20240225_ソドワ尽くし

今日は昼からSW2.5キャンペーン「冒険都市と地下迷宮」の幕間を書いて、夜は別のゆるSW2.5キャンペーンをやっていた。ずっとソドワをやっているソドワ尽くしの一日だった。

幕間01「かつての夢」

夢を見た。
かつて見た戦場。隣には蛮族の同胞。あたしを責める罵声。人族との戦闘で、部隊は壊滅状態だった。森の中を駆け抜け、生き残ったのはあたしともう一人のコボルトだけだった。
「”イセン”(死に損ない)!お前のせいで俺たちの部隊はめちゃくちゃだ!戻ったら頭にきっちり報告してやるからな!!」
吼える同胞の背中は無防備で、柔らかそうに見えた。考えるよりも早く、その脚は先行する同胞の背中に突き刺さった。鈍い音と短い悲鳴は森に吸い込まれ、コボルトは地面に倒れた。同胞に手をかけたことに対して、不思議なほどに罪悪感は無かった。屈辱に塗れたこれまでを思い返し、こうなるのは当然だと思えた。脚の下にひゅうひゅうというか細い呼吸音を感じる。しんと静まり返った森に、声が響く。
『戦いを求めてはならない。だが、戦いと決まれば最後まで貫徹せよ。』
その脚は、コボルトの肺と心臓を踏み砕いた。

サンライトヒルでタジオと出会い、マードレッド、リサイア、ドロシー、エルシャール、そしてフレイヤと共にグランゼールへとやってきた。蛮族と人族の隔たりは大きいが、自由を愛する冒険者たちにとってその隔たりは乗り越えられないものではないらしい。
穏やかな昼下がり、目の前の僧侶は幸せかと問う。
「皆いいヤツだし!あたし、今けっこう幸せだよ?」
「…そいつは良かったな」
同じ屋根の下で、同じ糧を分かち合い、二人は笑う。その平穏を優しく包み込むように、大いなる声がこだまする。
『勝利のみを目指してはならない。勝利の先にあるものをこそ目指せ。』

グランゼールの欠片喰らいの迷宮から、地下へと落ちた。地下で遭遇した蛮族は何故人族に味方をするのかと吼えたが、その問いへの答えは鍛え上げられた蹴りで十分だった。空が閉ざされ太陽の光の届かない地下においても、信じられるものは隣の仲間たちだけだ。
激しい戦いの後、タジオは倒れたドロシーを起こす。信仰は隣の仲間を救う力であり、明日を信じるための希望でもある。
(タジオはああやって、あたしのことも救ってくれた。だから、あたしは…、あたしはこの人たちのために戦わなくちゃいけない。)
そのことを強く願ったとき、魔動機械装甲に身を包み、その背に大きな機甲の翼をもった存在が現れた。目の前に現れた戦乙女が神であることは、すぐさま理解できた。
『戦場を牢獄にせよ。この牢獄より、いかなる害悪も出してはならない。君が愛する人を罪人にしないために。』

何のために戦うのか忘れてはならない、目が覚めるときにそう聴こえた気がした。サチが手を開くと、そこには機甲神アールマータの聖印が握られていた。


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