2)ネズミとお坊さま【わがままウサギとお坊さま】

2)ネズミとお坊さま

動物たちから相談を受けたお坊さまは、わがままウサギに会いに行くことにしました。
しかし、そのわがままウサギはもう死んでしまっています。
お坊さまは「夜の間だけ、体を離れて魂を飛ばせる術」を使う事にしました。
そして、魂を飛ばしている間、お坊さまの体を、相談に来た動物たちが交代で見守る事になりました。


日が沈み、「夜の間だけ、体を離れて魂を飛ばせる術」を使ったお坊さまの魂は、お坊さまの体を離れ、ふわっと空に舞い上がりました。
魂となったお坊さまは、相談に来た動物たちが普段暮らしている山へ向かおうとしました。
動物たちを困らせるわがままウサギの魂もそこにいるハズです。

すると、お坊さまを見つけ、近づいてくる魂がありました。
死んだばかりのネズミの魂でした。
お坊さまはネズミの魂に事情を話しました。

(ネズミの魂)「そういう事でしたか! 大きなお力にはなれませんが、せめてこの宝珠をお守りにしてください」
そういうと、ネズミの魂はお坊さまの周りを3周クルクルと回りました。
するとお坊さまの前に不思議な丸い宝珠が出てきました。

(お坊さま)「これは《悟りの宝珠》……!」
ネズミの魂はとても嬉しそうでした。
(ねずみの魂)「私は他の動物より寿命が短く、あっという間に命を終えてしまいました。 ですが、だからこそ、一生懸命に生き、私なりの悟りを得る事が出来ました。 そして、寿命を全うした先で、こうしてお徳の高いお坊さまに出会え、さらにはこうしてささやかながらお役に立てました。 何よりも幸せな報いです」
ネズミの魂がそう言うと、お坊さまは少し照れくさそうにしながらも、ネズミの言葉に大きな感銘を受けました。

お坊さまはネズミの魂が天へと昇って行くのを見届けると、いよいよわがままウサギの居る山へ向かいました。

(次のお話に続く)

フォローやスキも歓迎です・・! いつもありがとうございます!