小説「龍翔伝」3話
直人の上に乗っている『閃雷のマリア』はニヤッと笑い、片手で酒を一気に飲み干して勢い良く立ち上がり直人を蹴り上げる!!
「はい~~注目!! 今から呼ばれた奴は返事をしろ」
『閃雷のマリア』は先ほどの酔っ払いとは違い別人のような発言で騒がしかった俺達を静かにさせた。
先ほど蹴り上げられた直人は腰を痛めて右手で撫でているが『閃雷のマリア』はなにも気にせずに俺達の名前を呼んだ。
「まずは桜鬼龍翔!!」
俺は直人を心配していたが流れに任せ静かに返事をした。
「はい」
『閃雷のマリア』はさらに次の名前を呼んだ。
「ラン・フランスケア!!」
黄色い髪をした女性の本名は『ラン・フランスケア』と言うみたいでランは元気よく返事をした。
「はい!!」
『閃雷のマリア』は何故かニコニコと笑ってランの頭をよしよしと撫でている。
「あなたは偉いね~~ちゃんと元気よく返事が出来ましたね!!」
『閃雷のマリア』は機嫌良く次々と名前と呼んだ。
「赤髪聖地!!」
次は聖地なのか? だが、聖地は返事をするより何故か嬉しそうに笑って『閃雷のマリア』の口説きに始めた。
「お姉さん!! 今から俺と一緒に遊んで食事にいかない?」
しまった、聖地は無類の女好きだったわ!! 聖地に口説かれて遊んだ女性はいないが『閃雷のマリア』は口説かれていたことを知らずに聖地の頭を右手でポンポンと叩いて無視した。
聖地はちょっと残念そうに笑っている。
「なんて、ツンデレな子猫ちゃんなんだ」
くさいセリフを言ったがお前は振られたぞ……だが、『閃雷のマリア』は気にせずに次の名前を呼んだ。
「シオン・マグナ!!」
『シオン・マグナ』は髪がかかとの先まで伸びており、その姿は冷静沈着なお姫様だ……シオンは物静かに返事をした。
「はい……」
『閃雷のマリア』は一人ずつ読み上げるのがめんどうくさく感じ、いきなり連続で呼び始めた。
「ええい、めんどうくさいから、霧島平治とレオン・ハート!!」
『レオン・ハート』と呼ばれた女性は五人の中では一番元気そうな人で平治と一緒に呼ばれた。レオンは元気良く返事をして平治は冷静に答えた。
「はい~~!!」
「はい……」
そして、『閃雷のマリア』はさらに勢いよく名前を呼んだ!!
「神道直人とアリサ・オーバー!!」
『アリサ・オーバー』は青い長髪しており、どこか古風な雰囲気を漂わせている。アリサが目を閉じて返事をしたのに対し、直人は苦しそうに答えた。
「……はい」
「くそ、はい!!」
『閃雷のマリア』は飽きてきたようで最後の二人を呼んだ。
「最後は白蘭蓮とシルフィ・マックロードだな……やっと終わった」
『シルフィ・マックロード』は女性陣の中で最も小柄で眠たそうに頭をコクコクと下げて返事をしたが蓮はプラモデルの創作途中で適当に返事をした。
「ん……はい」
「はいはい!!」
なんか、名前呼びだけでかなり時間が経った気がするけど、名前呼びの順番に違和感があるな。
『閃雷のマリア』はニヤッと笑い大声でとんでもないことを言い始めた。
「今日から二人一組になってもらう。今呼ばれた順にな!!」
なんですと!! この違和感はこれだった……正直、俺自身は問題ないが、他の奴らが納得しないようが気がする。
だが、聖地は嬉しそうに右腕を上げて思い切り下に落としてガッツポーズをとった!!
「よっしゃー、ハーレムだ!!」
なんだか、聖地のテンションがバカ高いなあ……
しかし、なんでドラグーン人と二人一組なんだ? 疑問に思った俺は『閃雷のマリア』に聞こうと思ったが名前呼びで疲れたのか、さっさと何処かに行った。
「無責任な教官だな……で、なんでドラグーン人と組まないといけないんだ?」
と思っていたら、ラン・フランスケアが申し訳なさそうな顔で話かけてきた。
「すまない、うちの子達が余計なこと君に言ったね……すまない」
ラン・フランスケアは俺に頭を下げた、俺はドラグーン人の中ではこんないい奴もいるんだなと思い優しく話した。
「いいよ、日本人とドラグーン人の関係性はそこまで仲良くないけど、君はいい子だな」
俺はそんな、ランと仲良く出来そうな関係になれそうだなと思ったが周りの奴らは少しうるさい。
聖地は無邪気に喜び、蓮はシルフィ・マックロードと仲良くしているが、直人と平ちゃんは少し不満そうだ。抗議の声を上げたのは、シオン・マグナだけである。
「なんで高貴なドラグーン人が異人達と手を組まないといけないのですか!?」
正直、馬鹿にするのは俺だけでいいが仲間のことを馬鹿にされるのは腹が立つ!!
しかし、ランはシオンに対して注意をした。
「シオン!! 異人と呼ばずに仲良くしましょうね」
シオンは注意されたことで少し元気を無くした。
「はい、申し訳ありません」
「僕じゃあないよ、龍王族の方達だよ」
シオンは俺たちに頭を下げて来た一人一人丁寧に。
「申し訳ありませんでした……異人呼ばわりして」
ランはそんな、シオンの頭を撫でた。
「君はいい子だよ。優しい子だ!!」
どうやら悪い子ではなかったな、それより『閃雷のマリア』は何処に行ったのだ?
その時、放送が流れた、この声は『閃雷のマリア』だ。
「ええ、君たち一年特組は東の校舎に来なさいよ~~」
なんか、酔っぱらって聞こえたぞ……俺たちはドラグーン人たちと一緒に東の校舎に向かうと、閉まっていた扉が俺たちを出迎えるように開いた。中に入ると、豪華な部屋が沢山あった。
俺は蓮と目が合ってテンションが高くなった。
「蓮、めちゃくちゃ豪華だぞ!!」
「はい、凄く豪華ですね!!」
俺と蓮ははしゃいだが直人と平ちゃんはため息を吐いた。
「どう思う? 直人」
「まあ、たいしたことないな」
二人にとっては普通みたいだ、ブルジュワが!!
ランはシオンと仲良く話をしていた。
「シオン、綺麗な部屋が沢山あるよ!!」
「そうですね、ラン様」
この光景はまるでメイドと主だな……しかし、ここでレオン・ハートが倒れた。
レオンは両手でお腹を抑えていて小声でなにか言う。
「お腹が……」
それを見た平ちゃんは心配をした。
「大丈夫か? お腹が痛いのか」
シルフィ・マックロードは眠たそうに発言をした。
「違う……ただレオンはお腹が減っているだけ」
アリサ・オーバーはレオンを片手で持ち上げた。
「だらしないですよ。レオン」
「お腹が減った……」
とりあえず、俺たちは奥に進んだら『閃雷のマリア』がまた、酒を片手に飲んでいた。
だが、『閃雷のマリア』は少し残念そうな気分で言う。
「実は君たちに頼みたいことがある」
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