Bobby Coldwell~シルエットとともに~

 最初の投稿、、、なんだけど、まあ何か書こうと思ってて。
とは言いつつ何書こうか分かんないです。
 あ、この前ライブ行ったんですね。ジャズクラブの繋がりで、京都の大学中から集まった4回生のもう卒業される先輩方の対バンライブがあったので、それを見に行って、ライブレポートやってみようかなと思ったけど、初回はちと緊急ということで、ライブレポートの方は次回に書きます。
 なので、そちらはほなまたまたの機会にお楽しみということで~

 最初の記事にしては、とても重いし悲しすぎる内容なんだけど、先日、Bobby Caldwell(ボビー・コールドウェル)というミュージシャンが亡くなりました。
 享年71歳でした。
 そして、僕の好きな音楽の中でも彼は特別な存在でした。
 僕が中学時代に本気で洋楽にはまり、AORにはまるきっかけになった人物なんです。
(AORっていうのは音楽ジャンルです。なんかゆったりしたイイ感じのゆるい音楽。シティポップみたいなもん)
 彼の音楽は、簡単に言えば、聴くだけでその雰囲気や景色が鮮明に見えてくるというものです。
 海っぽい感じ、街っぽい感じ、あっつい夏のリゾートなのか閉店間近のひっそりしたバーなのか、、、だとか。
 まあ、初期のころ、彼は東海岸はマイアミのレコード会社に所属していたので、特にリゾート色はプンプンだったけれど。
 中2のときに出会って、数か月でぞっこんになって、ビルボードでライブやっていることを知り、その翌年の7月(誕生日あたりやったかな)に観に行ったものでした。彼が亡くなるまで僅か2回しか行けなかったけれども。また、行きたかったなー。ちなみに彼は後期にはジャズも唄っていて、ライブでも披露していました。彼のシナトラ愛の伝わるボイスはおすすめです。
 ということで、想い出のつもるところもあり、初回はボビー・コールドウェルのおすすめ曲を10曲にしぼって紹介していこうと思います。


1、All or Nothing At All (1988)

 さてさて、1曲目はこちら!!

 なんか、僕が2年くらい前にTwitterの方で、ツイキャス使ってラジオ番組的なのをやってたんですけど、そのときのオープニングナンバーに使ってました。番組名は『アヴェニューライト、煌めいて』なんてくっさいタイトルで、、、

 この曲は1989年のアルバム『Heart Of Mine』からのミディアムテンポなナンバーで、小気味よいリズム感とたまらなく艶やかなアルトサックスのソロが絡み合って、さっぱりした”シティに繰り出そう”系AORに仕上がっております。
 このアルバムの中でも特に大好きな曲で、80年代後期の煌びやかなボビーの音楽の特徴を捉えた曲でもあります。
 
 実はこのアルバム、彼が表舞台に返り咲くきっかけとなった作品で、本作のリリースされる数年前には所属のレコード会社(TKレコードっていう先述のマイアミのレコード会社。ラテンの雰囲気が匂うソウルやファンクが好きな方にはおすすめです)が倒産し、アルバムのセールス面においてアメリカでは低迷していた時期からの復活でした。
 折しも、当時の日本は華やかなりしバブル景気。何でも派手にお高くキめていこうな時代に、彼のシティ派な煌びやかでタイトな気風の新たなサウンドメイクは洗練志向の人々の需要に合致していました。そして、ボビー・コールドウェルの醸し出す雰囲気は不思議なことに、洗練志向の彼らが求めていた”都会的で洗練された”イメージそのものでした。当時の日本人の求めていた洗練志向はいわゆるアメリカンな”着くずし”的洗練だったのです。
 
 ここで、音源の紹介です。この曲は個人的にこの1991年のPARLIAMENT American Blue Concertのテレビ放映版がバブリーな雰囲気もよく表れていて、おすすめですので、紹介します。
 ライブの名前の通り、当時のボビーの曲はパーラメントというタバコ会社のCMに使用されていて、そのCMがとてもバブリーなわけです。そのCMもおすすめです。
 (ちなみに僕が初めて吸ったタバコはもちろんパーラメントです。)

2、Carry On (1982)

 2曲目に紹介するのは、1982年のアルバム『Carry On』より、ラストを飾る表題曲です。
 人によっては地味に感じるかもしれませんが、スローテンポでシンプルながらもクールな哀愁の漂う小品といった感じの曲です。ローズピアノが曲全体のメロウな雰囲気を醸し出しています。
 アルバムの最後にクールな小品を添えているといった感じが最高だし、タイトなリズムや、色気の有り余るスローなベースラインにかぶさるローズピアノがとても甘くて大好きになった曲です。サビのところの伸び伸びとしてソウルフルなボビーの歌唱にもうっとりです。

 少し話はそれて、ボビー・コールドウェルのアルバムの邦題はどれもセンスの光っているものばかりだと思います。例えばこのアルバムの邦題は『シーサイド・センチメンタル』。一歩間違えたら安っぽくなっちゃうけど、どこかオシャレで憎めない邦題ですね。実はこの時代のAOR系の邦題はこんな感じが有り体だったのだそうです。売り出すためにアルバムにつけもキャッチコピーも、ちょっとオジン臭くて、今では”AORのダサいキャッチコピー”として親しまれてもいるのですが、ボビーのアルバムのは程よく感じるんですね。

 実は、このアルバム、ボビーのアルバムの中でも一番好きなアルバムだったりします。演奏陣も申し分ないどころか豪華な面々で、TOTOから、ドラムにジェフ・ポーカロ、キーボードにスティーヴ・ポーカロ、ストリングス編曲にスティーブ・ペイチ、ギターにスティーブ・ルカサー、そしてホーン隊はタワー・オブ・タワーという、、、
 ただ、個人的にはこのアルバム自体が放つちょうど良いメロウ具合や、重厚すぎず程よいシンプルなサウンドが故の哀愁感がグッとくるわけです。
 どっか海辺の落ち着いたとこでまどろんでいる感じ。
 曲もスロー~ミディアムテンポなナンバーが多く、しかしバラードバラードしているわけでもないので、特に重くもなく、ちょうど心地よいって感じですね。

3、Janet (1991)

 3曲目は、1991年の5th『Solid Ground』からの情熱的な渋カッコイイAOR、”Janet"です。
 90年代に入ると音楽の方向性が徐々に変わっていきます。R&Bやポップスに加えて、ジャズを歌い始めたのです。ボビーの年齢的には円熟期を迎えており、大人の渋さが顕著に表れ始めたのもこの時期です。

 高校卒業するまで、あまり90年代のボビーの曲は聞いてなかったんですけど、この曲だけは高校時代でもよく聞いてました。先述のように90年代のボビーはジャズボーカル曲が顕著になってきたこともあって、高校生当時、ガチのジャズの良さが理解できなかった僕は成るべくして90年代以降の彼のアルバムを聞かなったのです。そんな僕が今やサークルでジャズボーカルを務めているのは本当に不思議な話で、人間どうなるのか本当に分からないですね。そして、90年代以降の彼のアルバムも聞くようになりました。

 この5thはジャケ写(日本盤とUS盤でジャケ写違い。USはジャズっぽい雰囲気だし、題名も”Stuck On You")も相まって、アルバム全体のサウンド的に”ブルー”という感じです。このジャケ写、ジタンていうタバコのパッケージにも雰囲気似てますね。月明かりのきれいな夜に家のベランダとかで、きつめの酒をロックでなめながら、過去を懐かしんだりロマンチックにふけったりしてくつろぐ感じです。
 夜のドライブにも最適でいい感じですね。

 とにかく、渋カッコイイの一言に尽きるこの曲です。ドラムもきりっとしたリズムで、クールさを引き立てており、やっぱベースラインが色気凄いです。この時代の音楽にしか演出できないと思うくらい、この頃のシンセの音色のメリハリの良さというか煌びやかさというか、それが引き立って華やかかなサウンドになる反面、ギターとボビーのボーカルが激情と哀愁を表現していて最高にドラマティックです。

4、Words (1982)

 3曲目はこれまた、3rdからの1曲で、"Words"です。
個人的名曲ぞろいのこのアルバム、やはりゆったりしたいときにはたまんないアルバムで、最初の曲から、ソウルフルに飛ばしているわけでもなく、落ち着いた曲が小粒のように揃っていて、まるでドラマの一ページを切り取ってつなぎ合わせたかのような、オムニバス形式のような小品集になってます。
 まあ、なんとゆーか静かなだらっとした曲が多くて、人によっては眠くなるかもだけど、僕はこのメロウ具合と落ち着いて聞ける雰囲気、そしてある程度さっぱりめで明るい感じがドンピシャで、ボビーのアルバムでは、一番好きなアルバムの一つです。

 そんな中、4曲目を飾るのがこの"Words"です。ちょっとダウナーなイントロから始まり、その時点でだらだらーな雰囲気になるけど、程よくメロウなエレピとやはりけだるいサウンド。ボビーの歌声もけだるげに始まる、気だるげながらもメロウな心地良さが同居し、サビに向かうんだけど、ここでサビは一気に華やかな雰囲気になります。
 曇り気味の海辺だとか、そのあたりをドライブするのには最適かもですね。マジで疲れただるだるーなときはあんまり向かないかも。程よくだらだらしたいときの曲ですね。

5、Sherry (1984)

 5曲目に紹介するのは、1984年の4th『August Moon』より、オープニングナンバー。
 このアルバム、実は当時日本のみの発売だったんですね。誤解なきようにってことで、1984年当時、日本ではボビーの人気が高かったので、日本では先行リリース。アメリカでもリリースしようとしたところ、3rdのセールス不振が響いたようで、結局リリースできなかったそうです。その後、ボビーは当面活動を休止し、作曲の方に精を出します。そして、89年の復活後に、このアルバムは本国でも陽の目を浴びることになります。

 それにしても、このアルバム、何があったんやって具合にちょいとボビーの作品の中では異質なアルバムだと思います。サウンドメイクが完全に当時流行だった打ち込み型でシンセを前面に押し出した”80年代!”て感じなんです。ここにも、TOTOのジェフ・ポーカロとデヴィッド・ハンゲートという申し分ない布陣が参加しているのですが、当時のTOTOは1982年の"Africa"の大ヒット以降、サウンドがどんどん80年代って感じのサウンド(いわゆる産業ロックと呼ばれる音楽。有名どころだとジャーニーとかかな)になっていって、そのクセも本作には顕著に表れています。

 そんなアルバムでも安心して聴ける曲はもちろんいくつかあって、その中の一曲であり、このアルバムで一番好きな曲がこの"Sherry"です。
 始まり方は重々しいロック調なイントロからですが、この乾いた感じも西海岸の曲っぽい感じで、これはこれで好きです。実際、AORっていうのは解釈の幅がめちゃくちゃ広いジャンルだと思ってて、めっちゃハードロックでも、これってAORでしょって言われてる曲もあったりします。
 しかし、ボビーのボーカルが始まると、一気に切なく甘い雰囲気のこもった曲だったんだと印象がガラガラ変わります。そして、ややハードなリズムやサウンドも情熱的な哀愁を携えてボビーのボーカルと同化してしまうんです。これは、異質は異質でもだいぶ化学変化が起こったと思います。メロディックな曲調だったっていうのも一つの理由でしょう。
 これはドライブかな。しかも、高速とか気持ちよく疾走したいってときにはいいと思います。

6、Show Me (1995)

 6曲目は1995年の8th『Soul Survivor』より、"Show Me"です。この頃になると、ジャケ写も落ち着きを見せ、その通り、曲調も安定してきて、派手さ控えもでただひたすら大人の円熟したクールさと渋さがメインに出てきたのがこのアルバム。

 そんな中でも最高にクールだなと感じたのがこちらのナンバー。最初のギターからして色気抜群だし、これまた艶やかなベースとタイトなリズムを刻むドラムによって、なんともいえない雰囲気が濃霧のようになだれ込んでくる感じで始まります。そして、ボビーの歌声が入ってくるんだけど、この頃のボビーの声はやはり円熟味を帯びてきていますね。若い頃のブルーアイドソウルとかR&Bというよりかは、やはりジャズと表現した方が近しいのかもしれない。ハイトーンな甘い声と落ち着いた渋い声が同居しているのです。そして、メロディは一定してメロウでちょっとアンニュイな感じがまた味を出していて、ゆったりとほろ酔い気味に楽しむことができるかなという感じです。

 やはりこのアルバムからアレンジ面でもブルースっぽいスローテンポな曲が増えてきて、ボビーがジャズに方向をシフトしていっていることがなんとなくわかるような感じです。実際、この翌年と3年後にジャズスタンダードのボーカルアルバムを2枚出しています。そして、2014年にも最後のジャズボーカルアルバムを出しており、ジャズに対しても精力的に力を注いでいたことがわかります。実際、ジャズアルバムに関してはボーカルがその円熟味が活かされ、歌い方の特徴は残しつつも、ソウルフルなボーカルからジャズボーカルへと見事な変貌を遂げています。

 話はそれますが、この3枚のアルバムに収録された楽曲のうち、個人的に好きなカバーナンバーは"Beyond The Sea"、めちゃくちゃクールな(特にアウトロ)"Come Rain Or Come Shine"、ベイシー版フィーチャーの"The Best Is Yet To Come"、そして堂々たる"Fly Me To The Moon"です(他にもいっぱいあるけど)。いずれの曲もこの人めちゃシナトラ好きなんだなっていう感じのシナトラ愛が伝わる歌い方で、でもしっかりボビー・コールドウェルの歌でもあるなーという、ボビーのジャズシンガーとしての一面が表れる曲です。

 結構脱線しましたね、、、それでは"Show Me"をお楽しみください。


7、Coming Down From Love (1980)

 7曲目は、1980年の2nd『Cat In The Hat』(邦題:ロマンティック・キャット)より、オープニングを飾るナンバーです。
 このアルバム、ジャケ写もオシャレで好きなんですが、何より題名にキャットがついている時点で、猫好きの僕にとって優先順位が高い方のアルバムです。まあ、後述の1stや3rd『Carry On』は鉄壁になっちゃうけど。

 この曲、ザ・オープニングって感じの曲で、始まり方がとてもインパクトあって、かっこいいベースのリフで始まります。サウンドがとても軽やかで夢心地な気分になる感じです。これ、ドラムはシャッフルなのかな? とても跳ねる感じで、夢想的でロマンティックな雰囲気を作ってくれます。
 サビのサウンドとボビーのファルセットが甘い感じで素晴らしいです。

 こんな感じで2ndはこの曲以外にも、とてもロマンティックで煌びやかな曲が多いです。まだ、TKレコードの頃なので、マイアミ産ならではの煌びやかさですね。パーティーのクールダウンなときとか、週末の街をドライブするときとか似合うかも。
 TKレコードが倒産するのがこのリリースの後で、名残惜しくもボビーはポリグラムっていうレコード会社に移籍することになります。個人的にTKレコードの他のアーティストの音楽もマイアミって感じで大好きです。
 90年代になるとやはり落ち着いてきて渋い感じの曲が増えてくるので、軽い曲楽しみたい人は1stとこのアルバムがおすすめです。
(今回は選曲に入らなかったけど2曲目の"Wrong or Right"はおすすめ)

8、Special To Me (1978)

 8曲目はやっと1stですね。1978年の1st『Bobby Caldwell』(邦題:イヴニング・スキャンダル)より、オープニングナンバー。

 なんと始まりは、歌謡曲っぽいメロディラインのストリングスからで、それがグッと耳をつかんで離しません。リズムはライトなディスコ調で、キャッチ―で哀愁あるメロディは、もうこれは日本で流行るわって感じです。実際、僕もこの初めてアルバムを買ってCDをオーディオにインし、開始早々このメロディが流れたときはもう心ここにあらずでした。
 とにかく、メロディが覚えやすい。そして親しみやすい。このアルバムは1stにして、結局全米9位までに大ヒットしたのですが、アメリカでも日本でもヒットした理由の一つとして、やっぱりこの曲配置なのかなと思います。
 この1stは全体的にメロウっていうのと、当時のAORのらしさ(70年代後半のAORはなんかどの曲もおとなしい感じがします。けだるいというか、内省的とかというかバラードっぽいというか)が出ている、平均的っちゃ平均的なんだけど、その基礎を作ったアルバムでもあるし、今ではもうスタンダードナンバーといえるような曲ばかりが集まったアルバムだと思うんです。そして、この曲配置ですから、やっぱり原点にして頂点だと思います。個人的には『Carry On』と同じくらい大好きなアルバムです。
 とくに、この曲は日本人、いやアジア圏の人々の琴線に触れまくりなのは間違いないと思います。

 まあ日本で人気なんだろうなということで、1989年にはWink(”淋しい熱帯魚”っていう曲が有名。誰もがどこかで耳にしたことはあるかも)っていう日本のアイドルがこの曲をユーロビートっぽいアレンジでカバーしました。

9、Heart Of Mine (1988)

 9曲目に紹介するのは先述の5th『Heart Of Mine』より、表題曲です。先述のように80年代後半での復活後、真っ先にヒットチャート入りを果たした曲で、そもそもはAORのミュージシャンとして有名なボズ・スキャッグスに提供した曲なんです。

 もうこれは、この時期のボビーの絶品バラードですね。この時代の音楽ってなんか夢見ているみたいにきれいなバラードが多いイメージしません? 僕はそうかなと思っていて、この時代らへんのディズニーの曲はそんな感じでめっちゃ好きなんです。"A Whole New World"とか"Beauty And The Beast"とか(どちらも男性パートはピーボ・ブライソンというシンガーで、R&Bとかファンクとかの人なんだけど、この人もAORを結構歌ってる人です)。
 そんな"Heart Of Mine"がこの時代にヒットするのはやはり絶対的なものがあったように思えます。日本でも先述のようにパーラメントのCMソングに使われた相乗効果もあって、ボビーの人気は不動の地位につきます。

 リバーブを効かせたメロウなピアノのイントロから始まり、アルトのなまめかしい音色によって夢のようなサウンドが聞く人を包み込みます。このサウンドの特徴的な点はやはり、リバーブですかね。この時代って必要以上にリバーブましましの時代だったので、今聞くとチープに聞こえる代物が多いっていうのも否めないんですね。でも、こういうバラードとかにかかる分厚いリバーブサウンドはとても活かされていると思うし、むしろ今の時代でも残っている代物だと思うんです。
 この曲のボビーの歌声はとてもソフトで優しいですね。よくある純朴なラブソングって感じだけど、全体的にとても切なく心の奥底がキュッと熱くなるような甘いラブソングです。大好きな曲です。
 疲れたときとか癒しになる感じ。ゆっくりのびのびしたりして不安も後悔も全部ふっと軽く笑って今は今でーっていう感じの曲。なぐさめの曲ですね。

10、What You Won't Do For Love (1978)

 最後に紹介するのは彼の最大のヒット曲にして、AORの代表曲、ファンクとしてもヒットし、今もなお歌い継がれるこちらのナンバー。
 ファンクやAORに詳しい方や音楽にストイックな方からすれば、おいおいやっぱ最後に持ってくるのかよ。想像通りすぎるだろ。もっとひねって選んでくれよ、つまんねーぞ。とお便りが来るかもしれないチョイス。
 でもねー、やっぱり最後にこれは堂々と紹介したい曲ですね。
 
 こちらも1stからのナンバー。軽やかでメロウなローズピアノ、メロディックなブラス、爽やかなリズム、哀愁漂うソウルフルな歌声、、、最高のAORナンバーですね。
 コード進行はあのJust The Two Of Us(丸サ)進行に似ていて、ちょいと明るくした感じです。メロウな雰囲気の根源はそこでしょうね。
 邦題は「風のシルエット」。これがまた先述のように絶妙に聞き心地の良い適当な邦題で、”恋の~”や”悲しみの~”ばっかつける"残念っ!"な邦題とは一線を画しています。少し凝りすぎると安っぽい雰囲気になるし、曲の雰囲気にピッタリな感じで、売れ線狙いとセンスがちょうど良いバランスで共存した適当な邦題だと思います。
 
 そして、この曲は僕にとっても、彼の音楽に出会った最初の曲ですから、とりわけ思い入れが深いわけです。
 そう思うと、今年はどこかの機会でボビー・コールドウェルのコピバンやりたい!!!!
 これはマジで今突発的にそうなってる。
 うわ、やばい!まじでコピバンやろー!!!!

 とんだ粗相を致しました……

 音源はやはりこちらの1stからですね。とにかく、マイアミの軽やかで湿潤な雰囲気に満ちています。潮や甘い香りの混ざった涼しげな風がそよいできそうな、晩夏や初秋のリゾートやシティの夕方を連想させるような仕上がりとなっています。
 ここで、アルバムの方の邦題でもある『イブニング・スキャンダル』にも納得がいくわけです。


結びに

 ホントはもっともっとお気に入り曲を紹介したかったのですが、10曲くらいが紹介するのにちょうど良いので、泣く泣く10曲にしました。でも、今後もボビー・コールドウェルのアルバムなど紹介していけたらと思います。
 最後になりましたが、僕がこれまでに影響を受けた音楽の中心にいたボビー・コールドウェルに哀悼の意と感謝の気持ちを捧げ、文章を締めくくります。ありがとう。

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