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ホニャララLIVE #030 中澤広隆​(山伏)

起業家から山伏まで

ホニャララLIVEの醍醐味のひとつは、間違いなくゲストの幅の広さにあると思います。今回のゲストは中澤広隆さん、山伏です。修験道の行者である山伏の方からお話をうかがえる機会というのも、そうそうないと思います。

改めて山伏とは山に入り修行をする修験道の行者のことです。中澤さんもそうですが、山伏には「半僧半俗(半聖半俗とも)」といって、普段は街で生活を送りながら休日やある時期だけ、山伏として山に入る人たちがとても多いそうです。

日本に暮らす人にとっての山

日本はたくさんの山々に囲まれています。湿潤な気候もあり山はたくさんの恵を与えてくれる存在です。同時に山は畏れの対象でもあります。どうにも抗いようのない災害に見舞われたりもするわけです。大雨、台風、土砂崩れ、洪水、その他色々。日本人が民俗信仰的に山を崇めるようになったのは自然な流れだったのかもしれません。

古来、山は「入る」ものではなく、麓から「崇める」ものでした。山に初めて入ったのが修験道の開祖とされる、役行者さんだと言われています。山へ入るのは修験者(山伏)のみでした。故に、山の名前には、菩薩、仏、地蔵など仏教に関わる名前が多いです。民間に広まったのは江戸時代に入ってからです。「講」と呼ばれる山岳信仰のグループがたくさん発生します。明治になると外国からレジャー登山が輸入されてきます。さらには新仏分離などの政策もあり、修験道は衰えていくのです。

おそらく古くから山に暮らす人々もいたであろうと推測します。しかし山は古来、安易に足を踏み入れる場所ではなかったのでしょう。山は生命(恵)の源。命生まれし場所には邪もまた生まれる。安易に足を踏み入れると邪も憑きやすい。

山の行

修験の目的は悟りを得ることとなるわけですが、山の行は過酷なものです。過酷な行の結果、超感覚的な力を得られるわけです。ところがそれを利用することを目的に山の行に入ると、邪がつくと言われています。まさに邪な(よこしま)な心ですね。それは道から外れるということを意味します。修験の道から外れるということでもあり、山の道は1本ですからそこから外れるということも意味します。逆にいうと山の道を外れると、人の道を外れるというふうに修験者は考えた(感じた?)のかもしれません。

そして道を外れるとどうなるか、天狗になると言われます。調子に乗っている者を指して「あいつは天狗だ」というのはここから来ている言葉だそうです。天狗は神様として信仰の対象になっている側面もあり興味深いです。陰陽和合のように両面が存在するシンボルのようでもあります。

山の行というのは様々なものがあるそうですが、何も滝に打たれたり、崖から飛び降りるようなことばかりが修行なのではありません。むしろ山に入り、一歩一歩と足の裏から山を感じ、自我を忘れていくことこそが修行の本質的な体験なのかもしれないと感じました。

里の行

山伏には「山の行より、里の行」という言葉があるそうです。修行は山に入っている時ばかりではないということです。中澤さんも日々たくさんの気付きがあり、一つ一つは小さな気づきでも、全ては連なり変容する自分を受け入れているというようなことをおっしゃっています。

この配信は奈良県奈良市にある西村邸という、宿泊施設をお借りして行いました。配信までの時間とその翌日は、みんなで天川村周辺や三輪神社などを中澤さんのガイドで巡りました。小さな旅のようでもあり楽しかったです。

最近は「星の人」としての認識が目立つyujiさんですが、久しぶりに「上(神)のパシリ」の方のyujiさんが強く現れていて、個人的にはそれもワクワクするところでした。中澤さんとyujiさんの車中での話を聞いていると、神社への愛が半端ないわけです。その愛はもしかしたら、そのまま自分への愛として返ってくるのかもしれません。

ここにまとめたものは、中澤さんのお話に一部、僕が解釈を加えたものです。ホニャララLIVEではこれとはまた違ったお話を伺っていますので、興味を持っていただけるようであれば、アーカイブもご覧ください。

おまけ(宣伝)

この車中の会話が面白すぎるので、旅の空気をお裾分けしようと動画を公開しています(有料)。音声のコンディションはベストではありませんが、一緒に車に乗っている感覚で聞いてもらえると嬉しいです。

ちなみに、この時の昼食時に話をしたのですが、中澤さんとラジオの放送を始めています。山伏のこと、修行のこと、自然のことなどをお寺のお堂や、聖地からお届けするというものです。山伏のラジオってのも珍しい思いませんか?僕はこれを「耳で聴くお寺」と称しています。住職が中澤さんということですね。よろしければこちらも合わせてお楽しみください。

2020年11月14日

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