レトロゲーム回顧録「ゲームボーイ版:聖剣伝説~ファイナルファンタジー外伝~(旧約」


最初の出会いは運動部の秋の合同合宿

私が最初にゲームボ-イ版の聖剣伝説(旧約)に出会ったのは、高校3年生の時。
9月半ば頃にあった運動部の合同合宿の夜に、他校の後輩がゲームボーイ版の聖剣伝説を持っていた。
私はそのゲームについて後輩に尋ね、良い作品という事を聞き、私は持参していたゲームボーイの本体を使い、ソフトを借りて彼からアドバイスを受けつつ少しプレイしてみた。
その時は遊ぶ時間があまり取れなかったが、ゲームに良い好感を覚え興味を持ち始めた。

聖剣伝説の購入

10月の半ばになって3年間続けた運動部の部活を引退。
しばらく経ったある日、急にゲームボ-イ版の聖剣伝説が遊びたくなり、近所のファミコンショップで購入した。
ゲームソフトは、箱と説明書が無く値段も高かったが、当時ゲームを遊びたい気持ちが強かったので迷わずゲームを購入した。

ヒロインの名前を決めるのにひと苦労

聖剣伝説ではゲームを始める最初にヒーローとヒロインの名前を付けるのだが、主役であるヒーローの名前は毎回付けている気に入った名前があったので、すぐに決まった。
しかしヒロインの名前を考えるのに一苦労し、中々自分にしっくり来るヒロインらしい名前が決まらなかった。
1時間以上考え込んでも中々良い名前が思いつかなかった私は自室の本棚の本を読んであれこれ調べた。
岩波少年文庫の「ギリシア・ローマ神話(上・下)」をしばらく読んでいた最中に、ヒロインらしい良い名前があったのでその名前に決めた。
色々悩み込んでようやく名前が決まって喜んだ事は、今でも良い思い出となっている。
当時は特に女子キャラクターの名前を付けるのが大変で、簡単に名前を思いつく事は少なかった。
しかし、この作品で決めたヒーローとヒロインの名前は、その後の私が遊んだ様々なRPG作品でいつも使うほど息の長い付き合いになっていった

ゲームは最初から苦戦続き、迷宮ではマッピングをする事を思いつく

聖剣伝説は遊んでいて楽しいのだが、ゲームを始めたばかりの頃は屋外や迷宮で迷子になる事が多く、特に迷宮は難しくいつも迷っていた。
砂の迷宮の攻略前、入り口である2本のヤシの木の場所と8の字に回らないと扉が開かないギミックがわからず、ゲームが進まなくなった。
いくら考えてもどうにもならなかったので、数日後、聖剣伝説の攻略本を立ち読み出来る本屋を探した。
幸いにも近くの本屋でシュリンク加工されていない攻略本を見つけ、内容を手早く確認してゲームを再開し無事に迷宮を発見する事が出来た。
当時本屋で売っている攻略本は、ビニール袋でシュリンク加工されているのが一般的で、中身を確認する事はできなかった。
攻略本を買うほどお金に余裕もなく、私自身も攻略本を買う気がまったく無かった事と、攻略本を出来るだけ買う事をしないで自力でゲームクリアする事に私は変なポリシーを持っていた。
毎回のように迷宮の所で迷ってばかりで途中から中々進まず、その事で考え込んでいた私にある品物が目に付いて突然ひらめいた。それは方眼紙の存在だった。
そうだ!この方眼紙を使って聖剣伝説に出てくる迷宮をマッピングが出来れば、スムーズにゲームを進められるし、少しでも無駄な時間を減らせる事が出来る。
その事に気が付いた私は、昔学校で使っていた方眼紙を自室から探し出して使う事を思いついた。この時に自作した手作り迷宮マップは、約1年後に別の機会で役に立つことになる。

迷宮攻略と手作りマッピング

聖剣伝説の迷宮は一部屋が四角形で出来ており、方眼紙でマップを作るのに適していた。難しい事は書き込まないで方眼紙の枠の外に迷宮の名前を書き、四角形のマスを1つ1つ定規を使ってシャーペンで書いていく。間違えたら消しゴムで消すというシンプルで地道な作業だった。

マップの書き方の手順
1:部屋と部屋が隣同士でつながっていれば、方眼紙の真ん中に短く線を引き、壊せる壁はアルファベットでマトック(つるはし)の意味である「M」の文字を入れる。
2:鍵が必要な所では真ん中に短い線を引いた後に丸を書く。
3:階段のある部屋では矢印で上下に書いていき、HPとMPの回復の部屋では漢字の頭文字の「回」で表す。
4:ワープのある部屋では「A」を2つ書き、違うワープのある部屋では「B」を2つ書く。
5:仕掛け部屋のある場所では真ん中に赤いボールペンを使って短く書き、ボスのいる部屋には、方眼紙のマス目の中に「ボス」と書いた記憶がある。
6:重要なアイテムの所は、アイテムの英語の頭文字の「I」を書く。私の場合は英語の綴りを間違えて、「A」と書いてしまったが……。

方眼紙を何枚も使って地道にマップを手作りしたおかげで、聖剣伝説の攻略本を無理に買う必要が無くなり、迷宮で迷う事も無くなった。
さらに、鍵やマトック等の消費アイテムの無駄使いを防いでゲーム進行がスムーズに進んだのは言うまでもなかった。
その後私が通っていた道場の後輩に聖剣伝説を貸した時にも、私が作った手作りマップがゲームの攻略に役立ち、彼に感謝された。
しばらくの間、聖剣伝説を遊ぶ度にこのマップを使い続けていたが、その後手作りしたマップがいつの間にか無くなってしまい、今では何処に置いているか分からなくなった。

聖剣伝説の音楽

聖剣伝説のゲーム音楽は出来が良く、ゲームの世界観によくマッチしている。どれも胸に響く曲が揃っていて、前半フィールド曲の「果てしなき戦場」、戦闘2の「勇気と誇りを胸に」、後半フィールド曲の「聖剣を求めて」は一度聴いたら忘れられないゲーム音楽であり、今でも私の大好きな曲だ。
ゲームボーイ版のレトロなオリジナル曲と、今風にアレンジされた曲を聴き比べてプレイと同時にゲーム音楽を楽しむのも一興である。

武器の攻撃が効かない敵についての考察

聖剣伝説の敵の中には武器の攻撃が全く効かない厄介な敵もいて、一つの武器を装備したままでゲームを半ばゴリ押して進む事は出来ない。
効果的な武器を自分で考えながら選んで装備し直して、再度敵を攻撃して倒しながら覚えていく。少し手間に思えるかもしれないが、私にとっては武器を頻繁に交換する事に煩わしさを全く感じる事は無く、むしろそれもゲームの演出の一部だと思う。
敵に合わせて適切な武器を選んで敵を倒しゲームを進めていくところを、私はデメリットと考えた事はなくむしろそれを楽しむ事が出来た。

レベルアップですぜ。あんたも成長したもんだ。

聖剣伝説のレベルアップも少々独特で、成長タイプをファイナルファンタジーの職業になぞらえて選べる成長はユニークだ。レベルアップ時に自分好みにキャラクターを育てる独創的なシステムは他に例は少なかった。
「レベルアップですぜ。あんたも成長したもんだ。」
軽快に流れるレベルアップの効果音と共に、ある意味フランクで、こちらに語りかけてくるノリの良いセリフは、当時多くのプレイヤーに強い印象を与えた事だろう。

その後、ゲームボーイ版聖剣伝説~ファイナルファンタジー外伝~(旧約)はハードを変えてリメイク化されていく。

2003年にゲームボーイアドバンスで、聖剣伝説の内容を大きく変更したリメイク版の新約聖剣伝説として発売。
2006年に携帯アプリとして、オリジナルほぼそのままの内容でカラーリメイク版が発表。
2016年には、プレイステーションVitaと各種スマートフォンで3Dリメイク版が配信・販売された。  
2017年にニンテンドースイッチで聖剣伝説コレクションとして発売され、本作品はゲームボーイ版の聖剣伝説だけではなく、スーパーファミコン版の聖剣伝説2と聖剣伝説3もセットで移植されており、聖剣伝説(旧約)の人気の高さを知る事が出来る。

ゲームボーイ版聖剣伝説~ファイナルファンタジー外伝~(旧約)は、ゲームボーイの少ない容量で上手く表現されており、音楽、演出、メッセージ性の高いストーリーが魅力的だ。
ゲーム中に出てくるメインキャラクターやサブキャラクター達の一人一人に個性があり、世界観にとてもマッチしている。
ゲーム中に起こる様々なイベントは心を揺さぶり、儚く切ないエンディング曲は多くのプレイヤーに深い余韻を残した。
アクションRPGでありながら迷宮の一部ではパズルゲーム要素も含まれており、一部の武器は道具の様に使ってフィールドにある障害物を乗り越えていくアクションゲームとしての評価も高い。発売から30年以上経った今でも多くのゲームファンから根強い支持を受けゲームボーイのアクションRPG作品の中でも色褪せない屈指の名作と呼ばれる。


  • 執筆 現地改修

  • ©DIGITAL butter/EUREKA project


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