絵とワードの物語 『彩りを添えて』
よいしょ、と言いながら草取りから立ち上がったのは、もう何十年と連れ添った相手と同時だった。土を弄っていた軍手や作業着はすっかり茶色へと変色していた。それがすっかり似合うほどには、彼も彼女もしわくちゃになってしまったが、二人ともそれを嘆いたりはしない。
「顔に泥、ついてますよ」
彼女がそう言って頬を指さすが、彼はそれには構う風もなく、腰に手を当てて背をぐうと伸ばした。
目の前にぶら下がった紫色の実はつやつやと煌めいている。毎日手塩にかけて育てたそれらが夏を叫ぶこの時期が、