「人生一度きり」スマートキャンプ BALES CLOUDカンパニー 執行役員CPO 柿森 賢太 氏が持つ自分で責任を背負う覚悟
「テクノロジーで社会の非効率を無くす」をミッションに掲げ、企業のマーケティングとセールスを支援するスマートキャンプ株式会社 (以下、スマートキャンプ)。同社のBALES CLOUD(ベイルズ クラウド)カンパニー 執行役員CPOとして活躍する柿森 賢太(Kenta Kakimori)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。
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“ニューエリートをスタートアップへ誘うメディア” EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。for Startups, Inc. の橘 明徳(Akinori Tachibana)と申します。私たちが所属するfor Startups, Inc.では累計650名以上のCXO・経営幹部層のご支援を始めとして、多種多様なエリートをスタートアップへご支援した実績がございます。EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。
企業の成長をテクノロジーで支援するスマートキャンプの事業内容
-- スマートキャンプにご入社されて、今に至るまでについて教えてください。
2018年5月にスマートキャンプへジョインしました。当時、人数は30名ほど。SaaSを比較できるサイト「BOXIL SaaS(ボクシル サース)」が事業の柱でした。そこで第二の柱をつくろうと、インサイドセールスアウトソーシング「BALES(ベイルズ)」を立ち上げようとしている時期に入社しました。
入社後は、その「BOXIL SaaS」「BALES」を含む全サービスのインサイドセールスと一部のマーケティングを担うチームの立ち上げとマネージャーを経験しました。その後、Business Development Div strategyチームに参画して、新規事業や既存事業の戦略立案、開発に従事しました。
Business Development Div strategyチームで出たアイデアのひとつが、セールスエンゲージメントツール「BALES CLOUD」でした。「BALES CLOUD」は、顧客との適切なコミュニケーションの自動化を通して、インサイドセールスの効率化や生産性向上をはかるプロダクトです。
弊社はこれまでSaaS型のプロダクトを持っていなかったこともあり、「BALES CLOUD」に注力していこうと方針を決定。そこで2019年7月に「BALES CLOUD」のPdM(プロダクトマネージャー)として、プロダクトの指針や機能要件を決めていく役割に就きました。約4年ほどそれらにコミットして、今に至ります。
-- 現在はカンパニー執行役員CPOとしてご活躍されていますが、具体的にはどのような役割を担っているのでしょうか?
現在は、「BALES CLOUD」をより多くの方に長く使っていただけるプロダクトへと成長させるために、事業やプロダクト戦略立案、ロードマップの策定、開発アイテムの優先度付け、機能要件や仕様、UI・UXに対して責任を持つ役割です。
弊社はこれまで、「BOXIL SaaS」や「BALES」によりSaaSを提供している企業をマーケティング、セールスの側面から支援する形で、事業を展開してきました。今後は、それに加えて自社のストックビジネスになり得るSaaSをつくっていこうと決めて事業化したのが「BALES CLOUD」です。
そんな「BALES CLOUD」を、さらに多くのお客様に使っていただけるよう、弊社が培ってきた知見を生かしてコミットしています。
強く印象に残った新規事業づくりの重要性。教師になる夢が変わった瞬間
-- ここからは、今はスマートキャンプのカンパニー執行役員として活躍されている柿森さんの原点を探ります。幼少期含め、ご自身の性格をどのように捉えていますか?
子供の頃からかなり好奇心旺盛で、自我も強かったように思います。自分だけの居場所と時間を確保したくて、中学生のころ親に「野宿をさせてほしい」とお願いし、テントと寝袋で一夜を過ごしたり、大学時代はバックパッカーとして世界を旅したり、自転車で日本縦断したり、海外ボランティアをしにフィリピンへ行ったりしました。好奇心旺盛なのは、今も変わらないですね。
-- 今はスタートアップで新規事業を牽引されていますが、今の道に至るきっかけについて教えてください。
元々は学校の先生を目指していました。学生時代の自分に影響を与えてくれたのが先生だったからです。教師になるべく、大学も教員免許が取れる学部を選びました。
ですが、大学2年生の時に「このまま教師になる道を選んで良いのか」と、ふと立ち止まりました。もしかしたら、より自分に合っている選択肢が見つかるかもしれない。もっと世の中を知ろうと、日経新聞やベストセラーになっているビジネス書を片っ端から読んで、強く印象に残ったのが「企業が成長し続けるためには新規事業を生み出すことが重要だが、新規事業を立ち上げるためのノウハウや人材が不足している」という話だったのです。重要だが、新規事業づくりができる人が不足している。逆に言えば、そうしたノウハウをもっている人は非常に価値が高い。
そう考え、いずれは新規事業を担える人材になりたいと思い、教師から進路を変えて事業会社への就職を視野に入れるようになりました。
-- その後、新卒でインテリジェンスに入社されますね。
いきなり新卒から新規事業の立ち上げを経験するのは難しいと考え、まず最初はあらゆる産業で通用するセールススキルを身につけたいと思い、インテリジェンスに入社しました。
インテリジェンスを選んだ決め手は、グループ会社を持たず、自社ですべての案件を集約するビジネスモデルを取っていたことです。グループ会社に案件が流れないため、顧客に提案できる商材の幅を広げられると考え、入社しました。
早く飛び込みたかったスタートアップ領域
-- インテリジェンスに数年間在籍した後、2018年にスマートキャンプへ転職した際のお話を伺います。当時は全体的にスタートアップの知名度も低く、転職先として検討する人も少なかったのではと思いますが、飛び込むことへのリスクは感じませんでしたか?
リスクに関しては意識していませんでした。むしろ、成長速度を上げるために早くスタートアップへ行きたい、ぐらいに思っていました。
実は、新卒の就職活動時から「スタートアップ」という言葉はなんとなく耳にしていて、裁量権を持てそう、ゼロイチを経験できそうなど、漠然としたイメージを持っていました。ただ、当時はどこのスタートアップも大々的に求人を出しておらず、何を経由して入社すれば良いかわからなかったので、選択肢から外しました。
-- そこで、スタートアップへ転職するにあたってフォースタートアップスにご相談いただいたのですね。当時フォースタートアップスや転職活動をご支援したヒューマンキャピタリストに対してどんな印象を持ちましたか?
他エージェントとは一線を画した提案力を持っていると感じました。ただ求人を右から左へ紹介するのではなく、私のこれまでのキャリアと今後やりたいことを踏まえたうえで、「だとしたらこういった業界、会社はいかがですか?」と、きちんと指針を示していただきました。
また、当時担当いただいたヒューマンキャピタリストはスタートアップ界隈だけでなく、日本の産業全体の知見もお持ちで、対話の中で多くの学びを得られ、まるで私のキャリアを一緒に考えてくれるメンターのような存在でした。本当にお世話になりましたし、今でも交流が続いています。
一緒に働けるならどのように転んでも良い。決め手はミッションと未来の事業構想
-- 数ある選択肢の中から、スマートキャンプへ入社を決めた理由を教えてください。
スマートキャンプが掲げているミッション「テクノロジーで社会の非効率を無くす」に強く惹かれたからです。
選考の前は、正直ミッションを達成した後の世界の解像度が低かったです。そこで当時代表だった古橋やCOOの阿部に話を聞くと、SaaSが将来的に普及していく。そしてSaaS関連の事業を広げることが、ミッションの実現に繋がると熱弁してくれて、深く納得したことを覚えています。
私が選考を受けた2018年当時は、まだSaaSの普及率が30%に満たず、市場規模も4,000億円ほどでした。今はその時とは比較にならないほどマーケットが拡大していて、あの時2人と話したことが、まさに現実になったことを実感しています。
-- 古橋さんや阿部さんと面談した当時の心境についても伺いたいです。
2人と話をしていて、すごくワクワクしたのを覚えています。古橋や阿部に、自身のやりたいことを伝えたら「じゃあこんなことが実現できたら良いね」など、未来の事業構想の話で盛り上がりました。
いざ入社してみたら、今感じている印象とのギャップがあるかもしれない。でも、この人たちと一緒に働けるならどう転んでも良いと思い、入社を決めました。
チャンスを掴むには、プラスアルファのアウトプットを続ける姿勢が欠かせない。入社後1ヶ月で巡ってきたチャンスボール
-- 実際に、スマートキャンプに入社されてみていかがでしたか?
入社して間もない頃から、自主性と裁量権を持って仕事ができる環境にありがたみを感じました。
具体的なエピソードとしては、入社から1ヶ月後に阿部から突然「毎日2時間ほど時間をつくれますか」というメッセージをもらい、「つくれます」と返答したところ「BOXIL SaaS」に関するデータが送られてきて、「今週末の経営会議までに、データから何かしらの仮説を立ててほしい」と頼まれました。予想よりもすぐに事業や会社全体に価値を提供できる大きなチャンスをもらえたことに心が踊り、改めて入社して良かったと感じたことを今でも鮮明に覚えています。
-- 入社早々チャンスが巡ってきたのですね。ご自身を客観視した時に、なぜ阿部さんは柿森さんにメッセージを送ったと思いますか?
推測ではありますが、やはり面接の段階からやりたいことを伝え続けてきたからだと思います。その思いが阿部にも通じたのではないでしょうか。
とはいえ、任せてもらうには意思だけでは難しいもの。チャンスが巡ってくるよう、まずは目の前の仕事に全力を注いでいました。目下の仕事だけでなく、プラスアルファで今の自分に何ができるかを考え、アウトプットしてきた影響も大きかったのではと思います。
「人生一度きり」死ぬときに後悔しないために、自分で責任を背負う意識を持つ
-- お話を聞いていて、会社や事業をより良くするために行動し続けた結果が、今の役割にも繋がっていると感じました。そんな柿森さんが、仕事をするうえで特に意識していることを教えてください。
どんな仕事に対しても、自分で責任を背負う意識を持ち続けています。
重い言葉のように聞こえるかもしれませんが、自ら責任を背負う分、自由に動けるメリットが生まれます。自由があればあるほど、成功するために何が必要かを考え、行動に移すサイクルを回しやすくなります。
当然、うまくいかなければ失敗も自分の責任になりますが、それも1つの結果。失敗を恐れるよりも自由に試行錯誤できる状況を確保したいからこそ、自分で責任を背負う意識を常に持つようにしています。
-- 自分ですべてを背負う覚悟を持つのは、なかなか難しいことでもあると思います。なぜそのように覚悟を決めて行動できているのでしょうか?
「人生一度きり」ということを強く意識しているからです。当たり前の話ですが、人はいつか死にます。そして、死の間際には少なからず「あの時に、こんなことをしていれば良かった」という後悔が頭をよぎるはずです。
私は、人生における後悔をできるだけ減らしたい。そのためには、自分がやりたいことを今持てる力でやり続けるしかないと思っています。力を最大限に発揮するには、自分で責任を持ち、裁量権を持って活動するのが一番の近道だと考えています。
-- 自分で責任を持つ覚悟を決めるには、どんな行動を起こしていけばよいと考えますか?
いきなりすべての物事を抱え込むのは難しく、ある程度の時間と経験が必要だと思います。ですので、まずは責任を持つ範囲を小さく定めることをおすすめします。自分の中で手応えを感じたら、責任の範囲を広げてみるのはいかがでしょうか。
例えば、営業チーム全体の目標受注数を、いきなりひとりで追うのは無理があります。でも、日々顧客に提案する行動量を増やしたり、行動の質を上げたりすることはできるはず。まずはスモールスタートで日々の行動を見直して改善を重ねながら、責任を持てる範囲を広げていくのが良いと思います。
-- 自ら責任を負う覚悟の他にも柿森さんを支えているモチベーションの源泉はありますか?
背中を預けながら、同じ方向を向いて一緒に働ける仲間です。
組織で働く魅力のひとつは、ダイナミックな事業に関わり、個人では成し遂げられない目標を達成できることだと思います。大きな目標を成し遂げるために、仲間の存在は欠かせないですし、私自身の心のよりどころにもなっています。
仲間を大事にしたいので、普段からメンバーにかける言葉には気を配っています。マネージャーの立場でメンバーに話をする時は、彼らのモチベーションを削がない言葉を意識しています。また、会議の前にひと笑い入れて空気を和ませるなど、些細なことですが、いつも場をポジティブにする雰囲気づくりは心がけています。
変化する時代の中で自分を見失わないために大事なことは、自分なりの価値基準を定めること
-- 柿森さんのように、若いうちから経営層を目指したい人はたくさんいると思います。最後に、そんな未来のニューエリートに向けてぜひメッセージをいただけますか?
私もまだ道半ばではありますが、組織で活躍するためには、物事に対する価値基準をしっかりと持つこと。そして、基準を時代に合わせてアップデートし続ける姿勢が欠かせないと思っています。
日々、世の中の状況は変化し続けています。その変化に対して自分なりの価値基準を定めていないと、時代の動きに流されてしまい、何のために仕事をしているのかを見失ってしまいます。
そのようなとき、自分なりの価値基準があれば、世の中の変化を客観視したうえで、どう進むべきかをコントロールしやすくなります。活躍している人の話を聞くと、価値観や哲学をしっかりと持っている方が多いです。ぜひ色々な経験を積みながら、自分の価値基準を醸成する意識を持ってみてください。
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