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バイリンガル教育を始めるその前に、考えた①

 アメリカ生まれ、アメリカ育ちの息子たちは、英語が話せない。両親が日本人(正確には、日本人と日本語が母国語の日系アメリカ人)であるため、家の中では日本語以外の言語を使用せずに、長男は5歳になった。家で見るテレビも、読み聞かせる絵本も全て、日本語で通した。2年通った幼稚園も、日系幼稚園だった。長男が知っている単語は、Yes、No、Hi、Bye、Thank youくらいだろうか。それでもいいと思ってきた。でも、長男のキンダー(準小学1年生)入学を見据えて、とうとうバイリンガル教育を始めなければいけない時期になってしまった。さあ、どうしよう。

 まず、息子たちの英語教育方針を決める前に、もう一度自分と英語について考えた。私は、生まれてから3歳までと、小学校5年生から高校2年の一学期までをアメリカで過ごし、大学卒業後に再び渡米し、アメリカの大学院を卒業した。大学院を卒業してからは、ずっとアメリカにいる。日系企業で働いていたこともある。通算在米年数は、いつの間にか在日年数を10年くらい越してしまった。そんなに長くアメリカにいるのならば、母国語は英語なのかと問われれば、その答えは「いいえ」であるし、バイリンガルなのか、という問いへの答えも「いいえ」である。私は、英語が得意ではないし、好きではない。日本語と同じレベルで英語を操れる訳でもないので、バイリンガルであるとは思っていない。しかし、社長アシスタントの仕事では会議通訳(逐次、同時)も翻訳もしていたし、保険会社に請求書のクレームを入れることもできる。病院に行っても、行政手続きでも、特に困ったことはない。読もうと思えば英語で本も読めるし、字幕なしで映画を見ることもできる。でも私の日本語と英語のレベルは同じではないので、私は、自分をバイリンガルではないと言っている。さあ。息子たちはどうなるだろうか。

 11歳で渡米した時、私の英語能力はほぼゼロだった。それこそ今の5歳の息子と同じくらいの語彙力だった。唯一違う点といえば、大文字と小文字のアルファベットはわかっていたことと、なんとなく、簡単な単語が読めたことくらいか。しかし、その後どうやって複雑な単語も読めるようになったのかはよく覚えていない。先生が読み方を教えてくれて、それを徐々に習得して行ったのだろうけれど、いつの間にか、このアルファベットの組み合わせは、こう発音するのか、と自然に覚えていた。それをPhonicsとも呼ぶようだが、自分がPhonicsという体系で読み方を覚えた記憶は全くなく、息子の英語学習を始めるに当たって、自分の経験はなんの役にも立たなかった。

なので、これから始まる長男の英語学習は、まさに手探り。行き当たりばったりに近いことになる。長男はバイリンガルになれるのだろうか。思考言語はどちらになるのだろうか。家族間、兄弟間のコミュニケーション言語はどちらになるのだろうか。これから長い、長い、言語との戦いが始まる。のか。

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