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語学は動詞から覚えよう

 きょうは久しぶりに語学ネタです。最近、語学を勉強するときは何はともあれ、動詞から覚える必要があるのではないかとふつふつと感じます。

 動詞とはみなさん御存知の通り、「動く詞」です。「行く」「食べる」「飲む」といった人の動作や行為を表現する単語たちです。しかし、日本語から英語などを勉強するとどうも動詞にあまり気を使っていない感じがします。

 これは学校での教え方にも問題があるのかもしれません。

 外山滋比古さんの『日本語の論理』にはこう書いてあります。
 
西欧の言語が名詞中心構文であるのに日本語は動詞中心の性格がつよい。「この事実の認識が問題の解決に貢献する」というのが名詞構文なら「これがわかれば問題はずっと解決しやすくなる」とするのが動詞構文である。(11ページ)

 確かにそうで、英語の論文などを読んでいると名詞中心の構文が多く、戸惑うことがあります。これを日本語に訳し、やはり動詞を中心に据えるとストンと納得するのです。

 これはおそらく明治時代から翻訳文化が育ち、読解中心の英語教育を日本では行ってきたからだと思います。なので、名詞中心の構文ばかりが試験で出たりする。英語は名詞が中心であるから、おそらく日本の英語教育は名詞中心主義になってしまったのかもしれません。そのため、動詞がおろそかにされているのではないでしょうか。確かに英語の論文を読んだり書いたりするには重要なのですが、日常英会話では使わないことはないけれども、もっと動詞を中心にしていったらどうなのか。

 最近、マレーシアの英語のエッセイモデルを読んでいるのですが、ここには日本の学校教育では一切出て来ない動詞がわんさか出てきます。今読んでいるのは、マレーシアの中等学校(日本で言うと中学校と高校)レベルのものを読んでいますが、試みに日本の中学校や高校では出て来ない単語を並べてみます。

 cull
 deter
 dwindle
 induce
 revamp 
 retrieve
 recapitulate
 yank 
 veer

 適当にパラパラ見ただけでこういった動詞がうじゃうじゃ出てきます。名詞や形容詞も同様なのです。繰り返しますが、こちらは大学受験用の単語ではなく、中学校向けのテキストに出てくるものです。

 ここで日本の英語教育論をするつもりはありませんが、おそらく日本の必須英単語リストは何か極めて足りない気がする。上記のような動詞をちゃんと身につけ、また句動詞もしっかり使えるようになれば、少なくとも生きた英語になるような気もします。上記のような単語を覚えていなければ、少なくともマレーシアの子どもとも話せないということになります。さらに、インターナショナルの学校の英語テキストを見ると、こちらはさらに下記のような動詞が出てきます。

    bellow
 brandish
    divulge
    elude
    hoard
    hurtle
    mimic

 なかなか日本だけで英語を勉強していると難しい単語なのですが、こちらは至って普通に使われているようです。会話ではあまり出てこないものもありますが、確かに英語の新聞を読んでいるとよく出てくるものもあります。

 動詞は動作や行動を表現する言葉です。このため、どんなに難しい文章が出てきても、動詞を掴み意味がわかれば、あとはなんとなく理解できてくるのではないでしょうか。逆に動詞がわからなければ、どんな文章が出てきてもさっぱり意味がつかめないことになると思います。これは会話においてもそうです。

 動詞を身に着けるには意味だけでなく、自動詞か他動詞か、そして語法を覚える必要があります。例えば、

 explain to….
    avoid to… または~ing
 
 といったto や…ingなどその単語の後ろに何をつけるかといったものです。語法はその単語(名詞や形容詞も含める)の使用上の注意事項なので、これらを覚えるのは必須です。動詞はとくに前置詞とつながることが多いですが、これらも一緒に覚える必要があります。これらを覚えるのはなかなか大変ですが、それでも高等学校までに出てくる動詞を徹底的に覚えれば、あとは意味などから初見の単語でも結構予測がついたりします。

 いずれにしても、名詞や形容詞といった単語よりもまずは動詞を最初に徹底的に覚えていくようにしましょう。そして、日本の学校の単語集ではなく、欧米の英語教育で使われている教科書を手に入れて、そこに出てくる動詞も暗記していくとより実用的な英語になっていくかと思います。今ではネットで何でも手に入る時代なので、欧米で使われている子ども向けのストーリーなどを見つけて動詞をじゃんじゃん覚えていくといいのでは?  

 これは英語に限らず、どの言語にも適用できると思います。「走る」でもどういう状態の走るなのかで単語が違うことがよくあります。そういった細々な単語を覚えていくことで語学は上達していくのだと思っていますが、それにしてもなかなか大変であることは確かです。
 


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