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あけびの実が見たい
今日、父の余命が宣告された。
全くもって平気ではない。
それでも兄からの連絡に、冷静に受けとめるふり、を選んでいた。父と一緒に直接医師の説明を受けた母と兄の痛みを思えば、実家から離れた場所にいる私が、彼らより心を乱してはいけない気がしたから。
程なくして、更に離れた土地に住む姉から電話。さすが長女は落ち着いていた。安定のおねーちゃんにも、なるべく帰省できるようにすると告げるに留まった。
まだ、誰にも、泣き言は言えなかった。
いつになったら、言っていいのだろう。
今、ポロポロと溢れてくるものはなんだ。
悲しいのと、悔しいのと、怖いのとがぐちゃぐちゃだ。
春に帰省した折り、今年初めて庭に咲いたあけびの花を見て、実はなるのかなぁと喜びを隠せず呟いた父を思い出す。
奪われたくない。
本当にひどい話だ。
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