陽一編バナー2

陽一編第9話「宝探し」

百貨店の8階
料理屋が並ぶ
長椅子に座り時計を確かめる村井

「村井」

村井「坂島」

ドレスに分類される服を着た坂島

村井「やだ、仕事の話かと思ったのに」

坂島「ふっ、あなたの方はPTAって感じね」

村井「どのお店にする?」

坂島「イタリアンなんてどうかしら」

村井「いいわね」

===

注文を終える二人

坂島「見て、あの子たち」

二人の中学生くらいの女子が長い髪が料理につかないように手を挟みばがらパスタを食べている

村井「あんな仕草、ずっとしてないわね、それで」

坂島「せっかちね、あいかわらず」

村井「ふ、懸案事項って何なの?」

坂島「まあいいわ。…世間は性行為実習の季節よ」

村井「坂島の職場の一番忙しい時期ね」

坂島「村井の勤めてるとこの生徒も来たわ」

村井「何か問題が?」

坂島「マニュアルにはない事例ね」

村井「応用問題を出題された訳ね」

坂島「そんなところ。」

村井「それで?どんな?」

坂島「二人気になる男の子がいたの」

村井「その子たちはペアだったの?」

坂島「それぞれ別のパートナーがいたわ」

村井「その二人がくっついちゃった?」

坂島「最終的な懸念はそこなんだけれど」

村井「ええ」

坂島「二人ともオリトラの子孫」

村井「!」

回想
「笹原栄助です!村井さん、よろしくお願いします!」

メモを取る栄助

栄助「仕事をしてて、誇りに思うことはなんですか?」

村井「あたしたち用務員が、…悪く言えば監視してる中、あなたたちがそれを知ってて登校してくれることかしら。」

栄助「見守りを監視だなんて!」

村井「…あなたの方は自慢な事ってある?」

栄助「え?俺の方?…ご先祖様が、オリトラなことかな」

村井「そうなの!?笹原ってことは由人の?」

栄助「ううん、由人の弟の愛礎の。」

村井「…」

栄助「信じてくれる?」
===
村井「オリトラはこの街の誇りよね」

栄助「うん!」

回想おわり

村井「真偽不明のままだったけど、笹原の方は知ってるわ。もう一人は?」

坂島「場所を変えたいのだけど」

村井「まだ料理も来てないじゃない!」

坂島「そうね…心配しすぎかしら」

村井「で、もう一人はどのメンバーの子孫なの?」

坂島「若山業には腹違いの姉がいた」

村井「…ええ」

坂島「由人には愛礎という弟が」

村井「そこまでは周知されてるわね」

坂島「それぞれの子孫が同じ日にうちに来たの」

村井「実習を受けに」

坂島「そう」

村井「…どう見てるの?」

坂島「二人とも天性の素質を持ってたわ、デコボコにね」

村井「…」

反応に困る村井

坂島「由人と業の少年期には、世間に開放的な価値観は無かった」

村井「史実ね」

坂島「まるで…業と由人の魂が再び現世で交わろうとしてるかのよう、今度は音楽ではなく、肉体で」

村井「坂島の感性って、巫女的よね」

坂島「料理が来たわ」

===

坂島「もっと高級なお店でもよかったのだけど」

村井「セレブの方がさっきの話題には敏感よ」

坂島「そうね」

村井「不穏な気配は無いわよ」

坂島「それは、ここに?」

村井「さっきの話にも、そんなに危険は感じないわ」

坂島「自浄作用を過信してない?」

村井「メディアが二人をくっつけたがったりしたら事だけど」

坂島「大局的に見れてるのはきっとあなたの方ね、仕事柄」

村井「ねえ、デザート頼まない?」

坂島「ええ。…村井」

村井「もう決めたの?」

坂島「久しぶりに、どう?」

村井「どうって?」

坂島「もうっ」

村井「あ」

坂島「行ってみたい休憩所があるの」

===
レズビアン専用休憩所
竜=タイムマシン

タクシーから降りた二人

女性のドライバーが待機してましょうか?と声をかけた

村井「ありがとう、でもいいわ」

手で合図してタクシーが去った

村井「竜=タイムマシン、ってオリトラのツアータイトルよね」

坂島「レビューを見た感じ、楽しそうだったわ」

入店する二人

2116
2110
2100
2090

坂島「好きな年代の部屋に行けるの」

村井「おもしろいわね」

坂島「学生時代に行ってみない?あたしたちの」

===

村井「わあ、なつかしい」

坂島「これ、集めてたわ、あたし」

村井「あったあった」

hideのギターの模様のサイコベア

坂島「小型の冷蔵庫」

村井「気になるわね」

開けると飲みかけのジュースがあった

賞味期限が2100年のものだった

村井「中身は樹脂…よく考えられてるわ」

坂島「舞台装置って訳ね」

タブレットが勉強机に置いてあり

飲み物を注文できるようになっていた

村井「あたしジンジャエール」

坂島「コーラでも飲んでみようかしら」

村井「…」

回想
女学生の二人が飲み物を飲んでいる

村井「あたし、レズビアンなの」

「あら」

村井がペットポトルをもって声の主の方を見た

コーラの缶を傾けながら

坂島「あたしもよ」

回想おわり

村井「押したわ」

===

坂島「このお店、宝探しができるの」

村井「宝?」

坂島「あたしたちをつないでくれるあれよ」

村井「この部屋の子がどこかに隠してるそれを、見つけないと事に至れないってことね…」

坂島「なんだかあたしたちの入り組んだ承認欲求を、把握してくれてるみたい」

村井「隠し場所、困ったわよね」

坂島「あたし、持ち歩いていたかった」

村井「あたしは、持ってるのが恐かった」

坂島「じゃあ」

村井「はじめましょうか」

坂島「あたしたちの宝探しを」

部屋の中で散る二人

坂島「アスカが好きなのね、この部屋の子」

村井「ポスターのこと?」

アスカのポスター

深紅のドレス ポニーテール 赤とオレンジのリッケンバッカー

坂島「1枚はアナログで持っておきたかったみたいよ」

村井「どれ?」

坂島「ファーストソロ」

アスカのファーストソロアルバム
BASS QUEEN

村井「いい趣味ね」

坂島「このアルバム、4つのセクションがあるの」

村井「知ってるわ?全部インストよね」

坂島「イノセンス、パバーティ、ムーディ、フォルテ」

村井「あたし思うんだけど」

坂島「あたしも思うの」

村井坂島「女同士のセックスのためのアルバム!」

村井「ふふ」

坂島「宝探しのこの状況」

村井「イノセンス」

坂島「不完全をいつも想起してしまうあれの存在」

村井「思春期、パバーティ」

坂島「やっとパートナーを見つけて浸れる雰囲気」

村井「ムーディ」

坂島「そしてついに二人は事に至る」

村井「フォルテ」

クロゼットを開けると私服が並んでる

坂島「おとなしい装いをしてた子」

村井「そこにあるかしら」

ポケットをまさぐる

坂島「ん、なにかあったわ」

村井もベッドの下に会った包みの中に宝を見つけた

村井「こっちにもあった」

坂島「二つあったってことは」

村井「どっちかはフェイクってことかしら」

坂島「どちらかが親に見つかっても」

村井「どちらかは見つかっていない」

坂島「制服のポケットにこんなものが」

音叉

村井「音叉?ふふ、それはおまじないみたいよ」

坂島「そうね」

村井「あたしがみつけたのは…」

坂島「!」

村井「これよ!!」

モザイクがかかってる

坂島(ドラゴン!!)

===
村井と坂島「ぷ、あははは」


村井「せっかくだし、これかけましょうよ」

坂島「ムーディからでいいわ」

村井「そうね」

===
一軒家の二階の窓 薄明かり

ベッドにあおむけで寝てる陽一

ヘッドホンがそばにある

陽一(大人の階段を上ってしまった、栄助と一緒に)

スマホの時計を見ると午後8時

陽一(散歩したいな)

陽一のアカウント「夜だけど、散歩したいな」

陽一はSNSに書き込んだ

リプライが届く

夜道はこちら「どのくらい歩きたいですか?」

陽一がそれに返信する

陽一のアカウント「アルバム半分くらい」

夜道はこちら「アルバムを教えてください」

陽一のアカウント「オリトラならなんでも」

夜道はこちら「パトカーの巡回をお待ちください」

まもなく青い光が窓に射した

首にヘッドホンをかけ、パーカーを羽織って出てきた陽一は外にいた警官に頭を下げた

警官が話しかけてきた

警官A「心理状況を把握させてください」

陽一「今日、性行為実習を受けて…」

ああ、と警官二人は共感した

警官B「わかりました、警護させてください」

青い光に見守られ、ヘッドホンをしながら歩く陽一
===
公園

虎太郎がブランコに座った

時折青い光が虎太郎を照らす

小学生の陽一が茂みからそれを見ている

虎太郎が鎖につかまり「くっ…」とうなだれた

心情を察した小学生の陽一

小学生の陽一が茂みを抜け出して駆け寄ろうとした瞬間

肩に手が置かれて、優しくそれを制止された

中学生の業が「しー」っと人差し指を口に当てていた、その隣には由人はニコッとしながら人差し指を口に当てていた。

小学生の陽一が二人を見て、茂みから抜け出さないことにした。

ブランコの虎太郎を見守る小学生の陽一
===
陽一が公園の前を通りかかる

ブランコに座る少年

陽一(あ、実習所にいた子?)

髪を結っていたのですぐわかった陽一

陽一(もしかしてここで寝泊まりするのかな)

パトカーの警官「寄り道するようであります」

パトカーが青いサイレンを灯したまま停止した

陽一「こんばんは」

虎太郎「君は」

陽一「今日、実習所で会わなかった?」

虎太郎「ああ」

陽一「隣、いい?」

虎太郎「うん」

陽一「俺陽一」

俺は「…俺は虎太郎」

陽一「なんか、歩きたい気分でさ」

虎太郎「俺も警護してもらいながらここに来た」

陽一「そっか、なんか落ち着かないよね」

虎太郎「父さんから」

陽一「うん?」

虎太郎「父子相姦の因子が見つかったんだ」

陽一「え…能動?受動?」

虎太郎「受動…」

陽一「それは…」

虎太郎「俺の方に原因があったってこと…」

陽一「お父さん、どうなったの?」

虎太郎「離れて暮らすことになった、今日一日で…」

陽一「…そっか」

虎太郎「俺の家系さ」

陽一「うん」

虎太郎「先祖返りなのかわかんないけど」

陽一(先祖)「うん」

虎太郎「時々男を狂わす男の子が生まれちゃうんだ」

陽一「君」

虎太郎「なに?」

陽一「名字は?」

虎太郎「…若山」

陽一「もしかして君もオリトラの子孫?」

虎太郎「君も?お前も誰かの?いや…」

陽一「俺は違う」

虎太郎「…お前と一緒にいたあいつか」

陽一「まあ、そんなとこ」

虎太郎「いま100周年で話題になってるだろ」

陽一「うん」

虎太郎「同じ学年に生まれて、同じ日に実習を受けるなんて」

陽一「実習のパートナーは君がここにいること知ってるの?」

虎太郎「あいつとは、一回っきり。そういう約束だった」

陽一「そうなんだ」

虎太郎「んで、家帰ったら父さんが実習受けたんだから、もういいだろって」

陽一「…やらせろって意味」

虎太郎「う」

泣く虎太郎

陽一「想像を絶するな…」

虎太郎「こんな資質持ってたくない」

陽一「自分の一部じゃん」

虎太郎「お前、ちょっとわかってるな」

陽一「いつも君のご先祖様の曲聞いてるからね」

虎太郎「…」

ブランコを漕ぐ陽一

虎太郎「俺がお前の彼氏を盗ったら、どうする?」

陽一「…メディア的には、おいしいかもね」

虎太郎「陽一って言ったか、お前の気持ちを聞いてんだ」

陽一「取り残された気持ちになるのかな」

虎太郎「俺の母さんも」

陽一「いや、女の人は、もっと気丈に認知するさ」

虎太郎「…誰の受け売りだ?」

陽一「自分で思った」

虎太郎「お前、心、女?」

陽一「どうだろ」

虎太郎「…なんか説得力あるな、お前」

2台のパトカーの青いサイレンが交互に二人を照らす

陽一「あんまり長居はできないね」

虎太郎「なあ」

陽一「なに?」

虎太郎「ラーメンでも食いに行かねえか」

陽一「俺はいいけど」

陽一がパトカーを見た

虎太郎「あの人達も一緒にさ」

陽一「え…6人で?了承してくれるかな」

虎太郎「物は試しさ、お前はあっちの人たちさそって」

===

陽一「あの」

警官A「満足してしまいましたか?」

陽一「向こうにいる彼が」

陽一らがもう一方のパトカーを見た
警官と話してた虎太郎がこっちに向かって腕で丸を作った

陽一「嘘w」

警官A「何を提案されたんです?」

陽一「6人でラーメン食べに行こうって」

警官B「うはwww」

警官A「いきましょうwww」

パトカー2台が発進する

===

仰向けの村井「オリトラが…女の子の性も、解放してくれたらよかったのにね」

シャワー室から出てきた坂島「オリトラにしても、100年じゃ足りなかった」

村井「アスカはどんな世界を夢見たのかしら」

坂島「栞と」

村井「どうなりたかったのかしら」

坂島「アスカのソロアルバムにはキーボードが使われてないの」

村井「ノーシンセを謳った初期のクイーンみたいね」

坂島「ソロでやる以上オリトラのメンバーの力を借りたくなかった」

村井「借りれない状況に自分を置いた」

坂島「栞以外考えられなかったかしらね、シンセの担い手」

村井「その感じ、わかる気がする」

坂島「かく言う私たちも」

村井「シャワーは同時に浴びなかったw」

坂島「事の前にも後にも」

村井「ねえ、私たち、自分で規制を施してるのかしら」

坂島「業と由人でさえ時代の雰囲気には逆らえなかったのよ、『俺たちはしちゃいけない』って」

村井「そう思うとなんだか愛おしいわね」

坂島「そこよね、100年支持されてる理由って」

村井「アスカは栞への思いを自分で禁止して」

坂島「ミカミは一度、業に惚れたらしいわ」

村井「そうなの!?」

坂島「ねえ、素敵だと思わない?」

村井「え?」

坂島「少年少女の生い立ちが、神話になるなんて」

===

店員「ありがとうございました」

竜=タイムマシン

店を出た村井と坂島

坂島「8時半」

村井「ねえ明日休みでしょ?」

坂島「どこかでクールダウンしましょうか、いきなり解散って気分でもないわ」

村井「ラーメンなんてどう?」

坂島「熱いじゃない」

村井「それwどっちの意味?」

===

村井「やだ、パトカーが停まってる」

坂島「でも『青』みたい」

村井「2台とも?…みたいね」

入店する村井と坂島

陽一「あ!」

村井「陽一!」

坂島「あら、その組み合わせでくっついたの?」

虎太郎「違うよ~」

警官A「知り合いでありますか?」

陽一「俺の学校の用務員の村井さん!と今日実習を補助してくれた…」

警官B「やや!これはこれは」

村井「プライベートで旧友とね」

虎太郎「坂島さんだっけ、村井さんもこことここに座りなよ!」

陽一「そう、坂島さん!」

坂島「あら、よく覚えててくれたわね」

村井(フレンドリーな子…)

坂島が店員が追加で敷いた座布団に座ろうと靴を脱ぐ

続く村井「一体どういう状況なの?」

虎太郎「俺も陽一も警護されながら散歩してて、俺がブランコ座ってたら陽一が話しかけてきたんだ」

坂島「そうね、この時期は警護員が多く配備されると聞いてたけど」

警官D「柔軟な対応が試される時期でもあります」

村井「でも6人でラーメンなんて、陽一の発想じゃないわね」

陽一「ええ!俺も結構ロックなんだよお?」

警官A「というと?」

陽一「バレンタインのチョコに父さんのブランデーを入れたんだ!」

一同が爆笑した

虎太郎が途中で笑わなくなった
===
警官CDと陽一「あ」

警官AB「やや」

村井「父さんに反応したのね」

坂島「村井」

警官C「団らんに水を差すようですが」

警官D「虎太郎君は今日から一人暮らしであります」

村井「お父さん、お酒を溜め込んでた?」

坂島「村井、この子よ、天性の素質の持ち主、オウのね」

村井「…そういうことか」

虎太郎「察しが早くていいや」

坂島「あなたの持つ因子に、お父さんは反応してしまった」

警官C「ずっと我慢してたとの供述があるようです」

警官D「おい!」

警官A「柔軟な対応に含まれるかと」

警官B「具体的な記録があれば問題ありません」

虎太郎「いいよ録ってても、ちょっと聞いてほしかったんだ」

坂島「あなたの心理的健康が最優先よ、聞くわ」

虎太郎はすでに陽一に話したことをもう一度赤裸々に話した

坂島「もう住居は確保されてるのね」

警官C「はい、そこまで歩いていきたいというのが虎太郎君の要望でした」

村井「家事をするのは誰?」

警官D「アセクシャルの家政婦さんです」

泣いてる警官A「住居はどこでありますか」

警官C「そちらの管轄区です」

村井「え?陽一を警護してる区ってことは」

坂島「村井の勤め先に転校することになるのかしら」

虎太郎「そっか、学校もか」

泣いてる警官B「うおーんおん」

村井「あたしとあたしの同僚の目が、あなたを見守るわ」

坂島「陽一君」

陽一「え?」

坂島「…」(業と由人に一番近い血を引く子孫が同じ学校の同じ学年に…)

村井「心配ないわ」

坂島「そうね、はっきり言うわ」

村井「え?」

陽一「栄助が虎太郎とくっついたら俺がのけ者になるって心配してくれてるんでしょ?」

虎太郎「うわああああああああああああ」

坂島「つまるところ、そうよ」

虎太郎「自分の意志以上の力に振り回されるなんてまっぴらだ!」

村井の胸が痛んだ

坂島「答えは、すでに用意されてるのかも」

虎太郎がすがるような眼で坂島を見た

一同が坂島の言葉を待った

坂島「今世間はオリトラブームね」

村井(坂島のこの回りくどいようでゆったりとした性格、こういう時安心するのよね)

虎太郎「100周年で?だから?」

陽一「あ!」

警官ABCD「なんでありますか!?」

坂島「今日は2116年6月26日、明後日は何の日?」

陽一の回想
「俺の誕生日と松雪の命日ってことで、聞いてもらえたらうれしいです。」

陽一「オリトラの」

村井「あ」

警官ABCD「ラストアルバム!」

虎太郎「カルマズの…発売日…」

陽一「すげーーーー!!」

警官たち「うおーーー」

坂島「竜とは、人であり、声である♪」

村井「僕はそう定義した♪」

陽一「光は人格得て♪」

警官たち「固有の声も持ち合わせた♪」

一同が口ずさみ、笑った。

虎太郎も力なく笑った

警官C「あ!オリトラのアカウントが更新されてます!」

陽一「え!ほんと!?見せて!」

テーブルにスマホの画面が光示された

オリトラ公式アカウント「明後日発売のラストアルバム『カルマズ』の曲目を公開します。

1.心残り
2.僕らの正体
3.預言者
4.red rain
5.野球少年
6.層を昇れ
7.黒から青へ
8.みんなちがってみんないい
9.神話の栞
10.先生
11.ワンペアも揃えてはいけない
12.30歳の俺から14歳の俺へ
13.自らを由として
14.アイ・リヴ・ウィズ・ユー・アズ・カルマ
」。

警官ABDと陽一「お、お~~」

虎太郎「12番」

12.30歳の俺から14歳の俺へ

村井「同じ気持ちを届けてくれるかもね」

虎太郎「同じ気持ち」

坂島「タイトルのこの字面、間違いなく業の作詞ね、同じ資質を持っていたんだもの、誰よりもあなたの気持ちを理解してくれてるわ」

陽一「虎太郎」

虎太郎「うん…!」

店員「おい今だ」

店員「へいラーメンお待ちい!」

8人の団欒

つづく