Detroit: Become Human 感想など

 3日間でEndingまで突っ走ったので熱い内に感想などを書いておきます。途中までネタバレなし、途中からネタバレありで書きます。ネタバレはここからと書くので、気になる方は上の方だけ読んでもらえればと思います。ただ、書きたいことは基本ネタバレの部分だし、書いてる熱さも大分違いますが…笑

物語として

 めちゃくちゃ良かったです。登場人物の葛藤や行動の是非を問いながら、様々な要素がどんどんと影響を与えていって、良い緊張感とドキドキ感を味わいながら楽しめました。この物語は20年後のデトロイトを舞台にした近未来SFですが、設定が非常に作り込まれていて、その設定に沿えば世界がどのようになっていくか、人間はどうなっていくかというのがよく考察され、それが物語に反映されていて、違和感なく話に入っていけるし、登場人物にも没入できました。プレイ時間は大体12時間程度だったかと思いますが、長編映画やドラマを見ているような感覚にさせてくれました。カーラとアリスのやり取りや、マーカスの演説等は心に響くものがあり、結構うるっとくる場面も多かったです。普通に動画として見る分にもおすすめできる内容でした。

ゲームとして

 これも非常に良かったんですが、チャプター終了時にチャートが表示されるのは個人的にはやめて欲しかったです。物語の没入感を削がれるというか、ああ自分は今ゲームをしてるんだな、という気分に引き戻されてしまうので…(もしかしたらそれも意図しているのかもしれませんけど…)。
 あと、QTEアクションは、自分が望んでいるのとは違う結末にいってしまうことも多くて、ここまでの物語性を以ってプレイヤーに感情や葛藤を与えて選択をするゲームとしての完成度を追求するのであれば、QTEアクションは特に必要なかったのでは?と思わなくはなかったです。まあ、特別難しいというよりは、自分がXBOX系のコントローラの表記が直感的に操作に落とし込めなかっただけなので、PS4などでやればもっと簡単に感じたかもしれません。
 他のアクションというか、操作感なんかは多少鈍かったりするのも割と良くて、這うのにLとRを交互に押したり、掴む系はLTやRTなどのトリガーになっていたりと、そういうのは良かったと思います。まあ、そういう操作ももう少し直感的にできればなお良いと思いますが…旧来のコントローラーでやってる分には致し方ないのかなぁ。

総評

 本当によく出来た作品で、前作のHeavyRainも面白かったんですが、こちらの方がゲームや物語としてのパワーを感じますね。プレイヤーの感情・思考・思想に訴えかける内容に加え、映画的な手法も多く取り入れている映像演出は圧巻でした。映像自体も非常に綺麗で、本当に凄い作品だったと改めて思います。全世界で高評価というのも頷ける内容でした。
 未プレイの人がこういう感想記事を読むのかわかりませんが、もし未プレイの方で興味がある方は、是非ネタバレを見ずにやってもらいたいし、プレイする時間のない人は動画等でもかなり楽しめるのではないかと思います。もちろん、内容的にプレイする前提のお話であることも否めないので、動画だと良さが減ってしまうとは思いますが…(それはどのゲームもそうかな?)


この先ネタバレあり

 以降ネタバレありで書く(語る)ので、プレイ済か、永遠にこのゲームをプレイする予定がない人だけ読むことをおすすめします。ちなみに、私の初見プレイの配信がtwitchで見れるので、もし興味があったらどうぞ。ただ、このゲームが非常に重くて、途中カクついたり画質が荒くなってしまっていることがあるのと、私が結構ぼそぼそ喋るので、動画を見るならもっとちゃんとした人のを見た方が良いかもしれません。笑










さて、何から書いたものか、という感じではありますが…。とりあえず各編ごとに思いついたことを書いていきますかね。

カーラ編

 アリスのネタバレは全く踏んでなかったので、めちゃくちゃビックリしました。あれって初見で気づいてた人いるんですかね?正直予想だにしていなかったので、嘘!?!?!ってなったんですが…笑。トッドもいるし、動作とか風邪引いたりとか、すごく人間ぽいというか、疑いすら持ってなかったのでかなり衝撃でした。
 カーラ編はカーラはすごく美人だしアリスはかわいいしルーサーはかっこいいし、物語として安定しているというか、アリスを愛で続ける展開だったので楽というか落ち着いてプレイできてよかったです。癒やし枠。ただその分最後は緊張感たっぷりすぎて警備に声かけられるだけで心臓がドキッとするくらい没入してました。
 これは後から情報を見てから知ったんですが、最終便のバス停では親子からチケットを盗まないと国境超えは川を渡ることになるみたいですね(時間切れまであの場にいたらそうなるのかな?)その場合は結構色々と厳しいみたいなので、盗むしかないというのもまあ致し方なしというか、綺麗事だけじゃどうにもならないこともあるということなのかなぁという気持ちですね。
 また、見つかってリコールセンター(廃棄場)から脱出するルートもあるみたいですね。動画でだけ見ましたが、こっちはかなり辛いですね…。色んな選択があるとはいえ、明確にハッピーエンドが決まっている感じですね。

マーカス編

 マーカスは所謂この物語の主役的人物ですよね。やっていることも過激で、でも葛藤したり迷ったり、結構人間でもこういうリーダーの人って冷徹な決断を下せる人がなったりするものですが、マーカスはずっと人間くさいままで、それが更に主人公感を強めてました(顔は怖いけど。笑)
 マーカス編はサイモンを死なせてしまったので、全員生存というわけにはいかなかったのですが、どうも他の情報を見ているとサイモンの生死はトロフィー等には影響ありますが、エンディング自体にはあまり関係しないみたいですね。やり直さなくて済んで良かったのか、もっと影響して欲しくて残念なのか、微妙なところ…。
 少し残念なのは、ジェリコでのシーンがあまり多くないので、ノースやジョッシュ、サイモンの主要メンバーの人となりもさほどわからないし、特に友好的な関係を築けているのかわからないまま作戦に入ったりしないといけなかったところ。まあ、現実にもそういう機会は多々あるので、そういうものかという気もするんですが、ほとんど賛同もしていないノースと恋人になったり、ジョッシュと全然話ができなかったのが、もうちょっと欲しかったなと思わせるところなのかもしれません(サイモンが生きてたらもうちょっと違ったかな?)
 ヒーロー的な部分が大きく、アクションも多いので、ほとんどのチャプターで所謂ゲーム的な体験を強める存在になっていたかと思います。話が過激な一方で、次どうなるんだろう、これからどうなるんだろう、という興味を引きながら進めるのが上手いなーと思いながらやってました。

コナー編

 一番機械的な存在で、その状態が一番長く続く主人公ですが、ソフトウェアの異常ポイントが序盤から上がったり下がったりするのがわかるので、上がりそうな選択肢を選ぶか、下がりそうな選択肢を選ぶかというのを序盤から悩ませてくれる存在でした。コナーはコナーの葛藤よりも、事件を解決するというゲーム的なクリアをしたい気持ちと、コナーをどういう展開に持っていきたいかという2つの選択をプレイヤー側に持ちかけるように設計されていたように思います。(アマンダが怖いの3択の可能性も…笑)
 ハンクは序盤から非常に良いキャラをしていて、まあ設定としてはありきたりではあるのですが、それがコナーとのやり取りに良い具合に作用していて、特に会話が良かったですね。コナーで煽り選択肢をやるとハンクみたいに喋るし、ハンクは仲良くなっても黙ってこっちを見て鼻で笑うだけ、みたいな関係が、好きな人には堪らないですね。
 コナー編は結構お約束的な展開も多く、途中は成功してもしなくてもラスト(とそれを見たプレイヤー)に与える影響が少ないので、印象としても他の2人ほど濃くはなかったです。ハンクの死亡イベントは後で動画で見たんですが、自分でプレイしていたら結構くるものがあったかもしれませんね…。

物語/ゲーム全体

 各編それぞれクオリティが高く、更に群像劇ならではの、バラバラだった物語が徐々に交差していくところの盛り上がりは非常に良かったです。本当にそれぞれ色んな事情や葛藤を乗り越えて、成長とも思える変化をしていく様は感動的でした。テーマとしては電気羊は~とかブレードランナー辺りでもやっている内容ではあるのですが、それらよりも近い未来、現実の延長や過渡期としてのリアルを体験させてくれる、考えさせてくれる作品であったと思います。
 一方で、アンドロイドの感情はプログラムされたものなのか?人間の感情をトレースしているだけなのか?という点については、あまり結論めいたことや作者の考えが提示されなかったのは、少しもやっとした部分が残ると思いました。当然、考えてみてください、というスタンスの作品であるというのは理解できますし、あなたの思う結末に導けますよ、というゲームであることもわかるのですが…。革命してそこで物語が終わってしまうのもそういう気持ちに拍車をかけているのかもしれません。というか、てっきりベストエンディングではそれぞれの後日談的なものが見れると思ったんですよ。カーラ達3人が仲良く暮らしているところとか、マーカス達が人間と共存してるところとか、コナーとハンクが別の事件を進めてるところとか、見たくないですか?見たいですよね??笑 そういうのを最後に期待していたので、肩透かし感を強く感じてしまったというか、あーこれで終わっちゃうのか…と寂しさがありましたね…。
 マーカス編のところでも少し書きましたが、脚本としてもっとこうだったら…的な部分でいくと、カーラ編ですかね。カーラの母性とかをプレイヤーに共感させるのは非常によくできてて、アリスを絶対守る!っていう気持ちには十分すぎるくらいさせてくれたんですが、アリスの真実を知ってすぐに寄り添うかどうかの決断がくるじゃないですか。アリスの真実自体は最初から伏線が少しずつ張ってあって、その明かし方なんかはめちゃくちゃ良かったと思うんですけど、個人的には、真実を知ってからアリスともう少し過ごしてその過ごし方で寄り添うかどうかの決断にさせるとか、アリスの機械的なところを出してプレイヤーを迷わせるとかしても良かったかなと思うんですよね。まあ、そんなことをしても大半のプレイヤーがアリスと共存すると思いますけど…笑。コナー編はそれほど大きく不満とかはないんですが、最終チャプターの後、もう少しコナーとハンクの会話があれば良かったなぁと思います。
 あとは、このゲーム自体はすごく良いものだったし、物語もすごく良かったと思うんですけど、一方でゲームゆえの悲しさというか、残念さというか、そういうのもあって…。このゲームは没入感を強くしてくれる仕掛けが色々してあって、プレイヤーが各主人公になって色んな選択をしていける、それによって物語が変わっていく、というのが楽しい部分ではあるのですが、その選択は人間である自分によるもので、自分の意思でいかようにも変えることができてしまうんですよね。ゲーム体験として至高であったと思えると同時に、この物語の軸であるアンドロイドの意思や感情を、人間の自分が決めてしまえるという点が矛盾を引き起こしていて…。彼らは本当の意味で自我を持ったわけでもなくて、その彼らの運命もプレイヤーが選択してしまっていて、何か振り返ったときに物悲しさを感じることになるな、というのが、このテーマをゲームにした時に避けられない問題なのかもしれません。これ、映画だったらこういう気持ちはあまり出てこないと思うんですよね。デトロイトビカムヒューマンは作成過程も含めて極めて映画的なので、そこを強く感じるほどにはなっていないとは思うんですが…。もしかしたら最後の方は選択肢をほとんどなくして、今までの選択の結果で各々が色んな未来に歩きだしていくのを見守る…という流れでも良かったのかもしれません。それぞれの未来が見れなかった、という点では上記の後日談というところとも繋がって、後日談があれば、ひょっとするとこの気持ちをもう少し抑えられたかもしれないと思うと、惜しいというか、勿体ないなぁと思ってしまいますね。また、結構選択肢によっては明らかにバッドっぽい結末を迎えてしまったり、倫理的によくなさそうな選択をしていると必ず誰かが犠牲になったりすることもあり、所謂正解を探してしまうような作りにもなっていて、そこはまだ"新しいゲーム"の域には達していないなと感じる要因でもありました。QTEなんかもそういう要素になってしまってるのかなと思います。まあそういうのも含めて、考えがいがあるというか、深みのあるゲームになっているところもあるので、一概に良かった悪かったと言いたいわけではないのですが、そこを越えられたら、本当に次のステージに行けそうだなと感じますね。

 ということで、長々5000字以上書きましたが感想としては終わりです。本当に悩み、ドキドキして作品を楽しむことができました。またこんな凄いゲームを作ってもらいたいですね。

 ありがとうございました。

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