徳吉英一郎

徳吉英一郎

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戦うのでもなく諦めるのでもなく

ギシギシの話である。ギシギシはやっかいな草で、放牧地に生えていても馬が食べない。そのくせどんどん増える。調べると、びっくりする。種子の数とか、種子の生きる年数とか、発芽率とか、根冠部からの再生力とか、なんだかすごい生命力である。常軌を逸している。強害雑草といわれるエゾノギシギシは牧場の嫌われものである。 掘り取りや刈り取りの方法は労力的に実際的でない、という話もあるが、4回刈れば再生力が低下する、地際から5センチ程度の根冠部を除去すれば再生しないともいうし、やってやれないこ

    • 忘れ去られることに抗うように

      標高が高くなるほど、新しい村なのかもしれない。戦後の、ここでいう戦後は太平洋戦争のことだ、開拓者たちが築いた集落。古い、歴史のある集落は、もうちょっと下流の方にある。渓流がやがて静かな里の流れになるようなところ。新しい村は、だから、傾斜が急だったり、平らなところが少なかったり、農業に向いていない。田んぼに向いていない。そんなところで新しい人たちは、新しい農業を始めた。例えば酪農。けれども、規模がすぐに問題になったのだろう。高度経済成長の 時代、自給ではなく、経済的な成功が目的

    戦うのでもなく諦めるのでもなく