声優・アーティストの太田彩華、レコ発ライブで見せた「笑顔(白)と情熱(赤)」2つの魅力を持った姿。
2月1日に誕生日を迎えた声優・アーティストの太田彩華。同日に、彼女は1stアルバム「Achroite=Rubellite」を発売。渋谷SPACE ODDを舞台に、ワンマンライブ「Achroite=Rubellite」も開催した。1stアルバム「Achroite=Rubellite」には、太田彩華の魅力を2つの面から表現。それが、以下になる。
【Achroite=白】歌唱提供楽曲を中心にキャラクターボイス的な声の魅力を届ける、明るいイメージの楽曲群。
【Rubellite=赤】ヤンデレシリーズの楽曲を中心に憂いのある表現力の魅力を届ける楽曲群。
同日のライブでも太田彩華は、ブロックごと感情を着替えるように多彩な魅力を見せてきた。その様は、彼女の持ち味である変幻自在に役の声を塗りかえ、そのキャラクターへ同化してゆく声優らしさにも重なる姿。この日のライブは、太田彩華のアーティスト活動の始まりを告げた「はじまりの手」から幕を開けた。
場内に流れだしたクラップ音に合わせ、フロア中の人たちが大きく手を打ち鳴らしだす。その音と拍手へ導かれるように、白いドレス姿の太田彩華が舞台へ登場。「手と手 手と手 手と手をかざす」と歌いだした。彼女が長年ライブで歌い続ければ、そのたびに会場中へ一体感を持った熱を作り続けてきた「はじまりの手」だ。舞台という五線譜の上を舞うように歌い躍る姿が眩しい。「いくよー」の声に合わせ、みずから跳ねれば、フロア中の人たちも笑顔で跳ねだす。早くも会場には、熱を孕んだ空気が広がりだしていた。無邪気な笑顔を浮かべ、左手を振り上げ歌う太田彩華の姿を見ていると心がほんわかしてくる。一緒に楽しい気持ちを分かち合いながら、幸せという熱に身体中が包まれてゆく。もっともっと、心の手と手を強く重ねあわせたい。
ここからは、アルバム「Achroite=Rubellite」の世界へ。最初に開いた扉が【Achroite=白】の物語。アルバムでも【Achroite=白】コーナーの冒頭を飾った「メリージェーンが踊り出す」からストーリーは始まった。
気持ちを弾ませる演奏だ。太田彩華は軽快に走る楽曲へ心のリズムを合わせ、心地好くステップを踏みながら歌っていた。スタイリッシュでアーバンなシャッフルナンバーの上で、彼女の愛らしい歌声が軽やかに跳ね続ける。太田彩華はミラーボールの光のシャワーも浴びながら、舞台の上をダンスホールに塗り変え歌い躍っていた。
季節を夏へ揺り戻すように歌ったのが、「僕は夏の幽霊」。素敵な思い出の詰まった季節へ思いを馳せるように、歌が進んでゆく。転がるように弾む演奏を通して、あの夏の風景へ記憶がタイムトラベルしてゆく。太田彩華自身が笑みを浮かべながら、ずっと続いてほしい胸躍らす夏の物語に浸っていた。フロアでも、夏の季節へ一緒に飛び込んだファンたちが、終わりたくない夏景色の中、心地好く身体を揺らしていた。
ゲストに久保正貴が登場。ここから披露する2曲に関連深いギタリストという理由から、ライブにも出演。先に披露したのが、久保正貴もギター演奏でレコーディングに参加した「ET CETERA STORY -color-」。太田彩華が並行して活動している太田家で演奏しても似合いそうな、開放感と熱を抱いたビートロックチューンだ。駆けだす楽曲の上で、太田彩華自身が感情のレベルメーターをどんどん上げ、高陽した気持ちを胸に歌声を届けていた。身体を熱く騒がす楽曲と、晴れ渡る歌声が重なりあう演奏に触れていたら、じっとなんかしてられない。フロア中の人たちもその場で身体を揺らし、舞台上の太田彩華と一緒に熱狂という物語の中へ飛びこんでいった。
続く「瞬間とドラマチック」は、久保正貴が作曲した、こちらも気持ちを晴れ渡る景色の中へ連れだすポップで開放的なロックチューン。淡く、甘い物語へ心地好く浸りながら、太田彩華は軽やかに歌声を響かせてゆく。彼女が振り上げる手に合わせ、同じように手やペンライトを振る人たちにより、会場には明るい光の花が咲いていた。
アルバム「Achroite=Rubellite」収録した【Achroite=白】編の曲たちを歌う太田彩華の姿を撮った映像が、背景の大きなスクリーンに映しだされる。舞台の上には、一脚の長椅子が持ち込まれた。
紫色のシックなドレス姿に着替えた太田彩華は、椅子に座り、ジャジーでムーディに彩りを変えた「愛は永遠、華はメロディ」を、甘い音符の数々を身にまとい、優しい歌声を会場中にはべらせた。言葉の一つ一つに明るい彩りを与え、太田彩華はこの空間へ、少し大人のムードも醸しながらロマンチックな恋物語を描いてゆく。愛しい人へ向けた温かい心で、太田彩華は相手を優しく抱きしめるように歌っていた。この歌に、太田彩華の歌声に触れていたら、心がどんどんとろけてゆく。このひとときが堪らなく心地好い。
次に歌ったのが、【Achroite=白】パートの最後であり、アルバムでも最後を飾った「春の宵」。穏やかで温かい、春の風が吹くような美しいピアノの旋律が流れだす。太田彩華は深い想いを音符の風へと乗せ、フロアにいる人たちの心へ真心を持った歌声を響かせていった。とてもたおやかな楽曲だ。この歌が会場中に桜の花びらたちのように舞い躍っている間、誰もがまどろみを覚えながら素敵な物語へ浸り続けていた。
流れだしたのが、アルバムの【Rubellite=赤】パートの最後を彩ったバラードの「夢の中の旋律」。この日は、ピアノとヴォーカルというシンプルな。でも、一番揺れ動く感情の機微を感じれるスタイルで披露。だからこそ、哀切なピアノの音色に心地好く酔いながらも、愛しい人へ向け、込み上げるすべての想いを届けるように歌う太田彩華の歌声を意識はずっと追いかけていた。愛しい人を思って歌う声の一つ一つを心の両手で零すことなく受け止めたくて、舞台の上で切々と歌う太田彩華の姿や歌声を瞼濡らす想いを抱きながら見つめていた。
アルバム「Achroite=Rubellite」の【Rubellite=赤】パートに収録した曲たちを歌うMV映像が流れだす。ここからは、熱情した気持ちを解き放つ【Rubellite=赤】編のスタートだ。
ゴシックでシンフォニック、触れた人たちを魔境の世界へ誘うように、赤い服を身につけ、本を手にした太田彩華が「薔薇の狂死曲」を歌いだした。先程までの開放的な世界を、真紅の空が覆い尽くす。太田彩華自身が妖しい世界へ導く語り部となり、見ている人たちを幻惑した物語の中へグイグイ引き込んでゆく。
【Rubellite=赤】のパートは、楽曲を重ねるごとに激しさと暗鬱さを増してゆく。嘆きと狂気を折り重ねた「メロウ=ディストピア」を、太田彩華は沸き立つ熱情へ導かれるままに歌い叫んでいた。サビで情熱的な姿を見せながらも楽曲全体から醸しだしていたのは、感情に真っ赤な血を塗りたくるような激情した感情と歌声だ。理性を壊し、本能の導くままに歌う太田彩華。ときに観客たちと一緒に手を振り一つになる場面も見せていたが、そこには狂気に嬉しく身悶える太田彩華の姿があった。
心地好く、軽やかに弾む楽曲が流れだした。途中、ワルツに代われば、いきなり激しく走り出すなど、情緒不安定な心模様を楽曲で具現化したヤンデレソングの「True or Bad Ending」を太田彩華は高らかに歌っていた。次々と転調してゆく楽曲の表情に合わせみずからの感情の色も塗りかえ、彼女は物語を鮮やかに彩る真紅な魔性の歌姫と化してゆく。1曲の中、多彩な感情を持った人格を歌声やライブパフォーマンスを通して描き出す、まさに太田彩華の真骨頂ともいえる姿が、そこには描き出されていた。
先に歌った3曲を、太田彩華は「ヤンデレ三大劇場」曲と例えてていた。なるほど、言い得た表現だ。
終盤を彩ったのが、以前にシングル発売した「月食のソワレ」。この曲も、【Rubellite=赤】パートに似合う、美しく幻想的な香りと激しくも高陽した感情を胸に呼び起こす楽曲だ。太田彩華は、物語の中へ気持ちを溶け込ませ、赤の物語を描くに相応しい熱情した歌声を響かせていた。乱れ騒ぐ楽曲の表情に合わせ、哀切さから激情した姿までを見せるその姿が、とても凛々しい。
最後を飾ったのが、【Rubellite=赤】のイメージをドラマチックに具現化した「ポスト・アポカリプス」。心の中に燃え盛る炎を覚えながら、太田彩華は観客たちを食らいつくす勢いと姿勢で、沸き立つ熱情と熱狂を高らかに歌いあげていった。すべての痛い感情を燃やし尽くす業火の中へ観客たちを巻き込み、熱狂の虜にしていった。
ゲストギタリストの久保正貴がケーキを持って舞台へ。アンコール前には、太田彩華のバースデーコーナーも登場。久保正貴もメンバーに加えたアンコールでは、【Achroite=白】とも【Rubellite=赤】とも異なる、また別の魅力を太田彩華は見せてゆく。先に披露した「命の花」は、切なさと情熱を重ね合わせた美しくもドラマチックな曲。太田彩華は,心の奥底から込み上がる想いを声に乗せ、高らかに歌い上げていた。心を華やかに彩りながらも熱情を注ぐ楽曲だ。魂を燃やすように歌う、情熱を抱いた歌姫と化したその姿も印象深く瞼に焼きついた。
最後に太田彩華が歌ったのが、活動初期からずっと歌ってきた「宵山で散って咲き誇れ」。太田彩華の煽る拳に合わせ、フロア中でも多くの拳が高く突き上がり、揺れていた。春風を受けながら心地好く走り出す胸熱な楽曲を背中に感じながら、太田彩華は観客たちと歌声を掛け合い、共に跳ねることを楽しんでいた。光を抱いて駆ける最高に眩しいキラキラなロックチューンも、太田彩華に似合う表情だ。太田家にも繋がるビートロック曲でありながらも、そこへキラキラした輝きを多くまぶしているからだろう。彼女と一緒に熱狂しながらも、眩しい光の中へ一緒に飛びこんでゆく気持ちを覚えていた。いや、素直に「楽しい」と言ってしまえばそれでいいのかも知れない。太田彩華と一緒に心の中で歌い、飛び跳ねながら、一緒にアガり続けてゆく。このエモい感覚へ触れられたことが、とても幸せだった。
文:長澤智典
セットリスト
「はじまりの手」
「メリージェーンが踊り出す」
「僕は夏の幽霊」
「ET CETERA STORY -color-」
「瞬間とドラマチック」
「愛は永遠、華はメロディ」
「春の宵」
「夢の中の旋律」
「薔薇の狂死曲」
「メロウ=ディストピア」
「True or Bad Ending」
「月食のソワレ」
「ポスト・アポカリプス」
-ENCORE-
「命の花」
「宵山で散って咲き誇れ」
太田彩華オフィシャルHP
太田彩華 楽曲関連YouTube
太田彩華オフィシャルTwitter
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