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【ROUROU Cafe】(横浜中華街)

横浜喫茶あなたこなた

【ROUROU Cafe】(横浜中華街)

 中華街に、【悟空茶荘】という中国茶専門店がある。

 いきなり他の店の話かよ、と思うかもしれないがこの茶店に通いなれた私でも真横の路地にカフェが存在すると思っていなかったのだ。
あれは、15日の通所帰り……
仄暗い店に並べられたとりどりの花のような茶葉や陶器の民芸品を見終えて、ジャスミン茶の茶葉をお会計して外へ出る。

 何処にでもあるうらぶれた路地ですらもこの地にあると風情がある。
きっと道には中国語のネオン看板がきらめき、街路樹代わりに木蓮や柳がたなびいているからだろう。

 この茶荘の隣にはジーンズのお店がある…が、間に路地がある。

 ジーンズ店側…私から見て左の外壁には異国の芸術家のストリート・パフォーマンスさながら青や赤の蓮が描かれていた。

(そう言えば、その昔ネット記事で見たよな…中華のアフタヌーンティーのお店って!)

 生憎それを平らげるにはもう16時、もうすぐイブニングだったので断念したが中国茶の美味しいお店と聞いていたので入ってみよう、と扉を恐る恐る開けた。

 上海デコ、と言うらしい。

 煌びやかなシャンデリアや色鮮やかなランプシェード、ターコイズブルーの壁紙の絢爛さとメニュー黒板や茶葉が入ったガラスジャーのカウンターは対照的でありながら互いにぶつかり合う事なく調和していた。

 椅子に座る。

 ソファに置かれたクッションもパターンが何色かあり、中華風のキルトで可愛らしかった。

 注文して待っている間にペットを連れた婦人二人組が入店した。
私ともう一人、先客だった女性は
「アレルギー等、大丈夫でしょうか」
と尋ねられ、「はい」と小声で返事するとペットキャリーカートの中のポメラニアンに微笑みかけられた。

 恐らく周辺のうちのワンちゃんなのだろう。

(毎日、みなとみらいや山下公園を散歩しているの?)
と、私も目配せした。

 私も動物好きだからだろうか…。
目の前のポメラニアンのように幸福な身の上の犬猫が沢山増えますようにと取り留めなく思った。

 尤も。

「お待たせしましたー」
という、店員さんの声で我に帰ったが。

 私は小難しい事やマジメな問題を何時間も考えこむのは苦手な人間である……。


 運ばれてきたのは、薔薇の花がお茶の中に散った烏龍茶と2種類のスイーツプレート。

 チャイのプリンに手を伸ばし、口に含むと甘さよりも先に香辛料と紅茶の風味がガツンと嗅覚に来た。

(あと10歳若かったら残している!)

 このプリンの良さが分かる程には大人になってしまったのか。
だが、食べ進める内に癖になってしまった。

(今度来たら、またこのプリンを注文しよう……)
と匙を置く。

 もう一品の紅茶のチーズケーキ。

 口に入れた瞬間アールグレイ特有のベルガモットのにおいが広がる。
アールグレイ好きな私はこの時既に
(絶対、また来よう!!!)
と密かに誓った。
いずれ人にこの場所を紹介できたらと思う。

 好きな花である薔薇。
それが仄かに香る烏龍茶もおいしかった。

 中華街で飲む烏龍茶、屋台のものでも美味しく感じるが私達が普段飲む烏龍茶ではないのだろうか……?

 不思議と居心地がいい。

 普段は食べ終わったら即お会計する人間だがこの時、35分近く滞在していた。

(逆に、ホントに仲のいい人しか教えたくないなぁ…)

 行列が出来ている豚まんや台湾からあげの屋台に目をやり、駅へと向かった。



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