陽一編バナー2

陽一編第14話「コンフィギュレーション」

静「前回は業と由人の二人だけにルールを説明したわ」

マリ「全員にルールを説明するのはあまり好ましくない、でも今回の住人は人数が多い」

静「考えあぐねたけど4人にルールを説明することにしたの」

マリ「この島は」

静「世界を増やすためにある…」

マリ「解読の島」

4人「解読の島!?」

静「森の中には黒い8人がいる」

マリ「いつの日かあなたたちは夜の森へ入り、14人で答え合わせをすることになる」

4人「答え合わせ!?」

静「砂浜と森の中」

マリ「性質の違う環境で二つのグループがそれぞれの解読を進める」

静「二つのグループを仲裁する不確定要素を担う1人が本来は必要なんだけど」

マリ「今回は人数の都合上、貴誉と虎太郎の二人にその役目を担ってもらう」

幹太「二人が不確定要素に?」

静「そう。二人にはルールを知らせない」

栄助「…」

陽一「それが必要な事なの?」

静「答え合わせをしなければいつまでもこの島にいられるわ」

マリ「だけど、そんなことを望んでいる者はそもそもこの島には来られない」

康平「前の住人の代では誰が不確定要素になったんですか?」

微笑む静「陽一よ」

陽一「え?」

微笑むマリ「小学生のね」

静「昨日の夜、陽一は森の中へ入った」

マリ「偶発的に森の中に5人が揃い、答え合わせは始まった」

静「先代の神が見守る中、5人は全員で揃うことに成功した」

4人「揃う?」

マリ「森の8人が黒くなるのを見たでしょう?」

静「黒い時は言葉を失う」

マリ「全員が明るくなり、解読した意味を実感した時」

静「森の中の宝箱は開く」

栄助「宝箱の中には何があるの?」

静「ゲームクリアした者にしかわからない光景が眠っている」

マリ「揃えるのに失敗した時」

静「島での生活は終わる」

幹太「島にいられなくなったら俺たちはどこに?」

静「また別の人生を生きるだけよ」

マリ「何も失いやしないわ」

4人が顔を見合わせる

静「先代の住人である彼らは答えを揃えたからいまあのチャンネルにいる」

栄助「チャンネル?」

マリ「高さで知覚されているけど本来意味に優劣は無い」

静「階層と表現されていたものを業と由人がチャンネルと表現しなおした」

康平「なるほど…差別の無い世界を創ろうとしただけに」

静「そう…先代の神を追い越してしまったのは少しジレンマでしょうね」

幹太「神というのは?」

マリ「ジョーカーが言伝にやってきたでしょう?」

静「先代の神はキング、クイーン、ジャック、エース、ジョーカーの5人」

康平「それって」

静「オリジナルトランプにインスピレーションを送り続けた存在よ」

4人「…」

陽一「俺達、そんな流れの中にいたんだ…」

マリ「そこでこれを見てちょうだい」

パネルが現れる

静「現在島の設定は業と由人が設定した値が引き継がれている」

時間の流れ:まばら
空腹:感じない
仲介者にルールをシェアすること:禁止
そのペナルティ:なし

幹太「これが初期設定」

静「そう、基本的なものね」

マリ「あとはあとから出来上がっていく」

静「生活の中で観測されなかったものが追加されていくの」

性行為:禁止
そのペナルティ:答え合わせができなくなる

4人「…」

幹太「性行為のペナルティ、重すぎない?」

康平「この島にいる意味がなくなるなんて」

静「そう、これは西暦2000年に生まれた業と由人の規範意識を投影して出来上がったもの」

マリ「2100年代を生きた私たちと根本的に思想が違う」

陽一「…」

静「このペナルティは業と由人の恐怖を表現していたともいえる」

栄助「今温泉にいるのって」

幹太「少しずつ互いの性を意識し始めたってこと?」

マリ「エクセレン…」

静「そう、そうやって意味を解読していくの」

マリ「マージナルトランプには理想としてではなく…」

静「実感として開放された性の感慨が詰まっている」

マリ「業と由人が持ちえないものが」

静「あなたたちマージナルトランプに引き継がれた」

4人が困惑しだした

マリ「答え合わせが少し怖くなったようね」

静「あの二人がうまく動いてくれるわ」

貴誉と虎太郎が言い争いをしている

貴誉がまあまあと虎太郎をなだめている

静「今あの二人は選択的不注意に陥っている」

マリ「無意識的に私たちの目論見に同意しているということ…4人が同意するまでこちらの声は聞こえない」

陽一が空を見上げる

小さい陽一が湯船につかって一息ついている

陽一(やってのけたのか…)

見上げながらニコッと鼻の下を指でこすった

陽一(やるじゃん!)

小さい陽一がちらりと島を盗み見た

マリ「その息よ、陽一」

静「答え合わせを急ぐことは無いわ」

マリ「この島にいるあなたたち14人で」

静「ゲームクリアを目指すの」

4人「ゲームクリア…」

マリ「それによって世界の恐怖が払拭される」

康平「世界が恐怖する?」

静「どんなに大きなものにだって変化への恐怖がある」

マリ「世界は変化の可能性を抑圧している」

静「規範意識によって」

栄助「俺たちは異なる規範意識を持っている」

マリ「いわば最新のね」

静「やれる気がしてきたんじゃない?」

陽一「やろう!小学生の俺がやってのけたんだ!負けてらんないよ!」

森が呼応した

幹太「みんなも一緒にね」

幹太が森に向かって微笑んだ

静「さて、設定はどうする?」

栄助「基本的なのはこのままでいいけど」

性行為:禁止しない

4人が笑った

虎太郎「なんでこんなに貴誉にクレームつけてたんだ俺…」

貴誉「栄助たちのことすっかり忘れてたな」

二人とも頬を染めている

貴誉「行こうぜ、みんなのとこ」

虎太郎「うん」

静「二人もいらっしゃい」

マリ「この島の性質を説明するわ」

ロング

静「ここは心象風景の世界」

マリ「誰かの考えてることがマップやアイテムとして現れるの」

===

島を見てる小さい陽一

小さい陽一(そういうことだったのか)

業「ほら、陽一」

コーヒー牛乳が手渡された

陽一「ありがと!」

カルマズとエニグマ「僕にも!」

業「ほい」

由人「オレにも!」

業「パンツ穿けよ由人w」

由人「業だってw」

顔を赤らめる業と由人を

カルマズとエニグマと陽一が見上げる

奥にいる業と由人の生えかけ半剥けのおちんちんが見え

(隠してないから偉いね)

3人が笑い合った

業の手渡した瓶を由人が受け取る

手前の陽一とカルマズとエニグマはコーヒー牛乳を飲んだ

コーヒー牛乳を飲んでぷはーっと息を吐いた陽一とカルマズとエニグマ

(新しい日々のはじまりだ)

業と由人が瓶に口をつけ互いのおちんちんに目が行き、

目線が合い

頬を染めて反対に目を向ける
===
左向きの横顔で頬を染める業「フェラチオから始めてみるか」

右向きの横顔で頬を染める由人「いやキスだろ」

===
顔を近づける業と由人

陽一とエニグマとカルマズが顔を輝かせ

二人の唇が触れる

陽一とエニグマとカルマズ(したーーー!!)

===

静「最後に私たちがどこにいるかを設定できるわ」

マリ「業と由人は映画館に私たちの仕事場を設定した」

6人「へえ~」

陽一「学校とかどう!?」

栄助「行きたいときに行きたい奴だけいけるとか!」

康平「おもしろそう!」

幹太「あ」

森から8人が見てる

虎太郎「森のみんなも通いたいみたいだぜ」

貴誉「女神様!ダメですか!?」

静「森と砂浜の境界線に建物を作れないかしら」

マリ「乗り気なのねw」

===

小さい陽一「あー!なんか楽しそう!」

由人「オレらもなんか創ろうぜ!」

カルマズ「5人でできる最大級のこと!」

エニグマ「ゲームクリアのエンディングを作ろうよ!」

業「宝箱の中身、用意しといてやるか」

完(ジプとジアの島に続く)