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六月歌舞伎座千穐楽猪八戒

6月は2度歌舞伎座遠征。16日に歌舞伎座一部とエスパスビブリオでの“猿之助と愉快な仲間たち”写真展の掛け持ちだった。猪八戒は初見だったので衝撃的過ぎてあまり覚えていない。

そして本日千穐楽は“車引”の時平と猪八戒を演じる猿之助さんをじっくり拝見。時平も初役のはずで見物したときは人外感漂う時平に驚き、序盤の村人達を除けばほぼ出ずっぱりの猪八戒は驚異的な体力とおもだか屋馴染みの振付がここかしこに出現するから猿之助猪八戒から目が離せなかった。千穐楽はあっちこっち観なければと思っていたがやはり猿之助猪八戒に釘付けだ。

猿弥の霊感大王、笑三郎笑也の美魔女との戦い。アクションチームと名題下を含めた小怪達の物凄いバク転やとんぼをかえる立ち回りと舞台から一瞬も目が離せない状態で息をするのを忘れそうになるほど。
猿之助は時を忘れさせる。少々のストレスや嫌な事など吹き飛ばしてくれる。襲名の頃の驚異的熱量を強く感じさせて貰えた。定式幕が閉まっても誰一人帰らない。万雷の拍手で舞台の皆さんへの感謝と感動を伝え続ける。

こんな舞台を魅せてくれたらそうなるよね。歌舞伎座はカーテンコールなんかない。
分かっているのに手が止まらない。拍手しか貴方から貰った感動を伝える手段が無いからみんな拍手をやめない。

歌舞伎座でこの風景を観たのは仁左衛門さんの一世一代“女殺油地獄”だった。今をときめく染五郎君が金太郎襲名の時の歌舞伎座だ。一世一代を演じきったにざ様に酔いしれたファンは席を立たない。長く激しく拍手を続けた。奇跡的に幕が開いたらそこには孝太郎お吉が殺された姿のままで横たわっていた。 
昔を思い出しながら長く粘り強く拍手をしていたが私も含めて思う存分拍手をしたら係の人の誘導で静かに歌舞伎座を後にした。

猿之助さんの猪八戒は後の世までも語り継がれると思うが、猿之助さん自身が又演じてみたいと思ってくれていたら嬉しいのだけど。
義太夫狂言で役者達は語らないが激しく動き回る度にシュウッとかハッと決まるとき漏れる息遣いの一つ一つに心を持って行かれる。

舞踊劇を観てこんなに興奮出来るのって今まで無かったかも。大正時代に生まれた舞踊劇が猿之助さんの身体を通して閉塞感ある現代に生きる私の気持ちを奮い立たせてくれて、明日の希望を今日貰った。大切に生きていきたい。
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