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公演が出来なくなったアーティストやクリエイターの収益手段を、ただのVtuberオタクの僕が考えてみた

楽しみにしていたライブが中止になりました。昨今の事情からすれば仕方の無いことではあります。チケット代が返ってくる私はしょんぼりするだけで済みますが、公演予定だったアーティストさんは、収益の手段がなくなったので、しょんぼりどころでは済まないかもしれません。アーティストの方々は、オンラインだけで収益を得る手段が必要になりそうです。

そこでオンラインをメインに収益を得る仕事であるVtuberさんたちの活動は参考になるのではと思いました。

といっても、私はただのオタク、観る側であり、収益を得ている方ではありません。だから外しているかもしれません。具体的な方法論というよりは、「オタクはこういう風に好きなVtuberに貢いでいます」という例を紹介し、一部でもアーティストの方の参考になれば良いなと思っています。

うっかり長くなってしまったので、先に要約をすると、サービスとしては「BOOTH」と「FANBOXのような月額会費制ファンクラブサービス」を提案しています。

また、提供するアーティスト側が、「お金を払ってもらう=金額に見合う商品やサービスの提供」という概念から解放されることも提案しています。

むしろ、お金を払うというのは、手紙を書いたり凝ったレポートブログを書いたりできない自分でも「ファンとしてあなたを支えたいという気持ち」を伝えられるコミュニケーションと考えているオタクも多いです(サンプルは私)。

お金を払うというコミュニケーション手段を用意してください、その金額に見合う「何か」を用意しようとは思わなくてもいいんです、特にこういう時期には。というのがこの記事で伝えたいことです。

グッズを売るならデジタルデータで

Vtuberオタクにとって、最もわかりやすく貢ぐ手段は、BOOTHというサイトで販売されているボイスデータを買うことです。中身はちょっとしたシチュエーションの音声や、メッセージだったり。全部で30分くらいで、1500円くらいが相場でしょうか(もちろん人によります)。

ここで需要なのは
・BOOTHは決済手数料が3.6%であること。つまり96.4%が販売主に渡ります
・デジタルデータなので、発送料や印刷費もかかりません。つまり、96.4%がまるごと販売主に入る

という2点です。音声収録にだって稼働原価はあるにはありますが、Vtuberさんが自宅の配信用のマイクとPCでそのまま録っていらっしゃるので、ボイスを収録するために新規に費用は発生していないことがほとんどのようです。

僕みたいなオタクにとっては、もちろん撮り下ろしのボイスそのものも嬉しいのですが、自分の支払ったお代が推しの生活を支える糧になっているイメージが湧くのもまた嬉しいものです。

私のようなオタクはかなりいるようです。樋口楓さんというVtuberは自分の収入事情を明らかにした動画を公開されているのですが、BOOTHのボイス販売はよい収益になっていて有り難いという主旨の発言をされていました。

他にも、ボイス販売収益によって機材を新しくできたなど、確かな収益源になっていることをうかがわせるVtuberさんは多くいらっしゃいます。そして、オタクである私は、そんなコメントを見て「ボイスを買って良かった」という喜びがあるわけです。

アーティストの方は、グッズといってもステッカーやTシャツなどを作ってしまいがちなイメージがあるのですが。それは原価や送料がかかります。もしもあなたを支えたいというファンがいてくれるのなら、デジタルデータをぜひ販売してください。しかも、凝った録音である必要もありません。あなたにお金を払う理由が欲しいだけのです。あなたの助けになりたいので、録音のためにスタジオを借りたりしてお金を使わないでいいんです。

デジタルデータは音声だけでなく、画像やPDFデータも扱えます(デジタルデータなら何でもBOOTHは販売できます)。スマホのカメラで撮っただけのメッセージ動画データとかでもいいのかもしれません。

また、あくまでも販売になるので、会計処理も普通に売上に付ければ良いので楽です。ファンからお金を振り込んで(寄付して)もらうのが一番手数料は安いとか思ってしまいそうになりますが、これって会計処理結構大変らいいです。私は会計は素人なので本当のところはわかりませんが…。とにかくデータを売るのが楽らしいです!

月額会費制ファンクラブ

BOOTHと同じpixiv社が運営している月額会費制ファンクラブサービスFANBOX。他にもCi-enfaniconなど、多くの月額会費制ファンクラブサービスがあります。

ファンクラブ会報のWeb版のようなものなので、会員になったファンだけが読める近況報告の文章や画像を提供することになります。

手数料は安いところだと10%。月980円の会費なら、手数料は98円なので882円が収益となります。

こちらもファンはあくまでも支援したい気持ちそのものが動機なので、そんなに見返りは求めていないです。近況報告がてらオフショットの写真やメッセージをたまに上げていただけるだけで十分。支えたいのが動機なので、ファンクラブの更新作業で消耗されてしまうのはファンにとっても本意ではありません。

Vtuberオタクのわたしの観測範囲では、真面目なVtuberさんが、ファンクラブの人達に丁寧な特典を用意しようとして消耗してしまっている場面をたまに見かけます。「○○円のコースに入ってくれた人にはこんな特典を用意しています」みたいなことを宣言してしまったから、それを作ろうとしてしまうわけです。宣言してしまうとその特典を毎月期待してしまうのがファンなので、そのプレッシャーもあるのでしょう。

また、自分が特典をキチンと用意できるかわからないからと、月100円のコースを設置してしまっている優しい人も。だけど、ファンからすれば支援したい気持ちで加入するのだから、最低でも月500円、できれば1000円程度のコースを最安値にして欲しいと思うことはしょっちゅうです。

一方、うまくファンクラブを活用していらっしゃるなと感じるVtuberさんは、そもそも特典の内容を書いてません。「気が向いたら限定の文章や写真をアップするかもしれません。いくらのコースに入っていただいても特典はすべて同じです」という、豪気な説明書きのみ。それでも、ファンは加入します! 私自身が大して更新されていないFANBOXに嬉々として加入していますので、ここにサンプルがいます。

やはり、多くのVtuberさんがFANBOXのおかげで生活できているという主旨のコメントをされていますので、私のようなオタクの自己満足ではなく、ちゃんと生活の糧になっているのだと思います。紙のファンクラブ会報と違って、印刷代や送料がかからないのもいいですよね。

クラウドファンディングは目的が明確でないと支援しにくい

逆に、緊急支援としてよく話題にあがるクラウドファンディング。こちらは、使い方を誤るとあまり上手くいかないかもしれません。

クラウドファンディングはそもそも、なにかにチャレンジしたい人が、製品の開発費やイベントの開催費用を呼び掛けるもの。そのプロジェクトが成功するように、担当さんがついてくれて、マーケティングをサポートしてくれたりもします。

担当がついてサポートしてくれるということは、それだけ手数料も取られると言うこと。20%程度が相場のようです。意欲的な製品を開発したいなどの明確な目的があるのなら、こういうサポートは助かると思います。一方、公演がなくなったので支援を呼び掛けたいみたいな用途に使うには、ややオーバースペックかもしれません。

また、クラウドファンディングはリターンといって、支援者にグッズなどをお送りすることが多いです。すると、グッズの送料を甘く見積もったせいで想像以上にお金が残らなくなるということもあるようです(さすがにサポート担当さんがつくサービスならこういうことは起こらないとは思いますが)。

宅配便扱いだと、ちょっと遠くだと送料1000円はすぐに超えます。手元にお金を残すことが第一目的の場合にはキツい出費かもしれません。手数料のことも相まって、クラウドファンディングはこういう事態の際には必ずしも最適ではないかもしれません。何度も述べていますが、オタクはリターンやグッズが欲しいと言うよりも、推しを支援したい気持ちが第一なので、できるだけ自分の払ったお金が推しの手元に残って欲しいのです!

もちろん、こういう時期だからこそ何かを呼び掛けて目的を達成したい場合は、クラウドファンディングは優良な手段になりえるとは思います。使い分け。

俗に言う「投げ銭」は意外と料率が悪い

最近話題の手段と言えば、YouTubeのスーパーチャットや、SHOWROOMや17Liveなどで取り入れらている「有料ギフティング」というものでしょう。俗に投げ銭と呼ばれます。

ダイレクトにお金をプレゼントしている印象を持っている人も多いサービスですが、冷静になって考えてみると、料率が高いはずはありません。

スマートフォンからギフティングしようとすると、まず決裁段階で、Apple/Googleのストア手数料30%が引かれます。SHOWROOMや17Liveが舞台なら、当然、これらのサイトも手数料を取っているはずです。

動画配信サービスというのはとにかくサーバーインフラの費用がかかるらしいです。また、リアルタイムにお金がかかわるデータを捌くので、データベースもそうとうしっかりした仕組みを入れていることでしょう。そう考えると、手数料が安いはずはありません。

こうした料率は多くが秘匿されているので推測しかできませんが、配信を拝見していると「自分の手元に来るのは半分以下だよ」という発言はたまに見かけます。

もちろん、Apple/Googleは使いやすいサービスを開発してくれています。ライブ配信サイトも、快適に視聴できるサービスを提供してくれています。そうした事業者に、正当な対価が支払われるのは当然のことです。

ただ、世間のイメージよりは料率が良くないであろうことは、想定に入れておいてもよいかとは思います。

もちろん、オタクからすると、面白いコメントができなくてもちょっと投げ銭をするだけでファンの間で目立てるのはなかなか楽しいことです。私のように面白みのないオジさんの場合、どうしても気の利いたコメントはできないので、小銭(だいたいスパチャは120円とかです)がコミュニケーションをサポートしてくれるのはとても助かるんです。そういう楽しみの場を提供するという意味では、どんどん活用するべきかと思います。やっぱりこれも、使い分け。

まとめ:「支援するルートと口実」を作って欲しい

ただのVtuberオタクの視点で、私がどうやってお金を使っているかを述べてみました。まだまだ世の中の多くの人はVtuber経済圏のことは未知の分野かとは思いますが、「オンラインを主軸としているタレント活動の開拓者」という観点で見ると、参考になる部分も多いのでは…なんて思って書いてみた次第です。

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