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青春

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懐かしい思い出や青春時代にまつわる物語をまとめています
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#物語

絵とワードの物語 『顔一杯の水族館』 

 海が、ちょっぴり怖かった。  深いところは溺れそうだなとか、怪我したらどうしようとか、…

絵とワードの物語 『とじこめられたのは』 

 ガラスのなかでぷくぷくと泡が弾ける。  瓶底に生まれ、じりじりと膨らみ、ふわりと浮いて…

絵とワードの物語 『いっぱいしゃべるきみがすき』 

 その口は留まることを知らないみたいに、次から次へと言葉を降り積もらせていく。その話が続…

絵とワードの物語 『やっぱり、おんなじ』 

 色の好みも正反対、性格も内気と強気、好きなこともばらばらで、似ているのは顔だけかもって…

絵とワードの物語 『夏の予定は』 

 おばあちゃんちで遊ぶのは、実はそんなに好きじゃない。  いつも見てるテレビ番組は見れな…

絵とワードの物語 『そらいっぱいのもういっかい』 

「なくなっちゃった」  拗ねたようにつぶやく君の手には、きれいにソフトクリームだけが消え…

絵とワードの物語 『彩りを添えて』 

 よいしょ、と言いながら草取りから立ち上がったのは、もう何十年と連れ添った相手と同時だった。土を弄っていた軍手や作業着はすっかり茶色へと変色していた。それがすっかり似合うほどには、彼も彼女もしわくちゃになってしまったが、二人ともそれを嘆いたりはしない。 「顔に泥、ついてますよ」  彼女がそう言って頬を指さすが、彼はそれには構う風もなく、腰に手を当てて背をぐうと伸ばした。  目の前にぶら下がった紫色の実はつやつやと煌めいている。毎日手塩にかけて育てたそれらが夏を叫ぶこの時期が、