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米国と日本の税制比較、これだけ違う!

米国に住んで真っ先に直面する問題が税金です。ビジネススクール時代のプロフェッサーに「将来一番気にすることが税金だからきちんと勉強しておけよ!」と言われて、当時はピンとこなかったのが、今になって痛いほど分かりますw なので、簡単に個人にかかる税金について話しておきたいと思います。

税理士ではないので、細かい数字をみるよりは、生活する上でざっくりとこんな感じ、仕組みを理解してもらえるとありがたいです。ちなみに、2021年1月18日現在の情報なので、バイデン大統領になり変わる可能性があり、そこもお気つけください。また、会社勤めを前提としています。

日本の場合、所得税、住民税、キャピタルゲイン税、社会保険料、消費税、固定資産あたりが意識する税金かと思います。全国一律のため文句を言っても変わらないが、米国は州ごとに税率が違うので、住む州を変えることで手取りも変わってきます。

日本からシリコンバレーに進出して、「ウェーイ!」なんて話を聞くが、そもそも、カリフォルニアは全米でも圧倒的に税金の高い州です。CA離れが騒がれているのも生活費ばかりが目に行きがちですが、これ以外に原因は税金にもあります。State Income Taxでもう少しここは話します。

米国で個人にかかる税金で意識するのが、Federal Income Tax(連邦の所得税)、State Income Tax(州の所得税)、Capital Gain Tax(キャピタルゲイン税、連邦、州とあり)、Social Security Tax(社会保険料)、Sales Tax(売上税)、Property Tax(固定資産税)あたり。Medicare Taxは割愛。

Federal Income Tax、Social Security Taxは州に関係なく一律にかかるのでここは日本と一緒。Federal Income Taxは累進課税で最高税率が37%、Social Security Taxは12.4%、折半し、会社が6.2%、個人が6.2%払います。

日本の所得税の最高税率が45%なので、結構な違いがあります。一方で日本は様々な控除があるので、年収により一概には日本の方が高いとは言えないが、一般的に高額所得者にとっては米国の方が税金的に有利、低所得者は日本有利と言うイメージ。分岐点はまたもう少し分析しておきたいところ。

日本の厚生年金保険料は、同じく折半、日本の社員負担分が9.15%なので、少し高い様に感じるかもしれませんが、最高月収が63.5万円つまり、年収で762万円。米国の場合は、最高年収が$142,800、約1,480万円まで適用され倍近く違います。日本の場合は、厚生年金以外にも雇用保険料や健康保険料があります。米国は基本、健康保険はプライベートな健康保険に加入することが前提になりますので、ここでの比較は割愛。また別に話します。

一番気になるのが、State Income Tax(日本で言う住民税)。カリフォルニアを例にとると、最高税率が13.3%になります。累進課税で、$599,013以上の年収に適応されるので、全員が対象ではないが、全米でも最高税率になります。次に高いのが、ハワイの11.0%になります。一方で、State Income Taxゼロの州がアラスカ、フロリダ、ネバダ、サウスダコタ、 テキサス、ワシントン、ワイオミング。テック系の人材でマイアミ、ラスベガス、オースチン、シアトルに移住、企業本社を変更している理由が分かると思います。ちなみに、カリフォルニアはさらに16.8%まで最高税率を引き上げようと言う話もあり、高額所得者が州を離れている理由がここにあります。日本の場合、住民税が一律10%なので、住む州によってはいかに手取りが変わってくるか分かると思います。

次に、Capital Gain Tax。これはアセットの保有期間によります。一年以下がShort-termで所得税と同じ扱い。それより長いとLong-termとなり、年収に応じて、最高税率が20%になります。州によりCapital Gain Taxが課税されることもあり、カリフォルニアはIncome taxと同様に最高税率13.3%となります。Capital Gain Taxが課税されない州は九つあり、テック系に人気のフロリダ、ネバダ、テキサス、ワシントンも含まれます。日本の場合は、所得税と住民税の合算で一律20.315%(復興特別所得税含む)。

次が、Sales Tax。日本では消費税が10%引かれます。Salesと消費税だと若干仕組みが違うが個人にとってはあまり違いがないのでほぼ同じものと見てもらって良いと思います。また、Sales Taxは連邦ではなく、州、郡、市によって違います。なので、一概には比較が難しいが私が住むシアトルを例に取ると、ワシントン州とシアトル市で合計10.1%。なので日本とほとんど同じです。サンフランシスコだと8.5%、パロアルトで9.0%と若干低い安い感じです。一方で、オレゴン州に行くとSales Taxゼロで買い物天国になります。シアトルからポートランドまで買い物に行くと言う人もいるぐらいです。

最後がProperty Tax。米国はこれまた州や郡により違い複雑です。私が住むシアトルは時価に対して0.93%です。時価は感覚とかなり近く、良くも悪くも正しく反映していると感じます。サンフランシスコで1.2%ぐらいなので近いレートです。テキサスはこれらより高いと聞きます。日本は固定資産評価額に対して一律1.4%。住んでいた当時のイメージとしては固定資産評価額は時価と比べるとかなり安いイメージがあったので、パーセンテージでは一概に比較できない様に思います。

税金の種類以外にも最後にもう一つ理解しておきたいのが、米国の確定申告にはFiling Statusと言う考え方があり、全部で5種類あります。ここでは細かくは説明しませんが、簡単に言うと既婚者として確定申告することで収入を合算し、実効税率を低く抑えることが出来る可能性があります。

合算することで、年収に応じた税率が変わります。例えば、累進課税の最低税率10%は独身者(Single filers)$0 〜$9,785に対して適用されるが、既婚者(Married, filing jointly)$0 - $19,750。つまり独身者は年収が$9,786以上になると次の12%の税率になるのに対して、既婚者は$19,751以上でないと12%に行きません。細かくはこちらのサイトを見ていただくとFiling Status別の累進課税がわかります。



ちなみに、最高税率である37%は、独身者(Single filers)は$518,401以上に対して、既婚者(Married, filing jointly)は$622,051以上と年収にして$100K(約1千万円)以上の違いがあります。Income Tax Bracketの詳細はこちらまで。つまり、配偶者の片方がフルタイム、もう片方が無収入(例えば専業主婦・主夫)の場合、年収を合算して確定申告することで、独身者と比べて実効税率を下げることができます。もちろん片方がパートタイムで年収が少ない場合でもメリットが出てくる可能性があります。

仮に$100K(約1千円)の年収とした場合、独身者(Single filers)の実効税率が18.08%に対して、既婚者(Married, filing jointly)は13.58%になります。つまり、税率にして4.5%違います、手取りにして、$4,500(約45万円)違ってきます。これって結構メリットありますよね。

日本の場合、配偶者控除と言う考え方になり、最大38万円控除されます(収入に対する控除、税金そのものが38万円減るわけではない)。一方で年収の上限があり、1,220万円を超えると控除額がゼロになります。明らかに共働きを推奨していますよね。ある程度の年収になると米国と違いが出てきますよねー。

以上です!参考になれば幸いです!と言うわけで、税金から見ての日本との比較になります。