見出し画像

【レトロゲーム回顧録】タイムクライシス(アーケード版)



タイムクライシスの出会いはゲーメストの小さなイラスト紹介

 私がタイムクライシスに出会ったのは、1995年の秋ぐらい。
 当時ゲーメストに載っていたイラスト付きの小さな記事が楽しそうだったので興味を持った。

 

タイムクライシスの入荷、ストーリーと演出に感動

 翌年1996年、夏ぐらいに市内のメーカー直営店のゲームセンターにタイムクライシス「初代」が入荷した。
 大型の筐体は迫力があり、お金を入れる前のオープニングデモはアクション映画の予告編みたいでカッコ良く、背景やキャラクター達のグラフィックも良く出来ていて、各キャラクター達の紹介も上手く紹介されておりストーリーのデモ画面を何回も見ても飽きることがなかった。
 ゲームの主なスト-リーは20年前の革命において国王の父親を殺され、それに対して復讐心を持つ傲慢なナルシストで王家の末裔の王子であるシェラード・ガロと、ワイルドドッグ率いる国際犯罪組織「ワイルドドッグ」が手を組んで、誘拐されたセルシア共和国の大統領の娘で本作のヒロインであるレイチェル・マクファーソンを救出するシンプルで分かりやすい話だった。
 丁寧なキャラクター作りとストーリーの作り方は、流石キャラゲーのナムコと感心した。
 主人公のリチャード・ミラーは冷静で寡黙な性格で服装は、黒いジャンバーを着て背中には天使が描かれており、赤いシャツに青い長ズボン、簡素なつくりの靴というシンプルでヒロイックな姿は、多くのプレイヤー達に印象を与えた事だろう。
 遊び方もプレイデモ画面で簡潔に説明してくれて、遊ぶ側にはとても分かりやすいゲームのルールは簡単に頭に覚える事ができ、銃の操作感覚が今までのガンシューシューティングゲームが全く違っており、特にペダルを踏んでいる時は遮蔽物から出て射撃をして、ペダルを離すと遮蔽物に隠れて敵の攻撃を回避と銃弾の再装填のシステムは今までにない新鮮な驚きだった。
 1回のプレイ料金は100円だったが、この頃の私はすでに就職して給料をもらっており、お金の事であまり困る事はなかった。
 ゲームを遊んだ感想は当時のガンシューティングゲームの中でもユニークなシステムで特に際立っており遮蔽物に隠れて敵の攻撃を防ぎつつ、リロードをする事と制限時間のシステムは当時のガンシューティングの中では唯一無二の存在だった。

 

ガンコントローラーの出来の良さに驚く

 タイムクライシスのガンコントローラーの作りも良く出来ていて、特にガンコンのリコイル(反動)する機能はよく、黒いガンコンの完成度は高くずっしりとした重量感があり、銃を撃つ度に反動する機能は意外とリアリティーがあり、誰もが驚いただろう。

 

タイムクライシスに楽しくハマる

  タイムクライシスのプレイを重ねていくうちにゲームのおもしろさや演出とストーリーに、いつの間にハマってしまった。
 しかし、ゲームのことが大好きで頑張って何度挑戦しても1コインで進めるのは、いつもステ―ジ2の途中ぐらいでいつも敵の攻撃を受けて自分のライフを全部失うか、残り時間を全部失ってゲームオーバーになるかどちらか2択だった。
 ゲームを終えて私は市内のゲームセンターから外に出て家に帰りながらぼんやりと大好きになったゲームの事を考えていた。
 1コインクリアは絶対に無理ならば、ゴリ押しでコンティニューをしてこ の先のデモシーンやエンディングを見てみたいと強く考えるようになった。
 そして私がとった行動は……。

 

タイムクライシスをコンティニューしまくって全面クリアしてしまえ!

 次の日の日曜日。
 私はいつもの様に一人で、自転車に乗ってタイムクライシスが置いてある市内のゲームセンターに遊びに行った。
 途中で自転車をゲームセンター近くの駐輪場において、ゲームセンターまで歩いた。この日の目的はたった一つ、タイムクライシスを連続でコンティニューして全面クリアを目指すことだった。
 ゲームセンターに着いてすぐ両替機で1000円札を100円に両替をしてタイムクライシスをプレイ。ゲーム中ライフを全て失おうが残り時間が全てなくなっても、何度もコンティニューを繰り返してステージ2のデモ画面をスキップせずにちゃんと見て、ステージ3もデモ画面とエンディングもキッチリ見る事が出来た。
 ゲームを無事に全クリアした日は今でも忘れられない充実した楽しい1日になった。
 その後、ゲームを遊ぶ時にはいつも1000円札を100円に両替して、長ズボンのポケットの中はコンティニュー用の100円玉を大量に準備して、ゲームをクリアする為に遊んだ。
 当然、ゲーム中のデモ画面をスキップするような野暮なことはしないが……。

 

タイムクライシスのゲームミュージックCDを購入

 ある日の日曜日、市内の音楽CDショップにたまたま立ち寄った時。
 ゲーム音楽が置いている棚にタイムクライシスのCDが置いてあった。その時は幸運にもCDを買うお金があったので迷うこと無くCDを購入。
 家に帰って自室でセガサターンを使って音楽CDを愛用のヘッドフォンで聴いた。音楽の内容はゲーム音楽とドラマパートの2つに分かれていて、音楽はゲームセンターの中では騒音で中々良く聞こえづらい音楽が、家でゆっくりと聞く事ができて、ドラマパートの方は硬派な作りで楽しかった。
 CDは一枚で2度楽しめる内容になっている。

 

死亡フラグ無視の漢!ワイルドドッグ参上!

 初代タイムクライシスに登場する国際犯罪組織「ワイルドドッグ」のボスであるワイルドドッグの本名、国籍は一切不明、服装はカッターシャツとネクタイ、ズボンにサスペンダーを身に着けて上からは茶色系統のトレンチコートを羽織って、オールバックの髪型で丸いサングラスを身に着けており一目で悪役と分かるシンプルな姿が特徴的なキャラクターで、モーゼル社のC96を愛用し二丁拳銃で攻撃、射撃戦だけではなく格闘攻撃も繰り出す。
 タイムクライシスシリーズでは有名な凶悪犯罪者。
 ステージ3のラスボスで最後の激戦の末に、主人公に撃たれた後に後ろに吹き飛ばされたはずみで、左手に持っていた爆破起動スイッチを地面に落としてしまいその時スイッチが誤って押されてしまい派手な爆発に巻き込まれて爆発の中に消えていった……。この時に自ら率いる組織も壊滅してしまう。
 2以降のシリーズでは傭兵として必ず出演するワイルドドッグは名(迷)脇役となり、彼の派手な登場シーンとシリーズの毎に毎回多彩な攻撃を繰り出し、負けると必ず派手な爆発に巻き込んでインパクトのある派手な散り際による自爆はお約束になり、同シリーズの名(迷)物になった。
 続編が出る度に何故か復活してきてパワーアップしてプレイヤー達に何度もしつこく立ちはだかり、彼を雇った組織は計画が失敗してしまい同時に彼の雇い主が死亡して組織そのものが壊滅するジンクスを持つキャラになった。
 死亡フラグ無視の彼の姿は、多くのプレイヤー達に良くも悪くも強い印象を与え現在でも人気のある珍しい悪役キャラクターである。

 

 タイムクライシスはガンシューティングゲームジャンルのなかでも続編が作られて息の長い人気シリーズとなり、硬派でハードなアクション映画さながらの高い演出とシリーズごとに毎回登場するキャラクター達が変わり、時事問題をストーリーに織り込んだことで、ゲームのマンネリ化を上手く防いだ。
 物陰に隠れながら撃つアクションと制限時間という新しいアイディアは、プレイヤーは常に緊張感をもってゲームをプレイする事になり、残り時間が段々と減っていくシステムは、初代タイムクライシスだけで、続編である2作目以降の作品はエリアごとに決められた制限時間制に変わった。
 この変更点は、後のナムコのガンシューティングゲーム作品に継承されてプレイヤー達は程よい緊張感を保ちながらゲームをより楽しめるようになった。
 ゲームの難易度は高く、1コインクリアを無理にこだわる事がなければ、連続してコンティニューを続けて無理なゴリ押しでゲームのエンディングを迎える事が出来る。

 タイムクライシスは1997年に初代プレステに移植され発売。
 こちらはアーケード版の移植とオリジナルシナリオもあり1つの作品で2種類のストーリーを楽しめる作品になっている。

 タイムクライシスは分かりやすいスト-リーとステ―ジの合間のデモシーンやグラフィック、硬派なアクション映画の様な演出、音楽、キャラクター達の設定の出来は良く、アーケード版の発表から約30年近く経ったが、ゲームの完成度は高くガンシューティングゲームのジャンルを語るうえで代表的な名作となっている。



  • 執筆 現地改修

  • ©DIGITAL butter/EUREKA project

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?