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企業系検査技師のグローバルな事情_アメリカとの資格に対する地位の違い


ごきげんいかがですか、ふたこ研です。
グローバルな事情 Part2.として諸外国との臨床検査技師の資格の違いについてnoteしたいと思います。
資格の基本的な情報詳細(取得法とか種類とか)は他のサイトにもいろいろ載っているのでこちらでは省きます。

はじめに

普段から国内外の医療職の方々、企業の方々のメールをよくする際に、署名を参考にすることは多いかと思います。私の感覚ではありますが、日本ではメールの署名に資格を記載する方は少ないなあと思います(MDやPh.Dは見るけどそれでも海外よりアピールはけっこう弱め)。
私の場合は病理関連のアメリカの企業の方と仕事をしていると
"~--- HTL (ASCP)" といった記載をみることがあります。ASCP(American Society for Clinical Pathology)認定のHistotechnologistを持っているよ、ということで、日本でいえば「認定病理検査技師」に近いかもしれません(ASCPの資格ページ参照)。

専門的な話をするときに相手が臨床検査技師の資格を持っているととても安心します。以前、ある企業の研究所の方と仕事をする際に、実験をする担当者も精度管理担当者も臨床検査技師の資格を取得していることが分かった時は、前提条件や定義の話をがスムーズに話が進んでちょっとした感動を覚えました。

臨床検査技師の呼び方が地位を示す

海外(特にアメリカ)での臨床検査技師の英語名は日本の表記よりも科学的です。以前はMedical Technologist(MT)という呼び方が主流でしたが学会組織の変更などもあり、単なる技術を対象とした資格ではなく、よりScientificな知識を持って医師や患者さんと直接的に業務にあたる職種であることからtechnologist -> scientistと変わってきています。今ではmedical laboratory scientist (MLS)や clinical laboratory scientist (CLS)と呼ばれることが多いです。
一方、日本では日本臨床衛生検査技師会(Japanese Association of Medical Technologists)というようにまだまだtechnologistの扱いのままです…

他国での資格取得と業務内容

アメリカの事情

様々な人種がいて膨大な検体量をさばくアメリカの臨床検査現場で働くには大きく2つの資格が存在しています。medical laboratory technician(MLT)とMLSです。MLTは2年間の教育課程(準学士)の後にMLTとして医療現場で働けるようになります。MLS(基本的には4年間の教育、学士)に比べて基礎科学の過程がなく、より実験的な手法のトレーニングがメインです(教育機関にもよる)。アメリカの広大な検査ラボには多数の検体処理を行う機器が並んでいますがそれらを扱っているのはほぼMLTという施設もあります。MLSはそれらデータの管理やマネジメントをメインで実施するというのがメジャーです。給与はMLSに比べると低いという実情もありますが、そもそも州によって資格取得が必要となるため、業務実施範囲が異なり、給与も州によってだいぶ違います。
とはいえ今は医療費削減のための人件費削減のためにMLTではなくMLSを採用する傾向にあるようなのでMLSはオールマイティに動けることが望まれているようです。

そして…日本と何よりも異なるのが…公的機関や企業で働くMLSの多さが圧倒的に異なることです。日本の厚生労働省に似た役割をする、アメリカ食品医薬品局 FDA (Food and Drug Administration)やその関連機関、製薬企業や医療機器メーカーなどに関連する求人も多いです。日本では企業で働く検査技師が少なく、企業での認知度も低いので真逆ですね…(なのでこうやって企業系検査技師noteを細々と始めているのですが)。

まとめ

日本とアメリカの資格の違いと地位の違いについてまずはアメリカについて書いてみました。次回アメリカ以外の国について書けたらと思います。

現在の日本の教育では、臨床検査技師とは何か、の先に見える像や選択肢を示すことができる教育者が非常に少ないと思います。もちろん、日本では臨床現場に出る資格取得者を教育することが第一の目的ではありますが、今や当たり前のグローバル時代なので、学生にもっと幅広い選択肢とその達成方法を提示できるような教育者も必要なのでは、と強く強く思います。

それでは、ごきげんよう。



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