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インスタで、自著を朗読

首都高を走る車の後部座席で、隣に座っていた姪がスマホを車窓の外に向けて撮影し始めた。

小学四年生の彼女は、最近インスタグラムのアカウントを持った。正確には親がとってくれたアカウントを使っている形で、プロフィールにも父親が「わたしの娘が一緒に投稿してます」というような一文を載せて子供狙いの変態野郎どもからきっちりプロテクトしている。

そんなアカウントでも、以前から動画投稿をやりたがっていた姪は嬉しそうだ。フォローしてと言われて、互いにフォローし合った。

「X」のコピペをただ上げているだけの、テキストと静止画像ばかりのわたしと違い、姪はインスタならではの機能である「リール(ショートムービー)」のみを上げている。驚いたことにその閲覧数は、わたしがごくたまに上げてきたリールよりはるかに多い。彼女のフォロワー数はわたしの1/5にも満たないのに、である。

あれ? わたしインスタの使い方を間違ってた? 彼女の投稿をひとつひとつ見て、やっと気がついた。

姪が多くのリールに使っているアニメーションは彼女がパソコンで作っているもので、実写の動画も彼女自身が自宅や近所で撮影したものだ。どれも素朴でチープだが、動きがちゃんと音楽や効果音に合っているのが楽しい。

その音源はというと、インスタアプリに登録されている既成品か、他のユーザーがアップしているもの。どれでも無料で自由に使えるので、人気の音源はたくさんの動画で使われている。たまにリールを見る(見せられているとも感じるが……)と、同じ音楽が何度も出てくるのはそのせいだったのだ。ちっとも知らなかった。

窓の外を流れていく景色を数十秒撮ると、姪はインスタを開き、あれよあれよと夜の都会に合った音楽を重ね、ささっとアップロードしてしまった。

おそらく、このスピード感も「現代のSNS」の大事な要素なのだろう。いいなと思った 対象を手早く動画に収め、適切なワードで検索して出てきた音楽と合わせる。あるいは、気に入ったサウンドに合わせてアニメを動かしたり自分が動いたりして動画を作り、くっつける。

インスタントな創作活動。今までこれを楽しんでいなかったのだから、インスタが面白くならないわけだ。

というわけで、わたしも「リール」を楽しむことにした。

動画と、音。
かつて朗読ライブをやったこともあるわたしにできることと言えば、ひとつしかない。自著の宣伝も兼ねた朗読だ。

一応プロである「文章」以外は、何もかも下手くそだが、それでいいのがインスタだとわかったので気にならない。

音楽はどうしても気に入ったものにしたくて、ミュージシャンの友人に使用許可をもらってつけた。編集はインスタアプリではどうも勝手が悪く、iMovieでやっている。結局姪のようなスピード感はなくなり、あまりインスタントでもないが、楽しいのでよしとしよう。

しばらく続けてみます。よかったら、インスタグラムをフォローしてくださいませ。


わたしは日本のGIベビーの肉親探しを助ける活動をしています[https://e-okb.com/gifather.html]。サポートは、その活動資金となります。活動記録は随時noteに掲載していきますので、ときどき覗いてみてください。(岡部えつ)