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焼尻島をググっても魅力がわからなかったので、行ってみたら「自分」が見つかった話

日本には、自然しかないけど居心地のよい場所があります。

その中の一つは、僕が過去に北海道一周したとき立ち寄った焼尻島やぎしりとう。北海道の北に位置する羽幌町から高速船で約35分のところにある小さな島です。
※羽幌には札幌からバスで約3時間

赤い屋根が特徴的な焼尻フェリーターミナル

焼尻島をネットの情報だけで判断すると、おそらく魅力が伝わらず多くの人は素通りしてしまうでしょう。ですので、今回は僕の体験ベースで焼尻島の魅力をご紹介します。


北海道の島々の中で焼尻島は断トツで…

北海道に有人離島は以下の6つがあります。
・焼尻島
・利尻島
・天売島
・奥尻島
・礼文島
・小島(別名:厚岸小島)

僕はこの中で小島以外はすべて渡島ととうしました。残念ながら現状、小島への定期船はなく、住民は夏季限定で季節移住している昆布漁の漁師だけ。もし、一般人が渡島したければ、漁船をチャーターしなければいけません。実際、行こうと計画してたのですが結局、時間がなくて断念しました。

では、数ある魅力的な島々がある中、なぜ焼尻島の記事を書こうと思ったかというと、小島を除く5島の中で一番、過疎・高齢化が進んでいるため、自然豊かなのに、うまくPRしきれていないからです。過疎・高齢化は結構、深刻で……僕が島を周ったときは、若者の島民をほとんど見かけなかったです。

その件について島ガイドのおじいちゃんが話してくれました。

ガイドをしてくれたおじいちゃん

おじいちゃん
「昔は子供もいっぱいいたんだが、今はオジイとオバアばかりの島だよ」


「たしかに子供の姿はあまり見かけませんね」

おじいちゃん
「昔はね、島に理容師もいたんだけど高齢で亡くなっちゃってねぇ。今はみんな月1回、羽幌までフェリー乗って髪切りに行くんだよ」


「うわぁ、それは不便そう……」

おじいちゃん
「まぁ、それがオジイオバアの月1回の楽しみだよ(笑)」

こんな感じで島の状況をいろいろ聞かせてもらいました。

正直、フェリーから下船する人は島民っぽい方ばかりで観光客は少なそうでした……。この島の行末がちょっと心配になりましたね。

余談ですが逆に一番、賑わっていたのは利尻島です。子供も多いし、スーパーに行くと移住者らしき人もチラホラ。利尻富士やオタトマリ沼など多くの観光資源に恵まれているので年間、約20万人の観光客が来島らいとうしています。

では焼尻島に行くべきか?

結論、焼尻島を訪れるべきです。それは過疎化してるから多くの人に来てほしいとかいう安易な理由ではありません。

間違いなく、この島には大きな魅力があるからです。

まず、焼尻島は1/3が森に包まれていて、約50種15万本の植物を見ることができます。手付かずのまま残された自然林は国の天然記念物にも指定されており、訪れたことのある知人は『日本一美しい森』と表していました。

プラス以下に該当する方は、さらに有意義な時間を過ごせるでしょう。

それはズバリ『原生の自然に触れ合い、高めたい人』。

もっと詳しく言います。森林の中、ゆったりと流れる島時間に身を置き、『自分へ問いかける時間』を必要としている人です。

当時、東京に住んでいた僕は、都会疲れで睡眠もままならないほどのストレスを抱えていました。そんな折、焼尻島を訪れました。

特に壮大な風景があるわけではないのに、原生の森に包まれ、草木の香りを感じていると、今までのストレスや悩みが小さなことに感じ、モヤモヤしていた頭の中が嘘のようにクリアになりました。

風で変形した樹。どんなに強いストレスでも倒れない強さが見えた

正直、焼尻島にはエンタメはありません。しかし、僕にとっては自然しかないからこそ、己に向き合える大切な場所になりました。

焼尻島のおすすめスポット

最後に焼尻島のおすすめスポットを紹介します。ちなみに島にはタクシー・バスはありません。レンタサイクル、観光ハイヤーのみ。
※観光ハイヤーとは、ガイド付きで島を1周してくれるタクシーのようなイメージ

僕のおすすめは観光ハイヤー。なんといっても60分1,400円で島内一周してくれました。業者は2社あるようですが、僕は『焼尻島観光ハイヤー』を利用しました。こちらは予約もできますが、港に着いて空いてれば、その場で利用可能。あと具体的に帰りのフェリー乗船時間を伝えると、適切な観光ルートを組んでくれます。

レンタサイクル希望の場合は、島内はアップダウン多めなので電動自転車をおすすめします。

オンコのしょう

オンコが等間隔で並んでいる

ガイドさんが島の宝と言っていた『オンコ』とはアイヌ語での呼び名で、『神の木』を意味します。北海道以外ではイチイと呼ばれ、普通は15mほどに成長しますが、焼尻島では厳しい風雪によって平らに変形した1.5mほどのオンコを見ることができます。オンコの荘では、1ha約600本のオンコが群生しています。

焼尻めん羊牧場

夏の日に木の下で涼をとる羊たち

焼尻島では、世界一の味とも称されるサフォーク種の羊が放牧されていました。日本の名だたるレストランが買い占めていて、「幻の羊」と呼ばれています。僕は食べたことがあるのですが、限りなく臭みが少なく、深みのある味わいが特徴でした。

鷹の巣園地

天売島までは約4km、フェリーで約30分の距離

鷹の巣園地は焼尻島の西にある標高94mの高台。かつて、鷹が巣作りしていたので、この名が名付けられました。天売島全体を一望できる絶景スポットです。

最後に

ネットの情報だけだと何もなさげな焼尻島ですが、実は自然を愛する人が喜ぶスポットがいくつもありました。

自然の中、僕みたいに島時間に身を任せ、自身を見つめるのもよし。駆け足で島内を周ってもよし。楽しみ方はいろいろ。

ぜひ、北海道一周するときは焼尻島に寄ってみてください。そして、この島の自然に直面したとき、あなたは何を感じるのだろうか?

※この記事を読んで、「感じたこと」や「思ったこと」があれば、僕のXアカウント宛(@WelcomeToSekai)にお気軽にリプかDMいただければ嬉しく思います。

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