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もの食うアニメーション 牡蠣

はじめましてユージンです

最近ハマってることは、家で自分で魚を捌いて新鮮な刺身を食べることです。肝醤油で食べるカワハギの刺身は最高です(秋)。

軽く自己紹介させていただきます。
現在、制作会社のROBOT(ROBOT COMMUNICATIONS INC)に所属していて企画からアニメーション制作までジャンル問わず色々やっています。
ROBOT に入るまでは九州大学の芸術工学部というところでプログラミングから彫刻まで幅広く勉強してきました。(とはいえプログラミングの方は全く物になりませんでしたが、、)
その中でも僕は結構アニメーションを作ることにのめり込んでしまって、今でも仕事の休みの日は家に引きこもって色々作ったり描いたりしてます。
どうぞよろしくお願いします。

『もの食うアニメーション 牡蠣』について

このアニメーションを作りたいと思った動機は主に二つありまして。
一つは美味いものを食べた時、他者とその感情を共有しようとして「うますぎる!」「ほっぺたが落ちそう」など様々な言葉を使って表そうとするんですが、いつも言葉だけでは感じたものの小さじ一杯も表現できていないなぁと虚しさを感じることが多々ありまして。
それがアニメーションだったらより伝わりやすくなるんじゃないかと思ったからです。牡蠣で言えば、食べた瞬間のちゅるんっていう舌触りとか、食べた瞬間の弾けるような瑞々しさとか。

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二つ目は、普段日常生活の中で見過ごしてしまうような
何気無い数秒の「動き」や「情景」を丁寧にアニメーションとして描きだすことで、見慣れた動きの一つ一つに美しさや面白さを見いだせるのではないかと思ったからです。

例えば、現実の世界で雨の中女の子が水たまりでぱしゃぱしゃ遊んでいても素通りすると思うんですけど、それをアニメーションで書き起こすと何か美しさとか面白さが出てくるんじゃないかと思うんです。
それと同じようにものを食うという動き一つとっても、よく観察すればそれはそれで面白いんじゃないかと。

極論言うと、そうした短いアニメーションもコンテンツにならないだろうか、と思ったんですね。

ただ、一般的にアニメーションの動きというのはある物語の中でなんらかの意味のある動作の一部で、そこから切り離されて独立した動きそのものを楽しむアニメーションというのはなかなか発信する場所や見てくれる人を見つけるのが難しいなとずっと感じていました。
しかしここ最近、youtubeの作業用ミュージックなどで同じ動きを繰り返すアニメーションがバックで使用されたり、容量制限のあるSNS投稿において短い動画が多くの人に共感されて拡散される流れを見て、ここにニーズがあるんじゃないかと思ったのも理由の一つです。

ディティールについて

これまでものを食うという動作を真剣に書いたことがなかったので、とても苦労しました。改めて、ものを食うという動きを描写するのは本当に難しいなあと思いました。というのも小さな口の微妙な動き一つで印象が変わるからです。ダイナミックな体の動きとは違ってとても地味な作業でした。

色について、最初に牡蠣を食べる時に感じる磯の香りをピンクに近い乳白色の海や波で表現しようと決めていました。海のミルクとも呼ばれる牡蠣の中で熟成された磯の香りですからね。普通の色じゃないと思ったんです。
一つこれじゃなきゃいけないという色を決めた後はその色が映える、あるいはその色と合わせても変にならない色を自分の腑に落ちるまでいじりながら探していくという作業でした。

また画面下から出てくる緑色のうねうねした波は、意図的にちょっと不気味な雰囲気を出しています。なぜかというと、牡蠣を食べる前の「食べて良いのかな」とか「あたるかもかもしれない」という不穏さや不吉さとして受け止めてほしかったからです。
全体的にはポップな感じになっていますが、そういうところでちょっとした毒というか怪しさを出したいと思いました。


なぜループなのか

GIFでループさせることで、牡蠣が生まれて女の子が食べて弾けていくのが永遠に続いていく、輪廻転生のような深みを与えられたらと思いました。
またSNSで見た時に、途中から始まってもスムーズに見られるというのも意図して作りました。
あと自分の嗜好ですが、昔から隅から隅まで何かが蠢いているような画面に強く惹かれるんです。小さい頃は、海の潮溜まり(タイドプール)なんかがすごく好きでした。よく観察するとそこら中で何かが動いていて、
得体の知れない生き物の息遣いみたいなものを感じてゾクゾクして心地いいんです。

なぜ牡蠣なのか

牡蠣が好きだからです!!特に生牡蠣。


これから

もの食うアニメーションは個人的にもこれから作っていきたいなと思っていて、例えばあんこう鍋とかやってみたいなと笑

それとは別にコンセプトアートのようなストーリーとしてまだ熟していない段階のキャラクターや情景などをフラッシュのような形で短いアニメーションとしてたくさん作ってみるというのも個人的には面白いかなと思ってます。それこそ夢で見たワンシーンなどを100個作ったらそれをつなげて物語が生まれるかもしれません。

手を動かして何かを作るというのは中心にあるとは思いますが、特にアニメーションだけをやりたいというわけではなくいろんなことに挑戦してみようと思ってます。自分が影響を受けた素晴らしい作品、コンテンツをただ享受して終わるのではなく、自分の中のフィルターを通してアウトプットしていくことで次の世代へバトンを渡していけたらな、と思ってます。

あと、昔と違って現在は個人で作ったものをすぐにSNSを通じて人に見てもらってフィードバックを得ることができます。そういう場がなかったら、一人で作って誰の目にも触れられずに終わっていたかもしれません。僕がそういう時代にいるのは恵まれてると思います。作ることだけに満足しないで届けることも含めて続けていきたいですね。




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