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なんでもない日のとんでもないお酒の話

結婚祝いにいただいたドンペリっていうのが、ずーっとカーヴに眠っておりまして、まあその頃は、どういう日に飲むのかも考えてもいませんでしたが、もうあれから32年も経ち、改めてミレジメ(ブドウ収穫年のこと。シャンパーニュは普通ミレジメがなく、数年分のワインを合わせて安定した味にする。ドンペリニョンは良い収穫年にしか造られないので、ミレジメがラベルに記載されているのです。で、ドンペリはモエ・シャンドン社が作っていて、だからミレジメじゃないシャンパーニュはモエシャンのシャンパーニュになります)見たら、なんと1982年!これってもうやばいんじゃない?ということになり(なんですが、今朝ネットで調べたら、まだ販売していたという事実とその値段に驚愕!!!)、昨晩別に何の記念日でもないけど、ワーテルゾイ作っておそるおそる開けてみました。

するとですね、やっぱりコルクは途中で割れて怪しい感じに。ひょっとすると泡がないのか、と思いきや、さすがです!泡、ちゃんと下からあふれんばかりに次々と発生。色だけ見たらもはやシャンパーニュではない、蜂蜜色。最初に樽香のインパクトがすごかったです。味わいには、普通のシャンパーニュに比べ芯があって、トーストしたパンの香りとか、そんなに色がついていないブール・ノワゼットの香り、天然のさらりとした甘味は、ちょっと熟した洋ナシの味。シェリーっぽさも少し出ていてとっても複雑な味わい。

ワーテルゾイという料理は、ベルギーや北フランスの鶏肉の料理で、最後に卵黄を入れるので、そのひと手間のコクとベストマッチ。どんな料理とも合い、えんえんと飲める優秀なシャンパーニュだということを再認識。貴重な味であることは確かでございました。銘酒の貫禄見せつけられました!

ドン・ペリニョンは、1638年生まれのベネディクト派の修道士の名前です~。シャンパーニュは通説によるとこの修道士が発明したと言われていまして、次の本の原稿にもそう書こうと思っていたのですが、調べていくと様々な説が!

まずは英国で偶発的に誕生した説。寒さから発酵が途中で止まったまま樽詰めされたワインがシャンパーニュ地方から英国へ輸出され、瓶に詰められてそのまま瓶内で二次発酵が起こって泡ができたというのであります。


また、プレス発表で出向いたDior x Laduréeカフェのフランス人ソムリエによると、ラングドック・ルシヨンのリムーあたりで生まれたんだときっぱりと言っていました。(でも、これは元々産地がシャンパーニュじゃないしなぁ?単にスパークリングワインの話だな。笑)フランス伝統菓子の由来説同様、様々な説があるので、まあいろんな説を楽しみたい。昔のことは決定的な文献が残されていない限り、憶測を交え色々。

ということで、記念日でもなんでもなかった日のとんでもないお酒の話でした。(笑)

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