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バイキングとエニシダの名を持つお菓子の関係

ヨーロッパはその昔、大きく分けると3人種の侵略に悩まされました。最初はゲルマン人、次はバイキング、そして中世にかけてはアラブ人。プランタジュネットというお菓子がロワール地方にあるのですが、バイキングに関係があります。

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バイキングというのは、今の北欧の人たちです。今は北欧に行けば、やさしそうなイケメンが歩いていますが、この人たちの祖先は蛮族だった!?

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(バイキングの船)

覆いのない船を夏場だけ移動させて、なんとシチリアまで侵略していたのです。フランスでは、今のノルマンディーやロワール地方のあたりをうろうろと。あまりにも勢力がすごすぎて、しょうがないというので、フランス側はバイキングのロロという人に領地を与えてしまったんです。それからその子孫ウィリアム(フランス語の呼び方は、ギョーム)がイギリスを征服。なので、ウィリアムはイギリス王でもあり、ノルマン国も治めていたという不思議な立ち位置に。

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このウィリアムのイギリス征服物語はノルマンディーのバイユーにある博物館に行けば、11世紀に作られた長い長いタペストリーに見ることができます。昔の人は、文字が読めなかったので、こんな形で歴史を残していたんですね。しかし、そのウィリアムの子ヘンリー1世はそんなバイキングの支配をよく思っていなかったアンジュー伯というロワールのアンジュー地方を統一した貴族をうるさく思っていたので、その家の息子と娘マチルダを結婚させてしまおう作戦に。マチルダは、アンジュー伯の息子ジョフロフと結婚します。このジョフロフと言う息子が、いつも帽子に家紋のエニシダをつけており、それがプランタジュネットと表現されるようになったのです。なので、ロワール地方のアンジュー家の権威を示す象徴としてプランタジュネットを今でもアンジュー地方の人は誇りに思っているんですね。それでこのお菓子にもその名前がついています。プランタジュネットという名前は、その後のイギリス王朝、プランタジュット王朝の名前にもなりました。

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あともう一つのこのお菓子のポイントは、コワントロー。コワントローを生産しているコワントロー家と言えば、ロワール地方の名家。ル・コルドン・ブルーのオーナーでもありますね。ということで、ローマジパンを使った生地にもコワントローを、そしてチェリーもコワントロー漬けを使用します。しっとりリッチな風味は、ロワールの豊かな風土と優雅な背景そのもの!

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