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カモはちやほやされる

 トルストイは「幸福な家庭はどれも似たようなものだが、不幸な家庭はそれぞれに異なっている」と書いた。しかし投資に関しては、「幸福な投資家はそれぞれに異なっているが、バカな投資家はどれも似たようなものだ」。

 ワンルームマンション投資で騙される手口は判で押したように同じだ。最近投稿された次の動画は解約できないサブリース契約付きという近頃見た中で一番悲惨な事例だったので、一見の価値がある。

 この滝島さんのチャンネルや、不動産関連のチャンネルに出てくる「不動産投資で騙された」という人たちが、なぜ不動産を買うことにしたのかという理由は一様に次のようなものだ。

知り合いからの紹介
・年金代わり
・資本家/投資家/大家になる
・円安対策
・インフレ対策

 もはやこういう単語が出てきたら疑ってかかるくらいのスタンスでいなければダメだろう。
 「知り合いからの紹介」というのもミソで、これで気弱で意志薄弱な人はすぐに絡め取られて騙されてしまう。知り合い経由であれ、なぜ儲け話が自分のところに来ると思うのか謎なのだが、義務教育によって健全な批判精神を剥奪されるとそういうふうになってしまうのだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=iXXJlSsjsCM

 まず大家とか投資家というと「自分の自由になる範囲が多く、カネも儲かる」人たちというイメージがあるのかもしれないが、実際はほぼ自由度がない。結局国家や銀行、市場が設定している枠組みの中でしか行動できない。

 たとえば不動産オーナーを縛る法律に借地借家法がある。これは日本で戦前、戦費乱発に伴うインフレで家賃が上昇し、住むところを追われる国民が増えると困るというので、賃借人を保護するためにできた法律が元になっている。戦争を遂行するために、国民にはとりあえず住むところは与えておかなければならない。そういう国策によって作られた法律が未だに残っているので、賃借人は非常に保護されている一方でオーナーには悩みの種だ。まずこういう事実をよくよく知らなければならない。日本で経済活動を行うのであれば、まず野口悠紀雄の『1940年体制』を読んでよくよく理解してからにするのが最低ラインだろう。

 上記の動画の事例でのサブリース契約が解約できないのも、サブリース業者がこの賃借権をタテにしているからだし、日本企業の資金調達が直接金融でなく間接金融をメインとしているのも1940年体制の産物だ。

 あとはナニワ金融道を読むべきだ。私はもう絶版になった文庫版を持っているが、ネットのマンガサイトで無料で読めるところがいくらでもある。



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