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自由にやろう!という不自由

例えば子どもたちと絵を描くとき、あるいはたくさんの積木で遊ぶとき。「自由にやっていいよ!」というと案外何をすれば良いのか、わからなくなるということがあります。

初めて経験することならば、尚更その傾向は強くなるように思います。こんなときによく思うのですが、「自由に」というときほど「不自由さ」を感じます。

逆に、些細な制約がある方が子どもたちは「自由に」「のびのびと」取り組んでいる印象があるのです。これは大人もそうかもしれません。仕事のシーンを想定すると、「新しい商品をなんでもいいから企画せよ」と言われるよりも、「健康に関する商品を企画せよ」とか「新しい商品の販路を考えよ」と言われる方が遥かに考えやすいし、たくさんのアイデアが出てきそうです。

そんなわけで、子どもと何か新しいものを作り出すときには、小さなステップを少しづつ踏みながら進めることを心がけています。また、なんらかの枠組みを設けることも良いのではないかと思うのです。
枠組みというのは「〇〇を描こう」「△△を作ろう」「□□をやろう」などのちょっとしたテーマや目的のようなもので、ある意味ではこれが「制約」となります。

小さなステップと枠組み

この「小さなステップ」と「枠組み」は両方を同時に心がけるとより効果的な気がしています。例えば、「風の音を絵に描こう」という抽象的なテーマがあるとします。これが「枠組み」です。抽象的でも構わないと思います。逆に「自分の顔を描こう」のような具体的なものでも良いと思います。また積み木やブロックで遊ぶ際に「街を作ろう!」というようなこともここで言う「枠組み」だと捉えています。

最初に上げた「風の音を絵に描こう」と言うテーマに戻ります。「風の音」と言うのは、風も音もどちらも目に見えるものではありません。それを絵に描く=視覚化すると言うことです。そのためにはまず「知る」必要がありそうです。風を感じてみる。強い風、優しい風、暖かい風、冷たい風…。そしてその音を聞いてみます。こうした一つ一つのプロセスが「小さなステップ」です。

知るプロセスを経たら今度は表現していかなくてはなりません。それもいきなりは難しい。例えばこうしてみるのはどうでしょう?

①風の音をどう感じたのか話をしてみる(親子でお互いに意見を出す)
②それはどんな色か?どんな形だったのか?など言葉にしてみる
③まずは最初に感じた色を1色塗ってみよう

と言う感じで小さく分解しながら進めます。親って大変(笑)

ある程度進行してきたら、いよいよ「自由に」やるようになっていきます。最初だけサポートをすれば、当初躊躇することがあっても子どもたちは自ら表現していくだろうと思います。大人は時々ツンツンしてあげれば良い。ツンツンは色々な提案です。

目的は完成ではない

個人的な感覚で言うと、最終的にテーマから外れてしまっても構わないと思っています。「風の音を描こう」と言うテーマで絵を描くことを初めて、最終的に「動物園の絵」ができました!でも構わないんです。

大切にしたいのは「楽しい!」と思う感覚。特に幼児期はそうだと思います。だから逆に気分が乗らなかったらやらなくても良いかなとも思います。

不思議なものでワークショップの様子などをみていると、たくさんの子どもたちの中でイマイチ気分の乗らない子どもは一定数います。でもワークショップが終わる頃には、みんな真剣に取り組んでいることがほとんどです。

子どもは自ら取り組む力を持っているのでしょうね。

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