頼します。
なので、振れる仕事は振っちゃいます。
でないと、一人では絶対に終わらない業務量ですから。。。

なので、制作会社の人は、クライアントや代理店と話をしつつ、
施工屋さん、音響・照明・映像のテクニカル屋さん、印刷会社さん、
デザイナーさん、スタッフ派遣会社さん、MCさん、会場さん、トロフィー屋さんなど、
多くの会社さんの全ての窓口になります。

制作会社さんでトロフィーが作れる人はいません。
トロフィーを作ってくれる人を知っているだけです。

イベント組織例

※参照:イベント講義資料 抜粋(近藤オリジナル)

上記のように、制作会社には多くの会社が協力してくれています。
これが「協力会社」と呼ばれる方々です。
制作会社の人間は、「俺らは何も出来ない。協力会社がいないと仕事が出来ない」と
よく言っています。

クライアントや代理店と協力会社を取りまとめ、情報の一元管理をして、
漏れがないように細かく事前に決めていく作業をするのが制作会社です。

スクリーンショット 2020-02-04 19.58.01

 よく組織のことを「ピラミッド型」と呼ぶこと
 があります。下に行くほど広がっている形ですね。

 しかし、イベント業界はピラミッド型のようで
 すが、実際は、「砂時計型」になります。
 1番細くなっている部分が制作会社のポジション
 です。

制作会議をすると、クライアント5人、代理店3人、制作会社1人みたいな状況がよくあります。
もちろん、制作会社も大きな会社は担当ごとに分けてたりしますが、メインは1人です。

そしてその会議の情報を各協力会社に振り分けて整理した上で、協力会社さん達と打ち合わせし、情報を下ろしていきます。
この情報の上下運動を素早くやることが制作会社の重要なスキルの1つです。
スポーツで言うと司令塔のような役割だと思います。

なんとなく制作会社という存在が分かっていただけたでしょうか。
情報を全て把握し、選別し、必要な形に整えた上で流していく。
その中で、イレギュラーも発生し、無理難題もあります。
出来る限りクライアントの望む形でパズルのピースを埋めていく。
もちろん不可能なことは違う形で出来るようにクライアントを説得する。
かつ、予算のバランスを考え、予算内で収まるように調整する。

そんな仕事が制作の仕事です。
「楽しいの?」と聞かれれば「辛いです」と答えます。
でも、やめられない魅力は存分にあります。
やりがいや喜びは誰よりもあります。

そんな話はまた別の講義でしますが、
なんとなく制作会社が分かっていただければ幸いです。

今日の講義はこの辺で。
別の講義で、今日の細かな部分をお見せできればと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?