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お向かいさんに出会う。

台風一過で家の周りは葉っぱだらけ。

掃き掃除とついでに草取りをしていたら
お向かいさんが出てきたので
話しかけてみた。


実はちゃんと話すのは初めて。
高校生の頃
この家に引っ越してきてから
30年経って初めてだ。


お向かいさんは小さな庭にいつもいて
庭の中をくるくるしながら
庭いっぱいに畑をしていたり
梅干しを干したりもしていて
何か自分と近いものを感じていた。

若い頃は、特に何も感じなかったけど
両親が倒れてここに帰ってきてから
ずっと気になる存在だった。

今日はやっと
おしゃべりするチャンスが来た。
街なんてそんなものだ。


台風で畑の野菜が落ちなかったか聞いてみたら
やっぱり落ちてしまったと。
でも大丈夫だと言った。

落ちたからといって嘆いてないところも
フムフム、そういうの良いな
と手応えを感じつつ
いろいろお互いのことを話していたら
どんどん話題は膨らんでいった。

知らなかっただけで
同じような気持ちを抱いて生きている
お向かいさんだったことを知れて
ここに今住んでいることが
とてもうれしく思えた。


鎌倉にいるのに
山の家の村にもうひとり
大好きなおばちゃんが増えた
みたいな繋がってる感覚。

今度ゆっくり畑を見せてもらうことになった。

顔を見るとにっこりしたくなるひとが
近くにいてくれるのは
やっぱり幸せなことだな。

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