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銀座三越 ラデュレ銀座店

横浜喫茶あなたこなた
番外編

『ラデュレ 銀座店』(銀座三越)

 7月15日。私の誕生日に母と降り立った銀座という地のずっしりとした雰囲気には何処か見覚えがあった。

 DACに所属したのがこの半月後の8月2日。

 本来なら働くようになってからこの地を訪れるつもりだったが

「今年の誕生日、行きたい所とかある?」

 …と母に問われた際真っ先に答えたのが銀座三越の一角にあるカフェである。

 お中元でアイスを送る時、クリスマスにデパ地下で配布されるケーキカタログ等によく名前の載っているマカロンが有名なパティスリー。

 ドラマや映画などでマカロンが登場した際、クレジットに名前が載っている事もよくある。

 「名前だけは知っている」……と言う方もいるだろう。

 お中元等のカタログにここのお菓子やギフトが載っていると、薄緑の綺麗なパッケージや上にマカロンが貴婦人の帽子さながら盛られたアイスを見て

「可愛い!」

 と独りはしゃいでいる。

 もっともギフトという制約上、我が家では余りそういうものは選ばれない。

 どんなに高級なものでも海外のお菓子というのは好みが分かれるものである。

 菫や薔薇のキャンディ、など輸入食品店に行かなければお目にかかれない物が平気なのは我が家では私だけである。

 母はひとしきり悩んだ後、毎年お中元は(贈答用も自宅用も)横浜名物のもの…と安パイをとっている。


 可愛い物採集をはじめて幾年、ラデュレがコスメやグッズ事業にも参入しているのを間近に見てきた私は「美しいもの」の基準がラデュレによって形成された事は否めない。

 故に、銀座三越2Fのサロンに行く事はそれこそ

「ブルボン朝の貴族が、ヴェルサイユに暮らす事に憧れる」

 感情に等しかった。

 事実、誕生日当日は緊張のあまりなかなか寝付けなかった。

 母も「銀座で食事をするのはかなり久々だ」と前日の夜からいそいそとカバンを準備していた。

 予約を入れる時、始めは

「パフェとか頼むわ」

 と言ったが、せっかくだし……と結局限定のアフタヌーンティーを注文する運びとなった。

 三越に到着後、しばらくの間ぐるっとデパ地下などを見て回った。

「明治大正を描いた文学作品の中のデパート」

 という認識だったその建物は、当時の面影を残した区画もあった。

 近未来的な建物をある程度見慣れた私達ですら、この建物に圧倒されるのだから当時のモダンボーイ・モダンガールと呼ばれた人たちにはどれだけハイカラに見えただろうか。





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